7月31日(日)

「教員の意見、最大限尊重を」

 教科書選定で住民の会

教科書採択に関する抗議声明を発表する「子どもと教育を考える八重山地区住民の会」のメンバー=30日午前、大浜信泉記念館
教科書採択に関する抗議声明を発表する「子どもと教育を考える八重山地区住民の会」のメンバー=30日午前、大浜信泉記念館

 石垣市、竹富町の歴代教育長が共同代表を務める「子どもと教育を考える八重山地区住民の会」の仲山忠亨元石垣市教育長らは30日、大浜信泉記念館で記者会見し「来年度中学校教科書採択に関する抗議声明」を発表した。出席者は、教科書選定作業で教員の意見を最大限尊重するよう求めた。


 同会は、保守色の強い「新しい教科書をつくる会」(自由社版)、「教科書改善の会」(育鵬社版)の教科書が採択される可能性に強い危機感を表明している。


大浜敏夫事務局長は、両社の教科書で、太平洋戦争の記述で旧日本軍の加害行為に関する記述が少ないと指摘し「歴史の暗殺を意図した教科書だ」と糾弾した。


教科書を選定する教科用図書八重山採択地区協議会会長の玉津博克石垣市教育長は、調査員(教員)による各社の教科書の順位付けを廃止。8月4日の協議会では、調査員の意見に拘束されず、無記名投票で教科書を選定する方針を表明している。


大浜事務局長は「各教科で7~5社の教科書がある。現場の経験を持った人(教員)でないと絞り込めない」と強調。「協議会の委員はわずか8人で、現場の経験のない人もいる。そういった人たちによる教科書の採択は、極めて危険だ」と訴えた。


現場の教員を代表して森田孝教諭(39)は「どの教科書がふさわしいか、学校現場にいない人が決められるのか。学校現場の先生の意見を、できるだけ反映させる仕組みが必要だ」と述べた。


住民の会の主張に対し、玉津教育長は20日のインタビューで「教科書は教員が決めるものだという思い込みがあるのでは」と反論している。


7月28日(木)

与党からも困惑の声

 教育長から説明聞く

 石垣市教育委員会の玉津博克教育長(教科用図書八重山採択地区協議会会長)が教科書の選定プロセスを改革し、革新系団体などが反発している問題で、市議会与党からも困惑の声が出ている。27日には、与党連絡協議会(砂川利勝会長)が市役所に玉津教育長を招き、一連の経過について説明を聞いた。


砂川会長は会合後、取材に対し「筋道をしっかり正せば問題はなく、混乱も起きない」と指摘。玉津教育長に対し、慎重に手続きを踏んで選定プロセスの改善を進めるよう求めたことを明らかにした。


 玉津教育長は、2012年以降の中学校教科書の選定プロセスで①教科書を選定する教科用図書八重山採択地区協議会の委員の一部入れ替え②調査員による各社の教科書の順位付け廃止―などの改革を進めている。


 協議会の調査員に任命された教員が事実上、教科書を選定していた従来の手法を排し「開かれた教科書採択」を目指す取り組み。しかし、古い手法の改革に「猛進」する教育長の姿勢は、教科書採択問題に限らず「ワンマンだという批判を招く」と与党市議の一人は指摘する。


 特に、協議会の役員会を開かずに調査員を任命し、革新系団体や一部マスコミの批判を浴びたことについては与党側にも「納得いかない」という声がくすぶる。


ただ、砂川会長は、教科書選定プロセスの改革自体は「問題ないと感じた」と強調。教育長が進める改革の方向性は支持する考えを示した。


 出席者によると、玉津教育長は与党連絡協議会で「反省すべき点は反省する」と述べ、今後は手続きを順守する考えを示したという。


7月27日(水)

無記名投票で決定へ

 中学校教科書で、採択協

 教科用図書八重山採択地区委員会の役員会後、記者会見する3市町の教育長=26日午後、市教委
 教科用図書八重山採択地区委員会の役員会後、記者会見する3市町の教育長=26日午後、市教委

 2012年度以降の中学校教科書を選定する教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の役員会が26日、市教育委員会で開かれ、教科書選定の方法を、協議会委員8人の無記名投票とする方針を確認した。協議会は調査員の報告を参考に、8月4日の会合で教科書を選定する予定。どの教科書を選定したかは、3市町の教育委員会が協議会の答申を受け、最終決定した時点で公表する。役員会は3市町の教育長で構成している。


 無記名投票の方法を採用することについて玉津教育長は「無記名投票は全国的に行われている」としている。


 市教委によると、従来は教員である調査員(各教科3人)が各社の教科書を順位付けした上で、採択すべき教科書を事実上選定し、協議会に答申。協議会は調査員の選定を承認するかどうか審議していた。


 玉津教育長は調査員による教科書の順位付けを廃止した。調査員は、特徴のある教科書や推薦したい教科書を複数選定し、8月1日に協議会に報告するが、協議会は報告に拘束されずに教科書を選定できる。


 委員の無記名投票の結果、同数となった場合の対応については、再投票や役員による再協議などの意見が出ており、8月4日の協議会冒頭で決定する。


 協議会は各教科の教科書を決定後、3市町の教育委員会に答申。各教育委員会が採択の是非を最終決定する。


 玉津教育長の方針で、協議会のメンバーは前回採択時から一部変更。委員から教育委員会職員が外れ、新たに教育委員や学識経験者が加わっている。


調査員の任命を承認

 委員間に不協和音も

 科用図書八重山採択地区協議会は26日の役員会で、会長の玉津教育長が任命した各教科3人の調査員について、6月27日の協議会総会にさかのぼって承認した。


 総会では規約改正があり、従来、会長が任命していた調査員を、急きょ、役員会で選任するものとした。人選を終えていた玉津教育長は総会の場で、他の役員である与那国町の崎原用能教育長、竹富町の慶田盛安三教育長に名簿を渡していたが、役員会は開催していなかった。


 この日の役員会では、手続きの不備を指摘していた慶田盛教育長も調査員の人選を承認した。


 ただ、役員会後、慶田盛教育長は取材に対し、役員会の決定について「理解するが納得していない」と不満を漏らした。


また、玉津教育長が協議会の構成メンバーを一部入れ替えたことについて「最後は教育委員が(採択する教科書を)決定するのに、協議会に教育委員を入れる必要があるのか」と疑問視。玉津教育長と慶田盛教育長の不協和音が、改めて露呈した形になった。


 崎原教育長は、総会で調査員の名簿を渡した時点で、役員会の承認が得られたとしていた玉津教育長の見解を支持している。


7月23日(土)

「規約改正は説明責任がある」

 住民の会らが市教委に抗議

つくる会の公民教科書を見せ、意見を述べる高嶋名誉教授=市教委=
つくる会の公民教科書を見せ、意見を述べる高嶋名誉教授=市教委=

来年度の八重山地区の教科書採択問題で22日午前、高嶋伸欽琉大名誉教授、子どもと教育を考える八重山地区住民の会の大浜敏夫事務局長は石垣市教育委員会、竹富町教育委員会を訪問した。


このうち、市教委では出張中の玉津博克教育長に代わり前花雄二教育部長が対応した。


高嶋名誉教授は「大幅な規約改正は地域住民に説明責任がある。市民と反する教科書が採択された場合、教諭の教科書を負担する市町に監査請求される恐れもある」と意見を述べた。


前花教育部長は「(玉津市教育長は)行政のルールに沿ってやっていこうとの考えだと思う。現場の教諭の考えを無視する訳ではない。ピラミッド型に意見を集約していく」と弁明した。


大浜事務局長は「議論することなく調査員を委嘱したことは無効ではないか」と問いに、「規則改正は事前に2町の教育長にも提示していた。調査員の名簿は公表できないという意味。ボタンのかけ違いだ」と答えた。


慶田盛安三竹富町教育長は報道陣の質問に対し、「地域、学校現場の意見を聞き、異存のないようにしたい」と述べた。

 

7月22日(金)

沖縄戦わい曲と主張

 「市教委を私物化」教育長批判

※立ち見が出るほど会場は約120人の市民でごった返した=大浜信泉記念館=
※立ち見が出るほど会場は約120人の市民でごった返した=大浜信泉記念館=

来年度の八重山地区の教科書採択問題で、子どもと教育を考える八重山地区住民の会はフォーラムを21日夜、大浜信泉記念館で開いた。約120人の住民らが参加し、「沖縄戦を歪曲した教科書を使用することは反対」と、つくる会系の育鵬社、自由社の教科書の採択に反対の意見が続出した。


フォーラムで、現場教職員、保護者の代表が意見を述べ、住民の会の大浜敏夫事務局長は「玉津市教育長は独断で規則を変え、市教委を私物化している。規約は無効だ」と語気を強めた。


沖教組の佐賀裕敏さんは「地域の意見を無視し、委員を急遽、変更している。子どもに歴史の真実を教えよう」、高教組の宮城和人さんは「つくる会の教科書は沖縄県民の民意を無視し、客観性に欠けている」と訴えた。


市PTA連合会の久場良也事務局長は「子どもには沖縄戦の真実を学び、戦争の恐ろしさを知ってもらいたい。先生にも自信を持って教えてもらいたい」と述べた。


高嶋伸欽琉大名誉教授を招いた講演会では、「県内各地で取り組んでいる採択協議会が八重山で崩れている。直前の規則全面改定は社会的に非常識」と危機感を募らし、「つくる会系の教科書は沖縄戦の集団自決を米軍のせいにするなど歴史を歪曲し、他社を盗用するなど法律違反だらけだ」と指摘した。


 会場は立ち見が出るほどの多数の市民でごった返した


今後、同会らは、教科用図書八重山採択地区協議会に対する意見書を提出するほか、沖縄本土で採択された沖縄の歴史わい曲を許さず、沖縄から平和教育をすすすめる会の「沖縄戦の真実を教科書にした教科書採択」などの要請文を22日午前、石垣市、竹富町の教育委員会に提出する。


なお、来年度に使用する教科書は、8月に採択される予定。


7月21日(木)

「調査委員」が事実上選定

 昨年の採択プロセス 好ましくないと教育長

 小中学校で使用する教科書を選定するプロセスが変わろうとしている。昨年行われた小学校教科書の選定作業では、教科用図書八重山採択地区協議会の会長から任 命された「調査委員」が事実上、どの教科書を使用するべきか選定。調査委員は通常、現場の教員が任命されるため、教員の意見が教科書選定を大きく左右して きた。同協議会会長の玉津博克石垣市教育長は、こうした実情を「好ましくない」と指摘。協議会が、調査委員の判断に拘束されない仕組みを構築するべきだと 主張する。


 ▽昨年の選定プロセス

 昨年行われた小学校教科書9種類の選定プロセスでは、協議会会長が、教科ごとに3人の教員を調査委員に任命。教科書の選定を諮問した。


調査委員は、各社の教科書を調査研究し、各社の教科書すべてを順位付けした。その上で、第1位の教科書を選定するべきだと決定し、7月14日、協議会に答申した。この時点で、他社の教科書は選択肢から除外された。


玉津教育長は「教科書の決定は協議会と教育委員会の責任と権限で行うべきで、事実上、教員だけで決定されることは好ましくない」と問題提起する。


調査員の選定の是非は、協議会が最終判断する。しかし答申後、同20日に開かれた協議会では、どの教科書を選定すべきかではなく、調査委員が選定した教科書を承認するかどうかを審議。9種類すべてについて承認することを決めた。


▽順位付けを廃止

調査委員は教科書について専門的知識を持つことが必要で、通常は教員が任命される。市教委によると、こうした選定プロセスは県内他地区でも一般的だという。


玉津教育長は昨年就任。今年から教科書の選定にかかわった。今年の選定プロセスでは、協議会の構成メンバーを一部入れ替え、教育委員や学識経験者を加えた。調査委員を「調査員」に名称変更。順位付けを廃止する方針を打ち出した。


調査員は6月28日に任命したが、教科書選定についての諮問は行わず、教科書の調査研究のみを依頼した。玉津教育長は「調査員の報告を受け、協議会で(どの教科書を選定するか)しっかり判断してほしい」と期待する。


▽元教育長ら反発

教科書の選定プロセス見直しに対し、19日 に玉津教育長を訪れた「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」は猛反発。村田栄正元教育長は「経験や専門的知識を持つ3人の先生(調査員)が真剣に 議論し、順位を付けることに何の問題があるのか。実際に授業をしている先生の意見は、最大限に尊重されるべきだ」と訴えた。


大浜敏夫事務局長(元沖教組委員長)は「調査員の権限を軽視し、協議会に権力を一極集中するのは大きな誤りだ」と警告した。


玉津教育長は取材に対し、元教育長や沖教組関係者の反発について「教科書は教員が決めるものだという思い込みがあるのでは」と反論している。

                            (仲新城誠)


7月20日(水)

2社名指し「採択しないで」

 住民の会、市教委などに養成

保守系出版社2社の教科書を採択しないよう玉津教育長に要請する仲山共同代表=19日午後、市教委
保守系出版社2社の教科書を採択しないよう玉津教育長に要請する仲山共同代表=19日午後、市教委

 石垣市、竹富町の歴代教育長ら10人を共同代表とする「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」が19日、市、町の教育委員会に対し、来年度、八重山地区の中学校社会科で使用する教科書について、自由社版と育鵬社版の2社を名指しし、採択しないよう要請した。


市教育委員会の玉津博克教育長は同日、報道陣に対し、教科書を決定するのは自らが会長を務める教科用図書八重山採択地区協議会だとした上で「どの教科書も文部省の検定済みだ」と述べ、特定の教科書を問題視する姿勢を暗に批判した。


住民の会が提出した要望書では、自由社版と育鵬社版の教科書について「日本が行った戦争や植民地支配など、近隣諸国に与えたおびただしい被害を隠し、むしろ正当化している」と指摘。


沖縄戦の記述も、住民の集団自決に軍の強制、誘導がなかったような記述になっており「県民にとって到底容認できるものではない」としている。

教科書の採択は教員の意見を最大限尊重する従来通りの方法で行い、採択後は、資料などを公表して説明責任を果たすことも求めている。


市教委への要請で、共同代表の仲山忠亨元教育長は、2社の教科書について「こういう教科書で生徒が教えられては、戦時中の二の舞いの教科書になる。絶対に採択しないでほしい」と語気を強めた。


村田栄正元教育長は、玉津教育長が各社の教科書の「順位付け」を廃止する方針を示したことについて「(順位付けする調査員を務める)学校の先生は、子どもたちを前に実際に授業をしている。先生の意見は、最大限に尊重されないといけない」と批判した。


要請に対し、玉津教育長は「法律やルールにのっとり、子どもたちにとって良い教科書を選定するように作業を進めている」と述べた。また、報道陣の取材に対しては「(住民の会の)気持ちは分かるが、決めるのは協議会の委員だ」と説明した。


住民の会の共同代表は次の通り。▽仲山忠亨、村田栄正、内原英忠、波平長吉、江川三津恵、登野原武、大仲康文、黒島精耕、島袋憲一、慶田城久

 

教科書採択協の委員入れ替え 

 各社の「順位付け」も廃止へ

 教育長「主体的判断を」強調

     教科書の選定方法について報道陣に説明する玉津教育長=19日午後、市教委
     教科書の選定方法について報道陣に説明する玉津教育長=19日午後、市教委

 2012年度に八重山地区の小中学校で使用する教科書をめぐり、選定作業に当たる教科用図書八重山採択地区協議会会長の玉津博克教育長が、同協議会の構成を入れ替えるなどの改革に着手していたことが19日 までに分かった。新たに教育委員や学識経験者を委員に加えた。調査員が各社の教科書を調査し「順位付け」する従来の手法も廃止する方針。玉津教育長は「調 査員が付けた順位に沿って採択するのではなく、協議会と教育委員会が、自らの権限と責任で採択しないといけない」と強調している。

 


 3市町の教育委員会は、同協議会の選定を踏まえ、来年度使用する教科書を8月に採択する予定。


同 協議会は昨年度まで、3市町の教育長、担当課長、担当職員、PTA代表で組織していた。玉津教育長は「職員は事務方に徹してほしい」として今年度から、担 当課長や担当職員を委員から除外。新たに3市町の教育委員各1人と、学識経験者1人を委員に加えた。「内容のある議論と開かれた採択のために、委員を入れ 替えた。教員でない人からも、意見が出てくる可能性は大きい」と説明している。


委員の入れ替えなどを盛り込んだ規約改正は6月27日の総会で承認された。

 教科書選定作業では、教科ごとに3人の教員が調査員に選任され、各社の教科書を調査して、同協議会に報告する手順を踏む。


 従来は報告の際、各社の教科書を「順位付け」していたが、玉津教育長は19日、市教委で開かれた同協議会の非公式会合では「拘束性のある順位付けはしない」方針を表明した。


 会合には委員8人のうち、石垣市、竹富町の委員6人が出席した。順位付けの継続を望む声も出たという。


 玉津教育長は同日の取材に対し「従来は順位付けに沿って、協議会がそのまま教科書を選定してきた気配が感じられる」と指摘。「順位付けは行わず、協議会の委員で、じっくり検討するべきだ」という考えを示した。次回の協議会で議論を深める。

 調査員の意見については「専門的な意見も当然参考にしたい。何らかの形で吸い上げる仕組みを作る」と述べ、順位付けに代わり、調査員に複数の教科書を推薦させる仕組みを検討する考えを示した。