10月29日(木)

来週にも県教委に伝達

 教科書無償の除外方針

中川正春文部科学相は28日の記者会見で、沖縄県八重山地方(石垣市、竹富町、与那国町)の中学公民教科書採択問題について、竹富町に教科書の自費購入を求めるという文科省の判断を、来週中にも県教育委員会に伝えると明らかにした。

 

採択地区内で同一の教科書を採択するよう求めた教科書無償措置法と、採択権は教委にあると定めた地教行法について「こういうことが何回も起こってはならない。2つの法律をどう見直していくかという議論はしていかないといけない」と述べ、法改正を検討する考えも改めて示した。

 

竹富町に教科書の自費購入を求める方針は、文科省を訪れる予定の県教委の担当者に直接伝える。中川文科相は「県教委のリーダーシップで、何とかコンセンサスを作る努力をやってほしいと言ってきた。その結果どうなったか、報告を聞かせてほしい」と述べた。

 

竹富町教委に自費購入を求めた理由については「(教科書選定の)手続きに従った結論は育鵬社」とした上で「教委の採択権をしんしゃくすると、強制的に育鵬社を使えというわけにはいかない」と述べた。

 

竹富町教委は8月、八重山採択地区協議会が選定した育鵬社版とは異なる東京書籍版の採択を決定。中川文科相は今月26日の衆院文部科学委員会で、一本化できなければ教科書の無償措置を竹富町に適用しない考えを表明した。

 

中川文科相は「まだ地域で議論があるだろうから、まとめる努力をしてほしい」と重ねて求めた。

 

10月31日(月)

混迷深まる教科書問題 憲法違反と教職員組合反発

 文科相「町で購入を」 竹富町「予算問題ではない」

 沖縄県八重山地方の中学公民教科書の選定をめぐる混乱が収まらない。保守色の強い育鵬社版を拒む竹富町に対し、中川正春文部科学相が町の予算での購入を促す事態に発展し、地元から「義務教育を無償と定めた憲法に違反する」との批判も出ている。

 

 3市町が無償給付を受けるには、同じ教科書に統一する必要があると教科書無償措置法は規定。8月、八重山採択地区協議会は育鵬社を選び各教育委員会に答申したが、竹富町教委は東京書籍を選択した。地方教育行政法が採択権限は各教委にあると定めているために生じた「ねじれ」だ。

 

 中川文科相は26日の衆院文部科学委員会で「(協議会の)結果に基づき採択していない竹富町教委は無償給与の対象にならない」と答弁。協議会の結論を重視する姿勢で、1963年の制定以来、教科書無償措置法が適用されない初のケースになる可能性も出てきた。

 

 だが、協議会で教科書の内容について突っ込んだ議論をした形跡はない。共同通信が入手した議事録によると、委員の一人は「(教科書を)全部読むことはできない」と発言。協議会会長の玉津博克(たまつ・ひろかつ)石垣市教育長から「見なくても見たと言えばいい」と伝えられたと語る委員もおり、現役教員が務める調査員が推薦しなかった育鵬社が選ばれた理由は不明だ。

 

 教科書無償措置法は、無償給付する主体を「国」と定める。「無償措置は国が責任を持ってやること。自治体に負わせるのはおかしい」。沖縄県教委の狩俣智(かりまた・さとし)義務教育課長は中川文科相の真意を測りかねている。

 

 県教職員組合も「有償で教科書購入を強いるのは、義務教育の無償を定めた憲法に違反する」と、発言撤回を求める声明を出した。

 

 竹富町で必要な公民教科書は約40冊。財政を圧迫するわけではないが、町教委は「お金の問題ではない」と反発。一方、石垣市教委の前花雄二(まえはな・ゆうじ)教育部長は「やむを得ない措置」と文科相発言を歓迎している。

 

 竹富町が採択した後の9月8日、3市町の全教育委員が会合を開き、東京書籍を多数決で選定。県教委はこの決定を有効としている。県教委幹部は週明けに上京して文科省に県の立場を説明する予定だが、決着の行方は見えない。

 

11月1日(火)

無償除外に慎重さ求める

 教科書採択で沖縄県教育長

沖縄県八重山地方(石垣市、竹富町、与那国町)の中学公民教科書採択問題で、同県の大城浩教育長らが31日、文部科学省を訪れ、採択地区協議会の決定に反 し、東京書籍版の採択を決めた竹富町に教科書の無償措置を適用しないとする同省の判断に、慎重な対応を求めた。大城教育長は報道陣に対し、文科省の考えは 「あまりに飛躍しすぎている」と述べ、引き続き3市町教委の合意形成を図る考えを示した。

 

 東京書籍版を多数決で決定した3市町の全教育委員による協議が有効とした上で「竹富だけ無償としないのは憲法違反との意見もある」と述べた。

 

 文科省側は森裕子副大臣らが対応。石垣市、与那国町の両教育長がこの協議を無効と訴えていることを受け、協議より前に採択地区協議会が育鵬社版を選んだ決 定が有効との認識を示した。さらに、このまま一本化できなければ、竹富町に無償措置を適用できないとの方針を重ねて伝えた。

 

 県教委が作成した資料では、育鵬社を選定した八重山採択地区協議会の答申について「法的拘束力を有しない答申を守るか否かによって、教科書の無償か否かが決まるとする考えは理解しがたい」と、文科省方針を批判。

 

3市町の教育委員全員による協議が「法にのっとった唯一の手段」だとし、県教委が竹富町教委に対し「答申通りに採択するよう求めることにはかなりの無理がある」としている。

 

各教委の採択が答申と異なった場合、「3市町教委の教育委員全員の投票で決する」などとあらかじめ定めておけば、今のような事態は起きなかったとした。

 

混乱の収束先送り

  「合意形成」困難な状況

教科書問題で県教委は31日、育鵬社の公民教科書を選んだ石垣市、与那国町教委を支持する文科省の方針に従わない考えを改めて示した。県教委が作成した資料では、教科書の一本化が遅れている原因は「3市町教育委員会が協議を行わないことであり、是正すべきはその点にある」と、責任を文科省や3市町教委に押しつけるような主張を展開。「開き直り」とも取れる対応に終始し、混乱の収束は、さらに先送りされる結果になった。

 

今回の事態について県教委は、3市町教委の採択が分かれる事態をあらかじめ想定し、対応策を明確化すべきだったと総括。

 

しかし市教委幹部は「6月に玉津博克教育長が県教委に出向き、3市町教委の採択が分かれた場合の対応について相談していた」と明かす。「その時は何の指導助言もなく、今になって後出しじゃんけんのように、自分がジャッジ(審判)だと言うのか」と県教委の主張を疑問視した。

 

大城教育長は報道陣に対し、育鵬社版を選定した採択地区協議会の答申について「あくまでも答申。それが即結論と言うのはあまりに飛躍し過ぎている」と文科省の方針を批判した。

 

しかし文科省は、3市町教委が協議して、答申以外の教科書を採択することは可能だとしており、答申が「即結論」だとは説明していない。

 

文科省が示した法解釈などに対する理解の浅さも見え隠れするが、市教委幹部は「(育鵬社版に反対する)世論に突き上げられて、挙げたこぶしを下ろせない」と冷ややかな見方を示す。市教委、与那国町教委の不信感は募る一方で、県教委が強調する「合意形成」は極めて困難な状況だ。

    (仲新城誠)

11月5日(土)

教科書問題で全国・県紙社説の比較 文科省批判は共通

 稚拙・手前勝手・押し付け・ルール無視

 提言も国方針変わらず

八重山地区の公民教科書問題で、中川正春文科相が竹富町を教科書無償給与の対象外とする方針を示したことを受け、県紙、全国紙が社説で批判を展開している。

 

▽国は早急な法改正を―沖縄タイムス

沖縄タイムスは文科省方針を「あまりにも稚拙で愚かな収拾案としか言いようがない」と苦言を呈した。

義務教育の無償を規定した憲法26条に抵触する可能性が指摘されているとし「『なぜ子どもにペナルティー(罰)を与えるのか』という慶田盛安三竹富町教育長の憤りはもっともだ」と竹富町教委に共感。

教科書無償措置法と、地方教育行政の矛盾を「国が放置してきたことが問題の長期化、混乱の一要因だ」として、国は早急に関係法の矛盾を検証し、新たな採択ルールを示すべきだとしている。

 

▽文科相の解釈は身勝手だ―琉球新報

琉球新報は、文科省方針が憲法違反、教科書無償措置法違反だという指摘に「真摯に向き合うことが先決」とし「文科省は今後、こんな手前勝手な解釈で教育行政を進めるのか」と疑問視する。

混迷の発端は、八重山採択地区協議会の玉津博克会長が「(教科書の)順位付け廃止、調査員の独断選定、協議会を非公開とし選定を無記名投票とするなど、不公正な手続きで採択方法を次々と変更したことにある」と指摘。

「何よりも文科省は、一本化に向けた道筋を明確に示す義務がある」とした。

 

▽町に矛盾押しつけるな―朝日新聞

朝日新聞は「国が放置してきた制度の矛盾のつけを、小さな町に押しつける。そんなやり方ではないか…これでは、小中学校で学ぶ子どもの教科書は国の費用でまかなうという制度に、穴があく」と文科省を批判する。

その上で、複数の自治体が同じ教科書を使用する「広域採択制度」が混乱のもとだとし「地域や子どもの事情に合わせ、教科書も色とりどりであっていい。多様な学びを国が財政的に支える。それがあるべき姿だろう」と提言。「広域採択のしくみはただちに見直す。将来は学校ごとに選べるよう、道をつける」べきだとした。

 

▽有償は制度を崩壊させる―産経新聞

産経新聞は文科省方針について「法律を破って不当に決められた教科書を有償で容認するのは、金を出せばルール無視が許されるかのような危険な判断である。…文科省は方針を即時撤回し、県や竹富町に適正な指導をすべきだ」と求める。

東京書籍版を採択した全教育委員の協議を有効とする県教委の見解は「到底認められない」とした。

教科書採択制度の見直しを求める声があることについて「竹富町の問題を現行ルールで解決することとは次元の異なる話」として、国はまず、竹富町の決定を正すべきだとした。

 

教科書問題提訴へ

 八重山地区の中学校公民教科書採択問題で、住民の視点で教科書をえらぶ会が4日、9月8日の3市町教育委員で行った全員協議が有効であるとし、石垣市教育委員会を相手取って行政訴訟を起こすことを発表した。来週中には那覇地裁へ訴状を提出する。提訴によって教科書問題は、司法の場で争われることになり、新たな段階に入る。

 

 大浜信泉記念館で開かれた同会主催の「緊急!教科書問題勉強会Ⅲ教科書無償制度を法的に考える」で明らかにした。

 

原告は小学生をもつ保護者2人をはじめ、同会のメンバー。3市町教育委員で行った全員協議が有効であることの確認を求め、証人尋問を要求する。

 

この日の勉強会では、行政訴訟に向けた八重山教科書裁判原告団へ参加呼びかけも行われた。

 

11月19日(土)

子どもの手に東書を

 玉津教育長に抗議決議

ガンバロー三唱をする参加者たち=18日夜、市健康福祉センター
ガンバロー三唱をする参加者たち=18日夜、市健康福祉センター

 東京書籍版の採択を求める住民大会(実行委主催)が18日夜、石垣市健康福祉センターで開かれ、文科省に9月8日の全員協議の有効性を認め、東京書籍版公民教科書が『同一地区同一教科書』として採択されたことの確認、中川正春文部科学大臣の1026日の衆院文教委員会での発言の撤回を求める決議をした。また、市教育委員会の玉津博克教育長の市内小中学校校長宛に出した通知に対して抗議決議も行った。

 

決議では、八重山教育問題の解決が遅れているのは、文科省の法的拘束力のない地区協議会の答申を絶対視し、県教委が指導助言を行った9・8全員協議を否認していることにあるとし、中川文科相の衆院文教委員会答弁は義務教育を無償化としている憲法に抵触するとした。

 

 また抗議決議では、玉津教育長が市小中学校校長に出した通知が表現の自由や請願権を侵害することになるとし、強く抗議するとともに撤回を求めるとした。

 

この日は約250人の住民が集まり、ビデオ上映での経過報告や佐久間正夫琉球大学教授による講話「八重山の教科書採択に関する問題点」、行政訴訟の原告である保護者2人が意見を発表した。

 

 佐久間教授は育鵬社版の内容と問題点と八重山教科書採択に関する問題点を挙げ、「八重山地区の教科書採択が子どもの教育にあたる教員の意見、父母や地域住民の意思も反映して行われるよう、教育条件整備を適切に行うことが文部科学省の責務」と指摘した。

 

 原告の保護者2人は「事の実際を知ることによって、自分事として考えるようになった。今後、多くの市民や保護者の皆さんに事の実際を知ってもらおうことが大事」と訴えた。

 

 竹富町住民として登壇した仲村貞子さんは、「竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める町民の会」が中心となり今月29日、同センターで郡民大会を開催することを発表した。

 

文科省に指導要請も

 県教委の再協議方針で

八重山地区の公民教科書問題で、与那国町の崎原用能教育長は18日、県教育委員会が今月中に必要な教科書の冊数を文科省に報告しない場合、県教委を指導するよう文科省に要請する考えを明らかにした。

 

文科省は報告の期限を今月中に設定。育鵬社版を採択した石垣市、与那国町は公民教科書を無償とするが、竹富町が東京書籍版の採択を変えない場合、有償とする方針を示している。

 

これに対し、県教委は公民教科書の一本化に向け、3市町が再協議するよう指導する考え。

 

崎原教育長は報道陣に対し「育鵬社版はだめだ、という県教委の腹は読めているが、県が『教科書が統一されていない』と言って報告を先送りする可能性が心配だ」と懸念。

 

その上で「もしそんなことがあれば、文科省に対し、県教委を指導して早めに問題を解決してもらうよう直訴する」と述べた。

 

署名活動で通知文

 「市教委方針にそぐわず」

八重山地区の公民教科書問題で、東京書籍版の採択を求める署名用紙が各学校で出回っているとして、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)は16日、各校長に対し「しかるべき判断の上、適切に対応」するよう求める通知文を送った。署名活動は「市教委の方針にそぐわない」と指摘しており、事実上、校内で署名活動を行わないよう求める内容。

 

署名活動を行っているのは「子どものための教科書を考える保護者の会」。八重山地区PTA連合会会長の平良守弘氏ら6人が共同代表を務めている。

 

署名用紙には、育鵬社版を「子どもたちにふさわしくない」と断じ、東京書籍版を「地区内の同一の教科書」として確認するよう文科相、県教育委員長に求める要請文が印刷されている。

 

署名活動は保護者有志が進めており、同会によると、学校には配布していない。教員が校内に持ち込んだ可能性がある。市教委はすでに、育鵬社版の採択を決定しており、市教委幹部は通知文について「学校内にイデオロギーを持ち込んでもらいたくない」と話している。

 

平良共同代表は「教員にもそれぞれに考え方がある。教育委員会にそこまで規制する権限はない」と市教委の通知を疑問視した。

 

11月24日(木)

「東書版」で統一を

 嘉手納町 県民大会に千人

 沖縄県八重山地方(石垣市、竹富町、与那国町)の中学公民教科書選定問題で、保守色の強い育鵬社版の採択に反対する県民集会が23日、同県嘉手納町で開かれた。

 

 集会は教職員組合や平和団体が呼び掛けて約千人が参加。育鵬社版を拒否する竹富町に対し、中川正春文部科学相が「無償供与の対象外」などとした発言の撤回を求める声明を出した。

 

 声明ではまた、3市町の全教育委員による東京書籍版選定の決定を認めるよう求めた。

 

 育鵬社版を採択した与那国町から出席した稲川宏二(いながわ・こうじ)さん(45)は「町への自衛隊配備計画と教科書問題は密接に関連している」と指摘。子どもたちも巻き込んで町が二分される状況に「切なく、やるせない気持ちでいっぱいになる」と訴えた。

 

 中川文科相は21日の参院予算委員会で、憲法が保障する義務教育の“無償”は「授業料の不徴収の意味」と答弁。竹富町が自費で教科書を購入しても憲法違反とはならないとの認識を示した。

 

記者の目

県教委が、必要な公民教科書の冊数を文科省に報告する期限が、あと1週間に迫った。県教委と竹富町教委は、育鵬社版を採択するのかしないのか、最終的な答えを出すことを迫られている。一方で沖縄本島では、育鵬社版の公民教科書に反対する県民集会が開かれた。教科書問題は、本島でも八重山でも、相変わらずイデオロギー闘争の様相だ。

 

11月26日(土)

那覇で28日 再協議

 一本化 見通し暗く

八重山地区の公民教科書問題で、県教育委員会は石垣市、竹富町、与那国町の3教育長を呼び、大城浩県教育長も含めた四者で28日に意見交換を行う方針を固めた。3教育長とも出席する方針だが、石垣市と与那国町は育鵬社版、竹富町は東京書籍版を採択する考えを変えておらず、一本化に向けた見通しは立っていない。

 

意見交換は県教委会議室で開かれる。県教委が教科書問題に関する文科省と県教委の見解を説明したあと、3教育長の意見を聞く。マスコミには非公開の方針。

 

崎原用能与那国町教育長は「文科省が指導した通り、竹富町を指導して育鵬社版を採択させるよう県教委にお願いする」と述べ、竹富町が拒否する場合は、東京書籍版を有償とする文科省方針に従うことを求めた。

 

市教委からは、県教委が意見交換を行う方針を示したことについて、東京書籍版での一本化を「だまし討ちのように求めてくる可能性がある」と警戒する声が上がっている。

 

玉津博克石垣市教育長は「われわれの教科書採択業務は終わっている」と強調、意見交換には出席するものの、県主導の「一本化協議」には応じない構えを示した。

慶田盛安三竹富町教育長も出席の意向を示している。

 

文科省は、3市町で必要な教科書の冊数を今月中に報告するよう県教委に求めており、公民教科書の一本化は事実上、今月末が期限になっている。

 

3市町がまとまらない場合、文科省は、八重山採択地区協議会の答申に沿って育鵬社版を採択した石垣市、与那国町のみに公民教科書を無償給与する方針。これに対し県教委は、3市町に一本化に向けた再協議を改めて求める考えを示している。

 

意見交換、何のため?

 市、与那国は警戒

八重山地区の公民教科書問題で、県教育委員会は石垣市、竹富町、与那国町の3教育長を呼び、大城浩県教育長も含めた四者で28日に意見交換を行う方針を固めた。3教育長とも出席する方針。しかし教科書問題の焦点は、竹富町教委が育鵬社版を採択する決断をするかどうかに移った。文科省が設定した期限ぎりぎりになってなお、3市町に再協議を求めるかのような県教委の言動に、石垣市、与那国町教委は不信感を募らせている。

 

育鵬社版を選定した八重山採択地区協議会での審議は「会長が独断で規約を変更し、議論もなく教科書を決めた」などと批判されてきたが、実際にはこうした指摘はむしろ、東京書籍版を採択した全教育委員による協議にこそ当てはまる。八重山採択地区協議会の選定を有効とし、全教育委員による協議を無効とした文科省の判断は当然といえる。

 

ただ、全教育委員による協議は県教委主導で進められ、県教委は現在も文科省方針に反し、協議が有効という立場を崩していない。市教委が「だまし討ちする気ではないか」と警戒するのは、県教委が「意見交換」の名のもとに、教科書の一本化に向けた「再協議」を要求する可能性があると見ているためだ。

 

崎原用能与那国町教育長は「文科省が指導した通り、竹富町を指導して育鵬社版を採択させるよう県教委にお願いする」、玉津博克石垣市教育長は「われわれの教科書採択業務は終わっている」と強調、ともに意見交換には出席するものの、県教委主導の再協議には、あくまで応じない構えを示す。

 

意見交換で県教委が再協議を求め、強引に東京書籍版での一本化を図ろうとするなら市教委、与那国町教委の反発は必至。話し合いで解決できる見通しは全く立っておらず、何のための意見交換なのか、疑問の声が出そうだ。

 

仲本英立さん 市教委を辞任

 健康上の理由で

石垣市教育委員会の前教育委員長、仲本英立氏(64)が健康上の問題を理由に辞職願いを提出し、25日の市教委定例会で承認された。中山義隆市長は後任の人選に入る。

仲本氏は2009年12月、教育委員に就任し、任期は13年まで残っていた。

教科書問題では育鵬社の公民教科書に反対する立場で、八重山教育委員協会の会長として、東京書籍版を採択した全教育委員による協議を招集した。

 

11月29日(火)

一本化 絶望的

 3教育長 県庁で意見交換「物別れ」

 

 沖縄県八重山地方(石垣市、竹富町、与那国町)の中学公民教科書選定問題で、県と3市町の教育長による意見交換会が28日、同県庁内で開かれたが、結局「物別れ」(大城浩(おおしろ・ひろし)県教育長)に終わり、一本化に向けた進展はなかった。

 

 文部科学省は今月末までに必要な教科書数の報告を要求しているが、大城氏は報告期限に「法的根拠はない」として、調整を続けたい考えを示した。

 

 だが、与那国町とともに採択地区協議会の答申に沿って、保守色の濃い育鵬社版を採択した石垣市の玉津博克(たまつ・ひろかつ)教育長は会合後、記者団に「採択は終わっている。再協議はない」と切り捨てた。

 

 玉津氏は会合で「県教育委員会が(答申に反し東京書籍版を採択した)竹富町を指導することを希望した」という。県側は「一方を指導することは難しい。(各教委の)採択権の侵害行為になる」と拒否。慶田盛安三(けだもり・あんぞう)竹富町教育長は「(他2市町が)どんどん懸け離れている」と述べ、一本化は絶望的との見方を示した。

 

 意見交換会は県教委が呼び掛けて実現。大城県教育長は、3市町の全教育委員が集まり東京書籍版を選んだ9月8日の会議結果が有効との県教委の見解をあらためて伝えた。

 

 教科書無償措置法は地区内で同一教科書の使用を規定。このため、中川正春文科相は、竹富町が協議会答申に従わない場合は自費での教科書購入を促している。

 

11月30日(水)

「東書版」無償給付を

 寸劇も披露 郡民大会に130人

教科書を選定した審議の様子を再現する寸劇も行われた=29日夜、市健康福祉センター
教科書を選定した審議の様子を再現する寸劇も行われた=29日夜、市健康福祉センター

八重山地区の公民教科書問題で、東京書籍版の採択を要求する「竹富町の子どもに教科書無償給付を実現させる郡民大会」が29日夜、石垣市健康福祉センターで開かれ、約130人が参加した。

 

主催者で、竹富町の子どもに真理を教える教科書採択を求める町民の会の仲村貞子世話人代表は「どうして一方は有償で一方は無償なのか。こういうことは絶対に許さない。法の下の平等をこの機会に考えてほしい」とあいさつ。

 

竹富町の竹盛洋一委員長は、育鵬社版を採択した八重山採択地区協議会の答申に法的拘束力はないと主張、「答申に従わないことに違法性はない。今後もぶれずに初心を貫く」と述べた。教科書選定では、事前に5人の教育委員全員で選定方針を確認し、協議会に代表の委員を送り出していたことも明らかにした。

 

公開された会議録をもとに、八重山採択地区協議会の審議を再現して批判する寸劇も演じられた。

 

高嶋伸欣琉球大名誉教授は、文科省が示した教科書一本化の期限が今月末に迫っていることについて「期限が守られるはずもない。全国が期待しているので、一緒に文科省包囲網を広げよう」と呼び掛けた。八重山地区PTA連合会の平良守弘会長は、東京書籍版の採択を求める署名が1万人を超えるとの見通しを示した。

 

父母代表、教師代表、与那国町保護者代表、子どもと教科書を考える住民の会、住民の視点で教科書をえらぶ会、竹富町民代表、自治労町職労代表らがあいさつし「教科書問題と自衛隊誘致問題はつながっている」「誘致賛成派は自衛隊を賛美する育鵬社版を推している」と指摘する声が出た。高嶺善伸県議会議長、沖教組の山本隆司執行委員長も激励した。最後はガンバロー三唱で気勢を上げた。

 

12月1日(木)

県教委 冊数報告せず

 石垣市と与那国町 今日にも文科省に「情報」

八重山地区の公民教科書問題で、文部科学省が県教育委員会に対し、3市町で使用する公民教科書の冊数を報告するよう求めた期限の30日、県教委は、3市町で公民教科書が一本化できていないと報告した。育鵬社版で県教委に冊数の報告を済ませている石垣市、与那国町教委は、県教委が冊数を報告しなかったことを疑問視。1日にも「情報提供」という形で、文科省に直接冊数を報告する方向で検討している。

 

文科省に冊数を報告しなかったことについて、県教委義務教育課は「3市町からの冊数の報告がそろっていないため」と説明している。

 

県教委は28日、3市町の教委に対し、改めて公民教科書の冊数を報告するよう求める通知文を送った。

 

東京書籍版を採択した全教育委員による9月8日の協議が有効だとする「見解」を添付しており、事実上、東京書籍版で冊数を報告するよう求めていると見られる。

 

また29日には、中野吉三郎委員長が、教科書採択に関する法律の不備を訴え「3市町に教科書の無償措置を行う特別措置をしていただけるものと信じております」とするコメントを発表した。

 

公民教科書について文科省は、3市町で同一の教科書を採択できない場合、八重山採択地区協議会の選定に従って育鵬社版を採択した石垣市、与那国町は無償、東京書籍版を採択した竹富町は有償とする方針を示している。

 

玉津博克石垣市教育長は、県教委が冊数を報告しなかった理由を「竹富町教委に引導を渡すように受け取られるからではないか」と推測。「県教委は、育鵬社版を採択するよう竹富町教委を指導してほしい」と求めた。

 

教科書問題「泥沼化」

 石垣、与那国の不信感募る

 

県教委は30日、3市町で使用する公民教科書の冊数を文科省に報告せず、育鵬社版を無償、東京書籍版を有償とする文科省方針に「抗戦」する姿勢を続けた。東京書籍版の採択に固執する姿は、教育行政に求められる中立性や公正性からかけ離れており、教科書問題はさらに長期化の懸念が強まった。

 

県教委は3市町教委に対し、9月から今月28日まで、3回にわたって教科書の冊数を報告するよう要求。しかし「同一の教科書が報告されていない」として、冊数を文科省に報告していない。

 

育鵬社版で冊数を報告している石垣市、与那国町教委は「いつまで報告を先送りするのか」(崎原用能与那国町教育長)と、県教委に対する不信感を募らせる。

 

県教委が3市町の教委に示した「見解」では、八重山採択地区協議会が答申した育鵬社版を採択するよう指導助言することは、3市町教委に対する「採択権の侵害行為」であり、同一の教科書を採択するために行われる3市町の協議の「妨害行為」だと主張した。

 

一方で県教委は、東京書籍版を採択した全教育委員による協議が有効だと再三訴え、事実上、東京書籍版の採択を市教委、与那国町教委に求め続けており、言動が矛盾している。崎原教育長は「育鵬社版はだめだ、という県の腹は読めている」と批判する。

 

問題が長期化する中、住民が市教委を提訴し、育鵬社版に反対する集会が繰り返されるなど、保革のイデオロギー闘争色も増している。「泥沼化」と言えそうだ。

 (仲新城誠)

(1) 住民投票、法制化見送りへ
(2) 福島原発廃炉に最長40年
(3) 6世紀の堤跡、最古のダム
(4) 高校生が古代ゾウ化石発見
(5) 整備費の半額を支援へ
(6) 廃棄物から核物質認める
(7) 救済機関の強制力弱める
(8) 10階から1歳長男落とす
(9) 受刑者千人超が集団食中毒
(10) 行政委員の月額報酬適法
(11) 東北が好調、被災地支援か
(12) 関空―新千歳4780円
(13) 未承認ワクチンの接種開始
(14) 新任教諭自殺は公務災害
(15) iPS由来の肝細胞発売へ
(16) 「安全な車」トヨタ首位に
(17) スカイツリー白一色に
(18) 店員が非常ボタン常備
(19) 「今年の社長」に孫氏
(20) 三笠宮さまが退院
(21) 「破門状」印刷もダメ
(22) 初心者は注意を
(23) 女子マラソンはフジが中継
(1) 住民投票、法制化見送りへ
  直接請求の拡大も削除
  自治法改正で地制調
  地方側の意向受け後退
 地方制度調査会(会長・西尾勝東大名誉教授)は15日の総会で、政府が国会提出を見合わせている地方自治法改正案をめぐり、全国知事会など地方6団体が「自治体行政を混乱させる」と反対している住民投票の法制化と直接請求の対象拡大について、削除を求める意見をまとめた。いずれも総務省が住民自治の強化に向け目玉と位置付けていたが「対象など詰めるべき論点がある」として見送りを求めた。政府は意見を踏まえて改正案を修正、来年の通常国会に提出するが、当初の狙いは後退が避けられない見通しだ。
 意見書は、法的拘束力を持たせる住民投票制度の導入に関し、改正案が大型公共施設の建設の是非だけを対象にしていることを疑問視。「導入に意義はある」としながらも再検討を促した。
 住民が地方税減免や新税導入などを求め、地方自治体に直接請求できるよう改正することについても意義は認めたが、地方税収が不安定な状況を受け、改正案から切り離して制度化の時期を見極めるよう求めた。
 また改正案は、首長解職や議会解散の直接請求(リコール)に必要な署名数が緩和される自治体の要件を、有権者40万人超から16万人超に引き下げるとしていたが、6団体の批判を踏まえ下げ幅を圧縮すべきだとした。
 これにより、年明けにも提出される改正案は、鹿児島県阿久根市で問題となった首長の専決処分の見直しや、一部の地方議会で実施されている通年会期の法制化などにとどまることになった。
 総務省は今年2月に改正案をまとめたが、6団体が「地制調の意見を聞いていない」などと反発したため、8月に諮問。地制調は法改正の方向を答申するのが通例だが、今回は改正案が先行しており、意見書を提出する異例の形となった。
 (了)
(60)111215181412
(2) 福島原発廃炉に最長40年
  政府、東電が工程表案
  きょうステップ2終了
 東京電力福島第1原発の廃炉に向け、政府と東電がまとめた工程表案で、施設を解体撤去し、作業がすべて終了するまでに最長40年との期間を示していることが15日、分かった。
 政府と東電は16日に原子力災害対策本部の会合を開き、燃料が溶けた1~3号機の原子炉が一定の安定状態「冷温停止状態」となり、4月から改定を重ねてきた事故収束への工程表の「ステップ2」終了を決定。野田佳彦首相が午後6時から記者会見する。
 廃炉への工程表は来週にも公表。避難している住民の帰郷に向けた警戒区域などの見直しに関する考え方も、12月中に公表する見通しだ。
 廃炉への工程表案によると、1~4号機の原子炉建屋にあるプールに貯蔵されている使用済み燃料は2年後に取り出しに着手する。特に4号機は水素爆発で建屋が大きく損壊し、発熱量の多い燃料集合体を大量に置いているため最優先で取り出す。その後3号機、1、2号機の順で着手する。
 続く数年間で、溶けた燃料を取り出すための準備作業として、原子炉の損傷部分を修復し、水を張って放射線の影響を抑える。燃料はもともとあった位置から圧力容器の底、さらに外側にある格納容器の底にも落ちていると推定されており、これらの回収を今後10年以内に始める。
 燃料回収終了は20~25年後、施設の解体撤去が終わるのは30~40年後という長い道のりとなる。
 政府関係者によると、15日現在で1~3号機の圧力容器底部の温度は約38~68度、放射性物質の新たな外部放出による追加的な被ばく線量は敷地境界で年間1ミリシーベルト未満となり、冷温停止状態の条件を満たしたと判断。東電が今後3年程度の安全確保のためまとめた計画も妥当と判断した。
 住民が避難している警戒区域と計画的避難区域は、放射線量を目安に、年間50ミリシーベルト以上を長期間帰還が困難な区域、20ミリシーベルト以上50ミリシーベルト未満を居住制限区域などとする方向で検討している。
 (了)
(65)111215182846
(3) 6世紀の堤跡、最古のダム
  幻の「磐余池」か
  大型建物には宮殿説
 古墳時代に聖徳太子の父、用明天皇(在位585~587年)らが宮殿を構えた大和王権の重要地域・磐余にあたる奈良県橿原市東池尻町で、日本書紀や万葉集に登場しながら所在地が不明だった「磐余池」の一部とみられる6世紀の堤跡が見つかり、市教育委員会が15日、発表した。
 谷筋の水を堤でせき止める国内最古の「ダム式ため池」が一帯に広がっていたことが判明した。
 堤の上では6世紀後半の大型建物跡も確認。日本書紀が、池のほとりで暮らしたとする用明天皇の「池辺双槻宮」の可能性を指摘する研究者もいる。7世紀の中心・飛鳥に比べると、実体が分からなかった古墳時代の「首都」の様子を解明する手掛かりとなりそうだ。
 見つかったのは、幅20~55メートル、長さ330メートルと推定される堤の80メートル分。谷の北端をふさぐように土を盛ることで堤を構成し、南から流れ込む川の水などをせき止めて池にしていた。堤の高さは3~4メートルあったとみられ、池の推定面積は約8万平方メートル。かんがい用のほか、観賞用だった可能性もある。
 建物跡や、池底にあたる区域の調査で6世紀代の土器が見つかっており、市教委は堤も同時期に造られたと判断した。
 建物跡は東西4メートル、南北17・5メートル以上と大型だが、柱は直径20センチと細かった。これより古い朝鮮半島に由来する土壁の建物跡も見つかり、先進技術を持つ渡来系氏族が堤を造った可能性もある。
 周辺は現在、田園地帯だが、地形などから磐余池の有力候補地だった。日本書紀には、履中天皇(5世紀)が「磐余池を造った」と記されているが、詳しい場所や様子は書かれていない。発掘調査されたダム式ため池では大阪の狭山池(7世紀前半)が最古だった。
 現地見学会は17日午前9時~午後3時。
 (了)
(60)111215170722
(4) 高校生が古代ゾウ化石発見
  茨城、頭のほぼ完全な骨格
 茨城県自然博物館(坂東市)は15日、水戸葵陵高校2年の星加夢輝君(17)=同県常陸大宮市=が、約1650万年前とみられる常陸大宮市野上の地層から古代ゾウ「ステゴロフォドン」の頭の化石を発見したと発表した。〓(順の川が峡の旧字体のツクリ)骨を含む頭蓋や臼歯、牙がそろっており、頭の骨格がほぼ完全に残っているのは珍しいという。
 同博物館の国府田良樹副参事は「保存状態が良く、世界的にも貴重な学術資料になる」と指摘。星加君は地質調査が趣味で「これまでも貝などの化石を見つけたが、今回はただごとじゃないと思った。貴重な化石を発見できてうれしい」と話した。
 博物館によると、崖の砂岩層から発見した。これまでに頭蓋と左右の臼歯5本、約26センチの上顎の牙1本を確認。大きさは、後頭部から牙の根元まで約60センチ、頭の高さが約30センチ、幅約40センチで成体とみられる。
 星加君が11日午後、1人で地質調査をしていた際、〓(順の川が峡の旧字体のツクリ)骨の一部を発見。周りの岩を削ると、臼歯が出てきたため同博物館や茨城大に連絡した。
 ステゴロフォドンは東南アジアと東アジアに生息。現在のゾウより小型で、上顎と下顎に2本ずつ牙を持つ。頭の部分の化石は、インドや宮城県、山形県で頭蓋や臼歯が発見されている。
 (了)
(42)111215181528
(5) 整備費の半額を支援へ
  第二の堤防で国交省方針
 国土交通省は15日、全国の津波対策として、大きな津波が海岸堤防を突破した際に「第二の堤防」となる内陸の盛り土道路などの整備費について、2分の1を補助する方針を固めた。道路や鉄道を最大500メートルの長さにわたってかさ上げしたり、既存の盛り土道路に交差する道路から津波が流れ込まないよう防潮ゲートを設けたりする事業などが対象。
 ただ東日本大震災の被災地には内陸の道路を大規模にかさ上げする計画がある。地元自治体は500メートルを超える工事への支援も求めているため、不満の声も出そうだ。
 第二の堤防は、東日本大震災を教訓とする「津波防災地域づくり法」に津波防護施設として位置付けられ、原則として都道府県が新設や改良を担うことになっている。
 国交省は、自治体向けの補助金を束ねた「社会資本整備総合交付金」で支援。道路の標高が低い部分について海側に壁を設ける場合や、損壊を防ぐために補強する護岸工事も補助する。盛り土の高さは各地の浸水想定に応じて決め、水圧や漂流がれきの衝撃も考慮して強度設計する。
 国交省は、全国的にはゲートや壁の設置に対するニーズが高いとみている。かさ上げする場合の補助対象を500メートルまでに限定したのは、第二の堤防は発生頻度がまれな大きな津波への対策であり、海岸沿いに長い堤防をつくるのは適切ではないと判断したためだ。
 (了)
(47)111215182056
(6) 廃棄物から核物質認める
  藤村官房長官
 藤村修官房長官は15日午前の記者会見で、国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)対象施設の廃棄物から核物質が見つかり、IAEAへの報告漏れがあったことを認めた。今後、IAEA側に報告を急ぐ考えを示す一方、核物質の量などは言及しなかった。
 藤村氏によると、独立行政法人の「日本原子力研究開発機構」大洗研究開発センター(茨城県)で昨年、廃棄物などの記録を調査したところ、廃棄物に含まれる核物質がIAEAに報告されていないことが判明した。
 これを受け、文部科学省はことし8月、IAEAの査察対象となっている原子力関連施設についても調査を実施。その結果、日本原子力研究開発機構以外の一部の施設でもIAEAへの報告漏れがあったという。調査は継続中としている。
 藤村氏は「これまでの調査によると、核物質は大部分が廃棄物として適切に管理されている。安全管理上の問題は認められていない」と述べた。
 (了)
(33)111215133743
(7) 救済機関の強制力弱める
  メディア規制も削除
  人権法案で法務省
 法務省は15日、差別や虐待などの人権侵害事案の解決に取り組む人権救済機関「人権委員会」を法務省の外局として新設する法案の概要を発表した。自民党政権時代に国会提出した「人権擁護法案」を修正、調査は相手側の同意に基づく任意とし、拒否した場合の罰則や報道機関による人権侵害への規制(メディア規制)条項を削除するなど強制力を弱めた。
 法務省は来年の通常国会への法案提出を目指すが、民主党内には、受刑者への虐待問題があった刑務所を所管する法務省の外局とすることへの慎重論や、人権侵害の定義があいまいとの指摘があり、実現するかは不透明だ。
 概要によると、人権委は公正取引委員会と同様、政府から独立した権限を持つ国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」と位置付ける。委員長や委員は国会の同意を得て首相が任命。調査で人権侵害が認められた場合、要請、告発などの措置が取れるとし、特に公務員による人権侵害の場合の対応を設け、対象の公務員や所属機関への勧告や公表などが可能とした。
 地方の業務は各都道府県の法務局を活用。人権委が委嘱し実務に当たる人権擁護委員は、人権擁護法案では「国籍条項がなく、特定団体の影響を受けかねない」と指摘されたことを踏まえ「地方参政権を持つ人」と限定し、外国人が就くのは不可能とした。
 2002年に提出した人権擁護法案は、人権委の独立性や表現の自由などをめぐり批判を受け廃案となった。政権交代後、法務省の政務三役は人権委を「内閣府の外局」とする方針を示したが、民主党作業チームが今年6月、人権救済は現在、法務省の人権擁護局が担当しており、組織を活用できるとして「法務省の外局」案をまとめた。
 (了)
(59)111215180426
(8) 10階から1歳長男落とす
  殺人未遂容疑で父親逮捕
 15日午前9時ごろ、東京都江東区木場2丁目の12階建てマンションの10階から男児(1)が地上に転落した。男児は病院に運ばれたが、植え込みがクッションとなり、顔に擦り傷を負った程度で命に別条はなかった。
 警視庁深川署は同日、殺人未遂の疑いで、マンションの10階に住む父親の会社員橋本真吾容疑者(37)を逮捕した。
 逮捕容疑は自宅寝室の窓から長男を落とし、殺害しようとした疑い。
 深川署によると「殺そうとして両手で長男の首を絞め、窓から落としたのは間違いない」と容疑を認めている。橋本容疑者は長男を落とした直後に「子どもを殺した」と自ら110番した。
 家族が「仕事で悩んでいるようだった」と話しており、深川署は精神鑑定をして刑事責任能力の有無を調べる方針。
 橋本容疑者は妻(38)と長女(4)、長男の4人暮らし。事件当時、妻は長女を幼稚園に送りに行き、前日から泊まりに来ていた義母は買い物に出ていたという。
 現場は東京メトロ東西線門前仲町駅から東に約500メートルのビルやマンションが立ち並ぶ一角。
 (了)
(37)111215171348
(9) 受刑者千人超が集団食中毒
  大阪刑務所、給食が原因
 大阪刑務所(堺市堺区)で13日夜から14日にかけ、受刑者計1074人が下痢や腹痛など食中毒の症状を訴え、治療を受けたことが15日、分かった。いずれも症状は軽い。堺市保健所は刑務所の給食が原因と特定した。
 同刑務所や法務省大阪矯正管区などによると、13日夜から症状を訴える受刑者が出始め、14日朝、保健所に連絡。症状が軽いため医療機関には搬送せず、刑務所内の医務部門で対応した。
 大阪刑務所は男性の受刑者のみ約2500人を収容。刑務所内の食事は受刑者の中から約40人が担当者となり「炊場」と呼ばれる調理場で作っている。
 調理担当の刑務官と受刑者の全員に毎月、検便などの衛生検査を実施。調理器具の洗浄や手洗いなどもしていたという。
 保健所は調理場の業務を15日から3日間停止。刑務所は非常用の保存食で対応している。
 (了)
(30)111215182128
(10) 行政委員の月額報酬適法
  最高裁が初判断
  住民側逆転敗訴
 選挙管理などの行政委員会の委員に対し、月数回の勤務でも定額の月額報酬を支出していた滋賀県の条例の適否が争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は15日、「支払い方法は、地方の実情を最も知る議会の裁量に委ねられていると解釈するのが相当だ」として、月額払いも適法との初判断を示した。
 ほぼ全委員への報酬支出差し止めを命じた一審大津地裁、二審大阪高裁判決を破棄して請求を全て退け、訴訟を起こした弁護士の逆転敗訴が確定した。滋賀県は既に4月から労働、収用各委員会の委員報酬を日額払いに改めている。
 行政委員の報酬をめぐっては、この訴訟の一、二審判決の影響で、支払い方法を日額制に改定する自治体が相次いだ。今回の判断にかかわらず、見直しの動きは今後も続くとみられる。
 非常勤職員の報酬について「勤務日数に応じて支給するが、条例で定めた場合はこの限りでない」とする地方自治法の規定が、条例での月額払いを容認しているかどうかが争点だった。
 判決は「日額払い以外の制度を規定した条例の違法性を判断するには、職務の性質や内容などを総合的に考慮すべきだ」との枠組みを示した。
 その上で、滋賀県の行政委員の職務内容などについて「登庁日以外も決裁文書や資料の検討など実質的な勤務が必要で、形式的な登庁日数で実態が評価しきれるものではない」と指摘。「月額報酬制とした条例の規定が特に不合理とはいえず、議会の裁量権の乱用などには当たらない」と結論付けた。
 (了)
(53)111215181525
(11) 東北が好調、被災地支援か
  空の便、年末年始の予約
 国内航空10社は15日、年末年始(22日~来年1月9日)の予約状況を発表した。国内線の予約数は前年より4・7%多い354万人。東北地方への路線が好調で、前年比で日航は14・2%増、全日空は10・4%増だった。両社は帰省客のほか、被災地支援を目的とした旅行やボランティアの訪問が予約増の要因とみている。
 国際線は9・1%増の74万人。全日空と日航によると、円高ドル安の影響で北米やハワイへの旅行客が多く、予約率はすでに80~90%台になっている。
 混雑のピークは、国内線の下りが29日で上りが1月3日。国際線は出国が23日と29日で帰国は1月3日。3連休の1月7~9日を組み込んでの海外旅行が多いとみられ、9日の帰国便も予約が多くなっている。
 (了)
(26)111215183735
(12) 関空―新千歳4780円
  ピーチ、大手の半額以下
 関西空港に就航予定の格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション(大阪府泉佐野市)は15日、来年3月に開設する2路線の運賃を発表した。片道で新千歳便は4780~1万4780円で、福岡便は3780~1万1780円。
 搭乗時期や予約のタイミングによって運賃は異なるが、両路線の最安値は大手航空会社の割引運賃の半額以下に設定した。
 併せて発表した就航記念のキャンペーン価格はさらに安さを強調し、両路線ともに往復で500円とした。片道は250円で、来年3月1日~24日の搭乗分のうち1割程度の座席が対象となる。
 (了)
(21)111215163351
(13) 未承認ワクチンの接種開始
  神奈川、ポリオ希望者に
 神奈川県は15日、希望する県内在住の乳幼児に、安全性が高いとされる未承認のポリオ(小児まひ)不活化ワクチンの有料接種を始めた。
 厚生労働省によると、都道府県単位での不活化ワクチン接種は全国初。3月まで県内4カ所の保健福祉事務所で実施する計画で、費用は1回6千円の自己負担となる。
 茅ケ崎市の事務所にはこの日、25人の予約があり、子どもを抱いた母親らが次々と訪れた。生後8カ月の長女が接種を受けた横浜市戸塚区の会社員中川智子さん(35)は「生ワクチンは危ないと聞いて不活化ワクチンを打たせたいと思っていた。6千円は高いけど、県が受け付けてくれて接種できてありがたい」と話した。
 現在承認されている生ワクチンはごくまれにまひの副作用が生じるため、厚労省は不活化ワクチンを来年度末にも導入する予定。神奈川県は先行して個人輸入し、希望者に独自に提供する方針を10月に表明した。
 (了)
(32)111215170536
(14) 新任教諭自殺は公務災害
  問題行動で負荷と静岡地裁
 静岡県磐田市の市立小学校教諭だった木村百合子さん=当時(24)=が自殺したのは仕事上のストレスによるうつ病が原因だとして、公務災害ではないと判断した地方公務員災害補償基金静岡支部の認定を取り消すよう両親が求めた訴訟の判決で、静岡地裁は15日、原告の訴えを認め、認定を取り消した。
 判決理由で山崎勉裁判長は「採用直後に担任したクラスで児童の問題行動が相次ぎ、強い心理的負荷を受けた」と指摘。同僚からの適切な支援も得られず、精神状態を悪化させたのが自殺の原因とした。
 判決によると、木村さんは2004年に教員採用され、4年生のクラスを担任したが、児童が授業中に暴れるなどの問題行動に悩み、約2カ月でうつ病を発症。同年9月29日、自宅近くの駐車場で自分が乗った車に火をつけて自殺した。
 判決後の記者会見で弁護団は、静岡地裁の判断を「新規採用教員の立場を考慮し、ストレスの大きさを的確に認定した」と評価し、控訴しないよう同基金静岡支部に求めた。父憲二さん(62)は「学校で何が起きているかを調査し、同じことが起きないよう対策を立ててほしい」と訴えた。
 同支部は「判決の内容を精査して対応を検討したい」とコメントした。
 (了)
(42)111215162031
(15) iPS由来の肝細胞発売へ
  来年4月、薬の毒性評価に
 医薬基盤研究所(大阪府)とバイオ企業のリプロセル(横浜市)は15日、新薬開発の際に毒性や副作用をチェックするための肝臓の細胞を人工多能性幹細胞(iPS細胞)から共同開発し、来年4月に発売すると発表した。iPS細胞をもとにした肝細胞の製品化は世界初という。
 新薬開発への応用は、iPS細胞の早期実用化が期待される分野の一つ。既にiPS細胞からつくった心筋や神経の細胞が市販されているが、薬の副作用を調べるにはほとんどの薬を分解する肝臓の細胞がもっとも重要といい、新薬の有力候補を効率的に絞り込める可能性がある。
 医薬基盤研究所の水口裕之チーフプロジェクトリーダーとリプロセルのグループは、人間のiPS細胞を肝細胞に分化させる過程で導入する遺伝子とそのタイミングを工夫。純度95%以上の肝細胞をつくり製品化した。
 この肝細胞に新薬の候補を作用させて異常が現れるか調べ、薬の安全性を評価する。現在日本の製薬企業が使う海外の肝細胞より、品質や供給体制が安定しているという。
 (了)
(36)111215174336
(16) 「安全な車」トヨタ首位に
  米調査、15車種を選出
 【ニューヨーク共同】米自動車保険業界団体の交通道路安全保険協会は15日、安全性に優れた2012年モデルの乗用車など115車種を発表し、メーカー別でトヨタ自動車が15車種選出され、トップとなった。
 トヨタは米国で大規模リコール(無料の回収・修理)を実施した後の一昨年は一車種も選ばれないなど、安全神話が揺らいでいたが、昨年は日本メーカーで首位となるなど順調に回復。今年は東日本大震災の影響で販売は伸び悩んでいるが、全メーカーでもトップとなったことで、トヨタは販売の追い風としたい考えだ。
 選ばれたのは主力車種の「カムリ」や小型車の「カローラ」、ハイブリッド車の「プリウス」など。またホンダも主力車種の「アコード」などが選ばれた。
 メーカー別ではトヨタに次いで、米ゼネラル・モーターズ(GM)が14車種で2位。その後はドイツのフォルクスワーゲン(VW)が13車種、ホンダと米フォード・モーターが12車種で続いた。
 同協会が、安全のための電子制御の有無や屋根を含めた車体の強度などを総合的に判断し、車種を選出した。
 (了)
(38)111215163001
(17) スカイツリー白一色に
  3日間ライトアップ
 来年5月に開業する東京スカイツリー(高さ634メートル、東京都墨田区)の運営会社は15日、クリスマスと大みそかに合わせ、3日間だけ白い光でライトアップすると発表した。
 ライトアップするのは23、24日の午後5時半~午後10時と、31日午後9時~来年1月1日午前1時。開業後は淡い水色や紫の光でタワー全体を照らす予定だが、今回は高さ125メートル以上の部分を白一色に彩る。
 運営会社は「離れた場所からスカイツリーの美しい夜の姿をご覧いただけるはず」としている。
 昨年末は、約540メートルまで建設が進んでいたタワーを工事用の照明で照らした。タワー本体がほぼ完成した今年は、専用に開発し設置を進めている発光ダイオード(LED)照明の一部を初めて使用する。
 (了)
(26)111215173907
(18) 店員が非常ボタン常備
  「すき家」が対策強化
 ゼンショーホールディングスは15日、強盗事件が相次いでいる牛丼チェーン店「すき家」の防犯対策強化策として、店員が常時身に着けられる「ワイヤレス非常ボタン」を全店で導入したと発表した。強盗犯に押し入られた際などにボタンを押すと同社本社に通報され、本社から警察に知らせる仕組みという。
 今年1~9月に全国の牛丼チェーン店で起きた未遂を含む強盗事件71件のうち、約9割に当たる63件が、深夜時間帯に店員が1人で勤務するすき家に集中したため、警察庁が同社に防犯対策の改善を要請していた。
 同社は10月、来年3月までに全店舗で深夜時間帯の店員を複数とする方針を決め、段階的に実施している。
 同社広報室は「要請を受けて対策強化を決めた10月13日以降、強盗事件は12件発生しているが、うち9件は未遂で徐々に対策の効果がでている」としている。
 (了)
(30)111215184829
(19) 「今年の社長」に孫氏
  2年連続、震災対応を評価
 産業能率大学は15日、企業経営者が2011年の最も優れた経営トップを投票で決める「今年の社長」に、2年連続でソフトバンクの孫正義社長が選ばれたと発表した。
 多額の寄付など東日本大震災をめぐる行動や、「カリスマ性と庶民性がある」ことなどが評価され、有効投票の約3割に当たる140票を獲得した。
 昨年4位だった米アップルの前最高経営責任者、スティーブ・ジョブズ氏は「亡くなってあらためて偉大さを認識した」との理由などから2位に浮上。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は昨年の2位から3位に順位を下げた。
 初登場組では、プロ野球参入を決めたディー・エヌ・エー(DeNA)の守安功社長が7位に、オリンパスの損失隠し問題を告発した英国人のマイケル・ウッドフォード元社長が8位に、それぞれ選ばれた。
 調査は従業員10人以上の企業経営者541人を対象に11月25日~12月5日にインターネットで行い、456人から有効回答を得た。08年に始まり、08、09年は柳井氏が1位だった。
 (了)
(36)111215164933
(20) 三笠宮さまが退院
 軽い心不全のため聖路加国際病院(東京都中央区)で入院治療を受けていた三笠宮さま(96)が15日、退院された。
 宮内庁によると、息苦しさなどの症状は治まった。公務出席は体調をみながら判断する。
 心臓の左心房と左心室の間にある弁が完全に閉じない僧帽弁閉鎖不全症と診断され、10日に入院していた。2008年と09年にも同じ症状で入院治療した。
 (了)
(14)111215153801
(21) 「破門状」印刷もダメ
  社長らに暴排条例適用
 暴力団組員が辞めたことを他団体に知らせるために発行する「破門状」を印刷して活動を助長したとして、大阪府警捜査4課は15日までに、府暴力団排除条例に基づき、府内の印刷会社社長と指定暴力団山口組2次団体幹部に対し指導書を交付した。
 同課によると、同社は35年前から破門状のほか、組員が復帰した際に出す「復縁状」などのはがきを印刷。いずれも組織名や代紋が書き込まれていた。4月の条例施行後も25回にわたり計2500枚を約20万円で受注した。
 同課によると、社長は「今後は注文があっても指導書を見せて断る」と話している。
 (了)
(22)111215171951
(22) 初心者は注意を
  長野県警が冬山情報
 登山者が増える年末年始を前に、長野県警は15日、今シーズンの冬山情報を発表し、雪崩や滑落など危険箇所への注意を促した。登山ブームで初心者の遭難が増えており、県警は「冬山に初挑戦する方は山岳ガイドなどの経験者と登ってほしい」と呼び掛けている。
 県警によると、15日時点の積雪量は北アルプスの槍ケ岳・穂高方面が40センチ、後立山方面と中央アルプスは30センチ、八ケ岳方面は10センチ。いずれも平年より少ない。12月から来年2月の降雪量は、ほぼ平年並みになりそうだという。
 積雪情報に加えて過去の遭難地点や危険箇所も略図で示し、ポケットサイズの冊子にまとめた。
 2千部を長野県内で配布するほか、今冬から500部を首都圏の登山用品店などに置く予定。県警ホームページにも内容を掲載している。
 (了)
(28)111215171403
(23) 女子マラソンはフジが中継
  来年夏のロンドン五輪
 民放連は15日、来年夏に開催されるロンドン五輪で、民放各局が中継する主な種目とスケジュールを発表した。
 日本時間で8月5日午後7時から始まる「陸上女子マラソン」はフジテレビ系が生中継。北京五輪で銀メダルを獲得、体操の世界選手権では男子個人総合3連覇という快挙を成し遂げた内村航平選手の出場、活躍が予想されている「体操男子個人総合決勝」(8月2日午前0時半~)は日本テレビ系が放送。北島康介選手が五輪2連覇中の「競泳男子100メートル平泳ぎ決勝」(7月30日午前3時半~)も同じく日テレ系に決まった。
 室伏広治選手の活躍が期待される8月6日未明の「陸上男子ハンマー投げ決勝」や「陸上男子100メートル決勝」を中継するのはテレビ朝日系。TBS系は吉田沙保里選手が五輪2連覇中の「レスリング女子55キロ級決勝」(8月10日未明)を担当する。
 実際の放送時間は、来年決まるという。
 (了)
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12月2日(金)

育鵬社版551冊と報告

 市教委 政治運動激化を陳謝

  八重山地区の公民教科書問題で、県教育委員会が必要な教科書の冊数報告を見送ったことを受け、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)は1日、文科省に対し「情報提供」という形で直接、冊数を報告した。与那国町教育委員会(崎原用能教育長)も2日、文科省に冊数を報告する方針。2市町教委とも、育鵬社版の採択を認めようとしない県教委に対し、不信感をあらわにしている。

 

市教委の文書では、県教委が「法的に何ら根拠のない9月8日の会議を有効と主張している」として、東京書籍版の採択は無効と指摘。教科書の冊数は育鵬社版で報告しているが「文科省に届いているかどうか懸念される」と述べている。

 

また「一部の政治的運動から多大なるご迷惑をおかけしている」と、育鵬社版の反対運動が激化していることを陳謝した。育鵬社版の冊数を来春の中学3年生が使用する551冊とした文書を添付した。

 

崎原教育長は、文科省あてに冊数を情報提供する文書を準備しているとした上で「県教委は3市町から上がったもの(冊数報告)をそのまま文科省に報告するべきだ。報告しないのは越権行為、職務怠慢だ」と批判。県教委を強く指導するよう求める要請書の提出を検討する考えを示した。

 

 教育委員長に具志堅学子氏

与那国町教育委員会は1122日の定例会で、辞任した入慶田本朝政前委員長に代わり、具志堅学子委員を新委員長に選任した。

 

入慶田本氏は、東京書籍の公民教科書を採択した全教育委員の協議を有効とした文書を石垣市、竹富町の教育委員長と連名で送ったが、町教委が文書の無効を議決したため、責任を取る形で辞表を出した。教育委員職にはとどまった。

 

崎原用能教育長と具志堅委員長は育鵬社版の採択を支持している。

 

大城県教育長 「一本化」継続

県教育委員会の大城浩教育長は1日の県議会で、八重山地区の公民教科書問題について「採択地区内で、すみやかに同一の教科書を採択できるよう、引き続きお願いしている」と述べ、一本化に向けた調整を継続する考えを示した。辻野ヒロ子氏の代表質問に答えた。

また「採択権限は3市町教委にある」と改めて強調。「一致団結して取り組んでいただき、一日も早い解決をお願いしたい」と要望した。

 

12月3日(土)

県に報告求め通知

 文化省が今月期限 竹富町の対応めぐり

文部科学省は2日、八重山地区の中学公民教科書問題で、採択地区協議会が答申した育鵬社版と異なる東京書籍版を選んだ竹富町が今後どう対応するのかを、12月末までに報告するよう県教育委員会に通知した。

 

中川正春文科相は2日の閣議後の会見で、町が自費購入を拒否する構えを崩していないことについて「子どもたちに支障が出ない環境を作っていくことは、国も県も市も同じ責任がある。ルール通りやらないと決めたのなら、決めたことの責任を果たすべきだ」と指摘した。

 

また、ルールとは採択地区協議会の規約を指すと明言。「規約通りにやって(育鵬社版という)結論が出ている。それに対し、竹富町が納得できないということなので、町が責任を持って、独自の教科書を支給してくださいということ」と述べた。

 

文科省の通知では、竹富町があくまで東京書籍版を採択する場合、生徒に教科書が行き渡らない事態を避けるためには、町が教科書を購入し、生徒に無償給与するほかないとしている。

 

 与那国町も冊数を報告

八重山地区の公民教科書問題で、県教育委員会が来年度必要な教科書の冊数を文科省に報告しなかったことを受け、与那国町教育委員会(崎原用能教育長)は1日、冊数を「情報提供」という形で、直接文科省に報告する文書を送った。与那国町が来年度使用する育鵬社版の冊数は17冊。

 

石垣市教委も同じ日に「情報提供」の文書を送っており、2市町教委が歩調を合わせた。

 

崎原教育長は、県教委を指導するよう求める要請書を別個に文科省に送ることも検討。しかし文科省がこの日、県教委に対し、12月に竹富町教委の対応方針を示すよう求める文書を送ったことから、要請書の送付は当面見合わせた。

 

崎原教育長は、教科書問題の解決について「県が竹富町を指導できるかどうかにかかっている」と述べた。

 

12月7日(水)

「文科省の指導は違法」

 県担当者が可能性指摘 国と法解釈が対立

八重山地区の公民教科書問題をめぐる県と3市町の教育長による非公開の意見交換会で、県の担当者が、育鵬社版の採択で教科書をまとめるよう求める文科省の見 解について「違法の可能性がある」と述べていたことが6日までに、出席者への取材で分かった。担当者は「私たちが育鵬社を採択するように求めると、必ず住 民から訴訟が起こります」とも主張。県が文科省方針に対し「徹底抗戦」の構えであることも改めて浮き彫りになった。


意見交換会は1128日、県庁で開かれた。大城浩県教育長、玉津博克石垣市教育長、慶田盛安三竹富町教育長、崎原用能与那国町教育長のほか、県教委から義務教育課の狩俣智課長らが同席した。


出席者によると、玉津、崎原教育長は、文科省の指導に従って、県が竹富町を指導し、育鵬社版で教科書をまとめるべきだと求めた。


これに対し、狩俣義務教育課長は、訴訟の可能性に言及した上で「訴訟が起こった場合は、県が責任を取る。文科省ではない」と突っぱね「私たちは合法でないと指導助言しない。文科省の指導は違法の可能性があるというのが弁護士の話だ」と述べた。


崎原教育長は「訴えられるとか、そんな問題ではないでしょう。文科省は違法なことを指導助言するのか」と疑問を投げ掛けた。


教科書無償措置法によって、3市町は「協議」して同一の教科書を採択しなくてはならない。地方教育行政法は採択権限は教委にあると定めている。


大城教育長は、育鵬社版を選定した八重山採択地区協議会の答申について「答申そのものは、いわゆる協議の結果とみなすことには無理がある」と発言。協議会の答申は「協議」の結果ではないという解釈も示した。


文科省は、協議会の答申が「協議」の結果に当たるという解釈に基づき、育鵬社版でまとめるよう指導している。県と文科省の法解釈が完全に対立していることになる。


玉津、崎原教育長は「協議は終わっている」などと反論。県が求める「再協議」には応じない考えを示し、議論は平行線をたどった。

 


4教育長、対立続く

 意見交換、終始平行線

関係者への取材で再現した県教委と3市町教委の意見交換の主なやり取りは次の通り。 

全教育委員による協議の有効性

狩俣県教委義務教育課長 八重山教育委員協会で協議しましょうと確認した。

玉津石垣市教育長 われわれは同意していない。

狩俣課長 個別に(3市町の教委の)会議が行われ、意見が集約されて、話し合いましょうと決まっている。これで同意されている。

玉津教育長 その前に狩俣課長が、必ず(協議をするために)戻って来い、戻らないことは許しませんと言っているでしょう。

崎原与那国町教育長 協議を有効にするには、3教委が同意しなければ協議自体が無効だ。

 

採択地区協議会の答申

玉津教育長 協議会は教科書無償措置法に基づいて作られた。教科書の無償措置を受けるための手続きとして、同一の教科書を採択しなければならないという義務規定だ。育鵬社に決まったならば、関係市町村は、それを採択しないと法律を犯すことになる。

大城県教育長 県が答申に基づいて採択せよと指導することは、採択権の侵害、協議の妨害になる可能性がある。法的拘束力を有さない答申の通り採択を決めることは答申に事実上の強制力を持たせることで、違法である。

 

竹富町の教科書「有償化」

慶田盛竹富町教育長 私は第三者に、なぜ竹富町は有償かという説明ができない。

玉津教育長 無償措置してほしければ、無償措置法の手続きをしないといけない。私たちは無償措置してほしいから、法に従って同一の教科書を採択した。

 

育鵬社版採択の是非

慶田盛教育長 石垣市の4月以降を考えてみよう。学校現場でも大半が(育鵬社の)教科書には批判的。父母も訴訟を起こしている。タイムス、新報を見ても地域は6割以上反対している。信頼関係はどうなるのか。

玉津教育長 行政は法に基づいてやる。それが私の原則だ。

崎原 マスコミありきの話をするとおかしくなる。

 

再協議

狩俣課長 私たちが育鵬社を採択するように求めると、必ず住民から訴訟が起こります。起こった場合は、県が責任を取る。文科省ではない。私たちは合法な方法でないと指導助言はしない。文科省の指導が、法的に妥当か検討する必要がある。違法の可能性があるというのが弁護士の話だ。

大城教育長 再協議することを考えてほしい。

崎原教育長 竹富町を指導するほかない。再協議しても同じことだ。

玉津教育長 再協議はいたしません。ぜひ、文科省が言うように竹富町を指導してほしい。

慶田盛教育長 竹富町は法律で決められている採択権を行使している。

 

元ミスター文化省 解決策提言

 「義務」教科書は無償 分権の時代 選定は自由に

寺脇研氏(写真提供・映画芸術誌)
寺脇研氏(写真提供・映画芸術誌)

【東京】八重山採択地区公民教科書問題の〝迷走〟について、元文部科学省官僚、寺脇研氏に率直な感想を聞いた。問題解決の糸口はないだろうか。

06年の退官後、以前にも増して多忙を極める寺脇氏だが、函館港イルミナシオン映画祭(12月2~4日)にゲストとして招かれている中、携帯による取材に時間を割いてもらった。(浦崎浩實)

 

――今回の事態でまず、お感じになったことは?

寺脇 この問題で奇妙なのは、中学公民教科書を石垣市と与那国町は無償給与、竹富町には自費購入を文科省が求めている点です。

 

教科書の無償制度はご存じのように「教育の機会均等、義務教育の無償」(憲法26条)に基づいているわけです。そのあとに採択地区の同一教科書の問題、どの教科書を使用するかの議論があるわけで、決してその逆ではない。

 

義務教育の教科書は無償である、という大前提に常に立ち返らなければならないはずです。「法律に従って整理していく」と言うのであれば、なおさら、そうなりますね。

 

――文科省、県の教育長、市町村の各教育長と、どちらが強い権限を持つのか。八重山地区は県の指示に従わず、文科省に〝直訴〟する手段に出たけれど、県も今のところ文科省の指示に従っていない。

 

寺脇 地方分権が言われる時代なんですから、それぞれに任せていいように思いますね。実際、そうしている地域もあるのだし。

 

今回、教科書採択の手続き問題において、双方が譲らないようですが、義務教育の教科書は無償であるという大前提に立てば、折り合えるのではないでしょうか。

 

何度も言いますが、義務教育の教科書(検定を通過したもの)なら、どの教科書であれ、無償給与の対象で、それは採択地区の事情を超越すると思います。

 

【寺脇研氏プロフィール】1953年生れ。東大卒。元文部科学省官僚。初等中等教育局教科書管理課、同検定課を振り出しに教育畑最前線で活躍。広島県教育委員会教育長として出向した期間もある。ゆとり教育、脱偏差値、生涯教育ほか省内機構を含め数々の改革を行い、「ミスター文部省」と呼ばれた。文科省大臣官房広報調整官を最後に06年退官。現在、京都造形芸術大学教授。

 

12月9日(金)

記者の目

八重山地区の公民教科書問題はなお解決の気配がなく、東京書籍版の採択を求める反対運動が活発に展開されている。県教委には事態収拾に向けた努力が求められるが、育鵬社版でまとめるよう求める文科省の指導に対し「違法の可能性がある」と「徹底抗戦」の構えで、火に油を注ぐ結果に。先の見えない状況はいつまで続くのか。

 

12月15日(土)

教科書問題に口挟まず 竹富町議会

 竹富町議会(西大舛髙旬議長)12月定例会は14日から一般質問に入り、宮良用範、東迎一博、島仲秀憲、西表貫之の4氏が登壇した。八重山地区の中学校公民教科書採択問題で、慶田盛安三教育長は9月8日の全員協議会の東京書籍採択について触れ、「県は有効、文科省は整っていないとし、今でも尾を引いている。今月いっぱいで町の採択について求められているが、私たちは最初から通してきた東京書籍を採択、もちろん無償でと報告した」と述べた。

 

 島仲氏が公民教科書採択問題について質問した。慶田盛教育長は、1128日に県庁で開かれた県と3市町教育長による意見交換会での内容を報告。「町は法律で決められている採択権を行使し、決定しましたと結び、意見交換会を終えてきた」と話した。

 

また、東京書籍と育鵬社の公民教科書の内容について川満栄長町長へ質問。川満町長は「口を挟むことはしないというスタンスの基にここまできている。教育委員会の決定を尊重したい」とし、内容についてはコメントを差し控えた。

 

東迎氏は波照間海運の運休について質し、川満町長が「残りの1社には強化策を訴えており、同社は島民の生活に支障がでないよう全力で取り組むとしている。島民の気持ちに立った対応策を求めていきたい」とした。

 

 宮良氏は西表島の岩原公園整備について質問した。1996年に町が調査した結果、整備費用が概算として1100万円であることを指摘。川満町長は「国有地なので、国に対応してもらいたいというのが町のスタンス。諦めずに訴えていきたい」と強調した。

 

西表氏は、TPP問題について町長の見解を求めた。川満町長は「関税が撤廃されれば、基幹作業である第1次産業が崩壊し、医療関係や金融関係など仕組みが変わることも懸念される」とし、「反対の意思を堅持して、思いを訴えていきたい」と答えた。

 

12月20日(火)

市議会 教科書問題質問要旨

大浜哲夫氏

―育鵬社の公民教科書を選定した八重山採択地区協議会の答申には拘束力があるのか。 

前花教育部長・拘束力の存否が問題となるのではなく(同一の教科書採択を求める)教科書無償措置法と(教科書採択権は教委にあるとする)地方教育行政法の2つの法律を満足させるべきだ。

玉津教育長・答申は尊重されるべきものであって、拘束される、されないという問題設定はなじまない。

 

―教育長は竹富町に対し、答申に従うべきだとずっと述べている。現在、竹教委とはどのように話し合っているのか。

玉津教育長・竹富町とは個別に話し合いは持っていない。

 

―東京書籍版を採択した全教育委員による協議を無効とした教育長の文書発出は独断専行だ。文書を取り消すべきだ。

前花部長・市教委は採択を一切変更しないことを5人全員で確認し、協議に臨んだ。文書は教育長の権限で発出できる。

玉津教育長・文書を取り消す意思はない。

 

―全教育委員による協議の開催を支援した県教委の指導に、なぜ抵抗するのか。

玉津教育長・採択の業務は完了している。県教委の指導、助言、援助は必要ないものと理解している。

 

―県教委と再度テーブルに着く意思は。

玉津教育長・県教委から再度申し入れがあれば受けたい。

 

―八重山採択地区協議会の答申と異なる東京書籍版を採択した竹富町について、文科相は「有償」と発言しているが、憲法からは理解できない。どう思うか。

金城市教委総務課長・昭和39年2月26日の最高裁大法廷判決で(憲法によって)授業料は無償だが、教科書や学用品は無償ではないという判決がある。

 

―市民、竹富町民でつくる組織が文科省に3万人余の署名を提出し、東京書籍版の採択は有効であると要請した。

前花部長・3万人の署名は、沖縄を中心に他の都道府県も含む数だと聞いている。市教委は教科書無償措置法と地方教育行政法に基づいて教科書を採択した。署名数のいかんにかかわらず、採択を変更することはない。

 

―高校生の保護者からの公開質問状の受け取りを拒否し、ノーコメントを連発した。教育行政がこれでいいのか。

玉津教育長・ノーコメントだったのは話し合いの途中だったから。現在は回答を両紙に載せたので、説明責任は果たした。受け取りを拒否したのは、高校生が大学受験を控えていたので、事を荒立てたくないと躊躇(ちゅうちょ)したからだ。

 

長浜信夫氏

―市民から行政訴訟を提起されたことをどう考えるか。

玉津教育長・粛々と受け止めたい。訴状が届いておらず、市教委が訴えられているのか、私個人が訴えられているのか分からず、コメントは控えたい。

 

―教育長は竹富町の採択が違法だとし、県に育鵬社の採択を指導するよう求めているが、越権行為だ。

玉津教育長・(竹富町は)同一の教科書を採択しなければならないという点において法律に触れているという認識だ。

 

―常に沖縄の歴史は外圧に翻弄されてきた。平和を愛する心、命を大切にする心、人とのつながりを大切にする心がウチナーンチュの心だ。あなたはウチナーンチュの心を持っているのか。

玉津教育長・私は生まれも育ちも石垣島で、大学生、社会人としては本土、沖縄で暮らした。社会人としては県立高校教員として教育にかかわり、沖縄の歴史や文化に対しては人一倍、強くかかわってきたものだと思う。沖縄をこよなく愛し、誇りに思っている。

 

―教育行政を内外から憂慮する声が届いている。市長はどう思うか。

中山市長・教科書の一本化が図られず、混乱をきたしている状況が長く続いていることに心を痛めている。できるだけ早い時期に一本化が図られ、子どもたちが安心して勉強できるようにしてほしい。

 

「苦しい追求」野党

 教科書問題、国方針受け

石垣市議会の一般質問では、質問者20人のうち野党7人が教科書問題を取り上げ、今議会も9月議会に続き「教科書議会」の様相を呈している。しかし教科書を無償配布する権限を持つ文科省は、市教委を支持する見解を明示。市教委を批判する野党側が、むしろ追い詰められた形になっており、野党は「苦しい追及」を強いられている。

 

19日の一般質問で教科書問題を取り上げた大浜哲夫氏。県教委が、東京書籍の公民教科書採択を有効とする立場を示していることを挙げ「直接の上部組織と見解が違うことが許されるのか」と食い下がったが、すでに文科省が逆の見解を示しているため、与党席からは笑い声が起こった。

 

文科省が、竹富町が採択した東京書籍の公民教科書を有償とする方針を示していることについて「憲法からは理解できない」(大浜氏)などと批判。これに対し市教委は、最高裁判決で文科省方針と同様の法解釈が示されていると指摘し、野党の主張を冷静にかわした。

 

長浜氏は「教科書問題は石垣市のマイナスイメージを内外に発信している。本島から八重山への転勤を断る教員が出ていると聞いている」と述べ、市教委に対し、玉津教育長の辞任を要求。野党側の意気軒昂さをアピールした。

 

しかし野党側が、市教委が採択した育鵬社版を一方的に非難し、東京書籍版の採択を主張するだけでは、追及の決め手を欠く。「歴史教科書も変えようという気持ちはあった」という発言を取り上げた質問はその典型例だ。9月議会と同じパターンの質問が繰り返されるだけならば、後ろ向きとの印象も与えかねない。

 

12月21日(水)

教科書問題一般質問要旨

石垣三雄氏

―教科書の一本化が図られていないのはなぜか。

 

石垣教育委員長・無償措置法に従って採択していない教委があるからだ。

―非常に不可思議な答弁だ。竹富町教委の採択権を否定している。

玉津教育長・採択は無償措置法と地方教育行政法の2つの法律を満足させないといけない。採択地区協議会の答申は尊重されるべきものだ。

 

―教科書の一本化に向けてどのように努力したのか。

玉津教育長・協議会の規約改正で、採択が整わない場合、県教委の指導助言を受け、再度協議会を開き、そこでの決定を答申の最終決定とする、と提案した。しかし一部の委員から「そこまでやる必要はない」という意見があり再協議は役員会だけでいい、という骨を抜かれた規約になった。県教委にもアドバイスを求めたが、ノーコメントだった。8人の委員で決めたことを3人(の教育長)で覆すことはできない。一本化に向けた努力は、会長としてはできなかった。

 

 ―全教育委員による9月8日の協議が無効だとする根拠は。

 前花教育部長・市教委は協議の途中で、5人の教育委員全員で話し合い、今後一切、採択を変更しないことを確認して協議に臨んだ。新たな協議はあらかじめ定めた規約もなく、教委の了解も得ず、多数決で一方的に進められており、教科書無償措置法の条件を満たしていない。

 

―自分の採択を曲げないのであれば、どこまでも平行線だ。教育長として教科書を一本にまとめる義務がある。重大な任務放棄だ。あなたに教育長の資格はない。

 

 砥板芳行氏

 ―採択地区協議会の議事録が、公開前に流出した件の原因は。

前花教育部長・原因解明には至らなかった。

 

―6月17日から30日まで県八重山教育事務所が行った教科書展示会のアンケート結果を把握しているか。県教委は、アンケートの内容は公開するように通知している。

玉津教育長・7月8日、教育事務所に問い合わせたが、この業務は県の依頼であり、原本は県に送るので見せられないと言われた。再度問い合わせると、コピーはあるが、副会長と一緒なら見せるという不思議な条件が付いた。県教委に問い合わせると、文科省に確認すると断られ、そのままだ。県は通知そのものを知らなかったのではないかと推測する。数日前に教育事務所に確認したところ「答える立場にない」という返事だった。

 

―県教委が教科書問題で、裏でいろいろ画策して、都合の悪いものは隠している。今回の教科書問題で、混乱に拍車を掛けているのは県教委だ。

 

12月22日(木)

教科書問題質問要旨

池城孝氏

―新学期を前に、公民教科書が定まらない現状をどう考え、八重山採択地区協議会会長としてどのように責任を果たしていくのか。

前花教育部長・選定教科書の変更はなかった。そこで会長の役割を果たしたと考えている。文科省は閣議決定で、市教委に教科書を無償給与することになっている。

 

―住民訴訟の対応に追われることになるが、それで教育長の職責が果たされるのか。 

玉津教育長・まだ訴状が届いていないので、今のところコメント差し控えたい。

 

―新学期に向けて県教委、PTAから積極的な協力が得られるのか。

―教科書問題で3市町、保護者、学校現場、教師OB、教育委員との絆が崩壊した1年だった。現状をどう感じているのか。

玉津教育長・冠鷲プロジェクト、教科書問題を含めいろいろご意見はあるが、この1年間、多くの方々が教育はどうあるべきか真剣に考えてもらった。

 

―絆の修復は難しい。冠鷲プロジェクトはお先真っ暗だ。市長の政治判断が求められる。

中山市長・教育長は法を犯したわけでもない。今後とも教育長として学力向上に取り組み、しっかりした教育行政を運営してほしい。

 

―絆が崩れ去り、チームプレーもできない。教育長として辞任が相当だ。

玉津教育長・ルールをしっかり守っているのは私たちだ。ルールを踏まえ、チームプレーを引き続きやっていきたい。辞任の意思はない。

 

小底嗣洋氏

―教科書選定で、子どもたちのために真剣な審議がされたと言えるのか。「協議会の責任と権限」とは、教育長自らのシナリオに基づいた育鵬社採択のための手段であり、巧妙かつ卑劣だ。

前花教育部長・これまでは協議会の協議が形骸化していた。多数ある教科書の中から調査員の報告書を参考に、委員が責任を持って選定する自覚を明確にした。

 

―採択された中身が公正・適正なものでなくてはならない。教科書は果たして適切な判断で採択されたのか。

玉津教育長・委員の皆さんはそれぞれの教科書に対してコメントを寄せているので、それをもって協議をしたと理解している。協議が十分でないという指摘もあるが、次の採択の時期には、もっと協議ができるような改善を加えたい。

 

―非常に苦しまぎれの答弁だ。議論も深めないで、どの教科書がいいか、悪いか判断しないで、ただ委員のスタンスで教科書が決められている。

玉津教育長・ 協議会は決して討論会ではない。私は協議会の進め方について全国の会議の情報を集めた。教科書の名前を出さないのはどうしてかというと、文科省の指導も あって、教科書はすべて検定を通ったものなので、特定できるような名前はあまり使わないでほしい、ということだった。それは通知ではなくて、教科書採択に ついての文書の中にある。

 

― 育鵬社版は改正教育基本法の趣旨にのっとっているというが、育鵬社のみがのっとっているわけではない。必ずしも育鵬社でないといけないという理由にはなら ない。育鵬社が最も子どもたちにふさわしいという信念があるなら、もっと教科書の中身を熟読する中で、具体的にどの部分が素晴らしいかを堂々と述べなくて はならない。それが説明責任だ。

玉津教育長・ 今回の改革は教員による順位付け、1種絞り込みをやめたいということ、そのためには委員の皆さんにしっかりと勉強していただいて、自分なりの教科書を選ん でいただきたい、ということで進めた。7月に入り、教科書をいろいろ調べ、それぞれの教科書を選び、協議会に臨んだ。その結果が出てきている。

 

12月23日(金)

教科書問題質問要旨

宮良操氏

―市民に採択事務のすべての情報が開示されていない中で、軽率にも月刊誌のインタビューで全国的に情報を開示している。なぜ一方では市民や議会に情報開示をせず、中立性を守らないといけない人が一方的な背景を持った人たちの取材に応じて、このような汚点を残すのか。これが中立を守る教育長の職責なのか。

玉津教育長・教科書問題について、いろんな形で理解をしてもらいたいという思いから対談に応じた。

 

―とんでもない答弁だ。誰の理解を求めるのか。

玉津教育長・雑誌を読んでいただく方ということになる。

 

―この雑誌は会員制雑誌だ。市の教育関係者、市民、行政よりも会員制雑誌の理解を得るためにこんなことをするのか。県紙や地元紙は偏っているといいながら、この雑誌は偏っていないのか。

玉津教育長・私は思想的な所見で教育行政をやっているとは認識していない。

 

―教科書問題で、高校生の保護者から公開質問状が出ている。当時校長の教育長しか知り得ない高校生の情報がなぜ流出したのか。

 玉津教育長・モクで話した内容は新聞の取材でも話した内容で、新たな情報を開示しているとは理解していない。

 

―(地元紙に投稿した高校生は)留学して民主主義に理解を深めた。子どもの成長をこういう立場で見るべきだ。なぜ「偏った情報をうのみにした」と。教育者として言ってはいけないことを言うのか。

玉津教育長・民主主義を実践する場合には、保守的とか革新的とか、さまざまな意見を踏まえた上で判断する。投稿を見ると、意見収集の部分が十分ではないと思っている。まだ若いので、民主主義をしっかりと考えてくれると心から期待し、応援している。

 

―県紙が、採択地区協議会の議事録が改ざんされたと報道していることに説明を求める。

玉津教育長・議事録は会議の要点を記録するもので、一言一句記載しなくてはならないものではない。しかし市教委の担当者は一生懸命聞き取りをし、そのまま記載した。私が把握しているのはこれだけだ。新聞は事実無根だ。

―ボイスレコーダーの開示を求める。教育長は支離滅裂で不適格者だ。こういう軽率な行為は慎みなさい。

 

前津究氏

―調査員が推薦しない育鵬社がなぜ選ばれたか疑問が残る。

 前花教育部長・協議会の審議が形骸化していた。委員に権限があることを明確にし、責任を持って選定する自覚を促したものだ。

 

 ―過去の議会、今議会でうそやでたらめな答弁をしたことがあるか。

玉津教育長・私の答弁がうそ、でたらめであるという認識は持っていない。

 

―きのうの小底氏の質問で、文科省の通知があったというが、資料の提出を要求する。

玉津教育長・小底氏の質問は突然だったので、私の答弁にあいまいな表現があったことはお詫びしたい。協議のあり方はこうしなさいということ(指導)はない。文科省の文書は平成2年3月20日付け初等中等教育局の文書。自分なりに理解して協議を進めているものだ。「(採択の)理由を公表する場合には、教科書の特色などに留意し、単に教科書に優劣をつけるものにならないよう配慮する必要がある」とある。

 

―文科省が名前を伏せなさいと通知で言ったと言った。あなたの解釈を求めているのではない。 

玉津教育長・きのうの発言にぴったり一致する資料はない。私が教科書の名前を言わないで協議を進めようと考えたのは、私たちは法律を解釈して事業をしているからだ。

 

―うそがばれて困ったら小底議員が悪いのか。なぜ素直にないものはないと言わないのか。

任命された委員は教科書を読んでいない。今回の改革はずさんだ。育鵬社選定のための協議会だったという答えしかない。苦労して取りまとめた調査員の報告書がほごにされて、推薦以外の教科書が選ばれた。どう思うか。

石垣委員長・調査書は大切にしたいと思う。参考にはするが、それのみというわけにはいかない。自分の判断をするために大切だ。

玉津教育長・読めないという方がいたことも事実。読んでくださいとお願いしながら、ここまで来た。4年後に向け、協議会の委員の皆さんにしっかり意識を持っていただきたい。

 

―委員が第三者と会ったという事実はあるか。

玉津教育長・そのようなことは承知していない。

 

―(育鵬社を執筆した日本教育再生機構理事長の)八木秀次氏がニコニコ動画で「8月1日に育鵬社に決定しそうだとある筋から情報が入った」と発言した。誰がそんな情報を流したのか

玉津教育長・私もあの動画は一週間後に見た。八木さんは八重山地区にはノータッチとはっきり言っている。協議会の委員からは情報は流れていない。

 

―年明け早々調査が入り、司法の場で玉津氏に意図的な動きがあったことが明らかになると期待する。

 

12月24日(土)

教科書問題 成果なく

 野党と教育長応酬

教科書問題を追及する野党に対し、当局と答弁を調整する玉津教育長(右)、石垣委員長=19日、市議会
教科書問題を追及する野党に対し、当局と答弁を調整する玉津教育長(右)、石垣委員長=19日、市議会

19日から4日間の石垣市議会一般質問では、与野党の8人が教科書問題を取り上げ、9月議会に続いて「教科書議会」の様相を呈した。育鵬社の公民教科書採択を批判する野党に対し、改革の正当性を主張する玉津博克教育長という構図は9月議会と同じ。双方とも歩み寄らず「成果」を出せないまま終わった。

 

池城孝氏「教科書問題で3市町、保護者、学校現場、教師ОB、教育委員との絆が崩壊した」

 

玉津教育長「ルールをしっかり守っているのは私たちだ。ルールを踏まえ、チームプレーを引き続きやっていきたい」

 

革新系の野党議員は「保守系」とされる育鵬社の公民教科書に激しく反発。玉津教育長は、法にのっとった教科書採択であることを強調し譲らない。9月議会と似たような内容の押し問答に、ある市民は「いつまで続くのか」とため息をつく。

 

野党にとって今議会は「玉津教育長の月刊誌での発言」「高校生の保護者の公開質問状」などという新たな攻撃材料もあったが、ほとんどが地元紙の報道を根拠にした質問。報道以上の答弁を引き出せず「不発」の感が強い。

 

玉津氏の答弁に対し野党が「答弁になっていない」と反発、これに対して玉津氏がまた同じ内容の答弁をするなど、堂々めぐりの議論も目立った。

 

教科書無償措置法と地方教育行政法の優先関係、全教育委員による協議の有効性など、複雑な法解釈をめぐる応酬は、多くの一般市民にとっても分かりにくかったはずだ。

 

玉津氏の答弁に業を煮やした野党議員が罵声や怒号を浴びせるというパターンも9月議会と同じ。こうした質問態度に「冷静さを欠く」という指摘もある。

 

玉津氏の「失言癖」もぶり返した。教科書選定の方法について「文科省の指導もあって」と答弁したあと、翌日になって根拠を問われ「ぴったり一致する資料はない」とトーンダウン。

 

答弁が準備不足だったことを認め「小底嗣洋議員の事前の通告のない質問から始まっている」と説明したため、激怒した小底氏が「質問者に対して失礼だ」と玉津氏に詰め寄る場面もあった。

 

与党からは唯一、砥板芳行氏が教科書問題を取り上げ、県教委の矛盾した言動を暴露するなど、玉津氏を援護射撃。仲間均氏は一般質問冒頭の「所見」で「なぜ育鵬社の教科書だけが問題になるのか。まさに改革とは抵抗だ」と強調した。

    (仲新城誠)

 

12月27日(火)

文科相に再度質問状

 竹富町教委 「見解分からず」

竹富町教育委員会(竹盛洋一委員長)の臨時会が26日、町役場で開かれ、公民教科書問題で東京書籍版の無償配布を求める方針を確認した。文科省は町教委に対し、今月中に方針を報告するよう求めているが、東京書籍版を有償とする文科省の見解が「よく分からない」(慶田盛安三教育長)として、文科省に改めて質問状を送る方針。

 

文科省が東京書籍版を有償で購入するよう求めているのに対し、竹盛委員長は「東京書籍を貫く。無償しか考えていない」と、予算計上しない方針を改めて示した。

 

新学期が始まる来年4月に、公民教科書が子どもの手に渡らない可能性があるが、記者会見で竹盛委員長は「そのへんのことは重々考えている」と述べるにとどめた。

 

慶田盛教育長は「(育鵬社版を選定した)八重山採択地区協議会は始めに結論ありきだった。文科省は説明なき結論だ。われわれに瑕疵(かし)があるのか」と採択地区協議会、文科省を批判。東京書籍版の予算計上をしないことについては「お金で子どもたちの魂を売るようなことはしたくない。子どもたちの心を大事にしたい」と強調した。

 

教科書問題の学校現場への影響については「特に問い合わせはない。現場の先生に不安感はないと思う」と述べた。

 

文科省に対する質問状は27日までに県を通じて送る。内容については、文科省から回答が届いた段階で公表するとしている。

 

町教委は9日、文科省に対し教科書問題の質問状を送付。文科省からは16日、公民教科書の自費購入を促す回答書が届いている。

 

未解決のまま年越し

 竹富町教委 文科相案を拒否

竹富町教育委員会が26日、東京書籍版の無償配布を求める方針を再確認したことは、文科省が示した「東京書籍版を自費で購入する」という解決案を事実上拒否したことを意味する。事態打開のめどは立たず、教科書問題は未解決のまま年越しの見通しになった。

 

文科省が公民教科書の自費購入を求めているのは、無償配布を認めた場合、地区内で同一の教科書を採択するよう求める教科書無償措置法に違反する状態を追認することになり、法治国家の崩壊につながりかねないという懸念があるためだ。

 

慶田盛安三教育長は、教科書採択について①調査員(教員)の報告書を第一に考える②父母、地域の意向を踏まえる―とする町教委の基本姿勢を強調。育鵬社版を選定した八重山地区採択協議会に問題があるという姿勢を崩さず、妥協点は見えない。

 

町、文科省とも教科書費を予算措置しない方針を示しているため、現状では新学期に公民教科書が子どもの手に渡らない可能性が危惧される。

 

こうした事態を回避するため、関係者の間では、寄付金による購入や有志による教科書の寄贈、県による予算措置などの可能性が取り沙汰されている。ただ、町教委が「有償での購入は全く考えない」という建て前を貫く限り、いずれも論理的に説明できず、抜本的な解決にもならない。

 

文科省に方針を回答せず「質問状」を送り続ける戦略も一時しのぎに近く、成算は見えない。文科省と町教委の間で「調整役」となるべき県教委も町教委の支持に徹するだけで、積極的な動きはない。

 

育鵬社版を採択した石垣市、与那国町は、文科省が無償配布の方針を固めたことで、2市町に関しては決着済みという立場を示す。

 

慶田盛教育長は「(教科書問題は)大人同士のいがみ合いに尽きる。子どもたちの未来を考えると、うんと論議を深めていく必要がある」と呼び掛けるが「どの教科書が八重山の子どもにふさわしいのか」という根本的な問題は、すでに論議の機運も去り、しらけたムードが残っている。

(仲新城誠)

 

12月28日(水)

議事録「改ざん」

 市議会 確認できず

 市議会一般質問で教科書選定方法の根拠を問われ「文科省の通知もある」と答弁した玉津博克教育長は26日、質問者の小底嗣洋氏に対し、文書で答弁の根拠を説明した。


 自身が会長を務める八重山採択地区協議会では、教科書名を伏せたまま教科書選定の協議を行った。玉津氏は1990年の文科省通知に「(採択理由の公表に当たっては)教科書名の優劣をつけるようなものにならないよう配慮する必要がある」と記されていることなどを根拠に挙げた。


 市議会は27日の全員本会議で文書の取り扱いを審議。野党は、文書が教科書名を伏せて協議する根拠にはならないとして「瑕疵(かし)のある答弁をして、つじつま合わせでこんな文書を出してくるのはおかしい。本来は本会議で謝罪するべきだ」(宮良操氏)などと猛反発した。小底氏も「文書を受け入れることはできない」と怒りをあらわにした。伊良皆高信議長は「(市当局に対し)答弁では真摯に対応するよう申し入れる」と述べた。


 県紙が「議事録に改ざんがある」と報道したことを受け、この日は宮良氏の要求で、協議会議事の録音を本会議場で流し、議事録の該当部分と比較検証した。


 録音では委員の声が入り乱れているため、議事録との差異を正確に確認できなかった。伊良皆議長は「私には、議事録にあるようにしか聞き取れない」と感想。疑義がある議員は自ら再検証するよう促した。

12月29日(木)

教科書問題で批判相次ぐ

 瑞慶覧氏 国政報告会で

国政報告会で教科書問題などについて語る瑞慶覧氏=27日夜、大浜信泉記念館
国政報告会で教科書問題などについて語る瑞慶覧氏=27日夜、大浜信泉記念館

民主の瑞慶覧長敏衆院議員の国政報告会が27日夜、大浜信泉記念館で開かれた。参加者からは教科書問題で民主党政権への批判が相次ぎ、瑞慶覧氏は「政治主導と言いながら、政治主導になっていない。私自身、教科書問題では力不足だった」と述べ、東京書籍版で公民教科書を統一できなかったことを事実上陳謝した。

 

20人が参加。文科省が、育鵬社版で公民教科書を統一するよう求めていることについて「なぜ、文科省の見解が自民党の主張とそっくりなのか。われわれが政権交代に期待した意義はどうなるのか」「自民党政権よりひどい」と怒りの声が相次いだ。

 

教科書問題で、市内の保護者が市教委を提訴したことについて、瑞慶覧氏に「来年2月に初公判がある。原告になってほしい」と求める声も出た。

 

瑞慶覧氏は「原告になると(文科行政に)干渉することになり、バッジを外すことになる」と述べたが、参加者は「場合によっては離党するくらいの覚悟を持ってほしい」という声が出た。

 

与那国町への自衛隊配備について瑞慶覧氏は、防衛省が予算要求した用地取得費15億円が10億円に減額されたと報告。ただ、配備の阻止は「かなり厳しい」と述べた。

 

今後の対応については、1月に与那国入りして現地の支持者と意見交換する考えを示した。

 

12月30日(金)

住民に衝撃 激動の一年

 大震災と教科書問題

今年もあと2日。八重山にとって、激動の1年間を象徴するような大きな出来事が2つあった。東日本大震災と教科書問題だ。

 

3月11日の東日本大震災で、日本の「安全神話」は崩壊した。四方を海に囲まれた八重山でも、衝撃は大きかった。

 

八重山は、ちょうど200年前の1771年4月24日に、9000人余の犠牲者を出したとされる「明和の大津波」を体験している。大震災の教訓を踏まえ、石垣市議会はこの日を「市民防災の日」とする条例を制定した。

 

明和の大津波以前にも、別の大津波が襲来していたことが、考古学的な調査で有力になっている。数百年という単位で考えると、八重山は津波の「常襲地帯」である可能性が高く、防災意識の高揚が喫緊の課題であることが浮き彫りになった。

 

大震災は竹富町が目指す役場移転の論議にも影響を与えた。当初の移転予定地である西表島大原の町離島振興総合センターから、より標高の高い町立交流センターに変更するよう求める声が高まっている。

 

だが、同センター周辺には、ほかに高台がない。予定地に3階以上の高層の町役場を建設し、万一の際に住民の避難場所とするアイデアもある。津波が押し寄せたとき、町役場は無事だが住民は見殺しということになっては本末転倒だ。役場移転地がどの場所になるにせよ、活発な論議が望まれる。

 

「こんなことは起こらないだろう」と思ったことが起こった、という点では、教科書問題も同じ衝撃だった。

 

自衛隊が平和維持に果たしている役割を積極的に評価し、尖閣諸島が日本の領土であることを明記した育鵬社の公民教科書。「保守系」という批判を受け、激しい不採択運動が展開された。

 

「教科書問題」とは、平和運動が盛んな沖縄・八重山で、採択地区協議会が保守系の教科書を採択したことだ、と思っている住民も多いが、本質はそれだけではない。

 

八重山地区には、教科書は八重山採択地区協議会が選定する、という明文化されたルールが存在する。育鵬社の不採択運動とは、そのルールにのっとって選定された教科書を排撃する住民運動だった。

 

これに公権力やマスコミが同調し、ルールをひっくり返そうとした、という事態の異常さも、問い直されるべき「教科書問題」の本質だといえる。

 

文科省の見解によると、石垣市と与那国町は、ルールに沿って選定された育鵬社版を採択したので、教科書無償措置法という法律の適用を受けて無償配布を受ける。

 

しかし竹富町教委は、明らかにルールとは別の基準で他社の教科書を採択している。それでも採択は有効だが、この場合は町が独自に責任を持つべきだ、という結論になる。

 

町民が教科書の無償配布を望むのは当然とはいえ、竹富町だけ特別扱いすると法治国家の原則が崩れる。国も苦渋の選択だったはずだ。教科書問題は、とうとう年を越したが「教科書が子どもの手に渡らない」という事態は避けなくてはならない。

 

2012年は新石垣空港開港の前年となり、輸送力の増大や国際化の進展に備える戦略づくりが求められている。県議選、竹富町長選も控える。激動の1年の教訓を踏まえ、賢明な判断をする年にしたい。

    (仲新城誠)

 

2012年1月18日(水)

育鵬と東書 比較

 教育自治を守る会 市に全戸配布へ

 八重山の教育自治を守る会(鳩間昇代表)は、教科書問題の経緯を紹介するパンフレットをこのほど作成した。石垣市、与那国町が採択した育鵬社版が、国の学習指導用要領に基づいた内容であることを強調している。今月中に石垣市の全戸に配布予定。


 パンフでは育鵬社版と、竹富町が採択した東京書籍版の内容を比較。尖閣諸島や自衛隊の記述に差があることを挙げ「どちらの記述がふさわしいでしょうか」と問いかけている。


 育鵬社版に対する「憲法無視」「戦争賛美」という非難に根拠がないことを指摘。竹富町の主張は「主観的域を出ず、説得力を持ちません」としている。


 本来の教科書採択の流れと、八重山地区での出来事の流れを表で比較することもできる。


 石垣市のほか竹富町、与那国町でも配布する方向で検討を進めている。


 鳩間代表(74)は元校長で、教科書問題に対する住民の理解を深めてもらおうと会を結成した。「学習指導要領に誠実に準拠しているのが育鵬社の教科書。これだけ教科書問題が騒がれているのだから、内容を住民に知ってもらいたい」と話している。

 

2012年1月27日

教科書問題 東書版配布を維持 

竹富町教委 配布方法見送り 新学期迫る

対応策について協議した竹富町教育委員会の定例会=26日午後、離島ターミナル
対応策について協議した竹富町教育委員会の定例会=26日午後、離島ターミナル

 竹富町教育委員会(竹盛洋一委員長)は26日、定例会を石垣港離島ターミナル会議室で開いた。八重山地区の公民教科書問題で、無償配布の対象外となっている東京書籍版公民教科書を新学期に配布する方針を全会一致で確認。どういった形で教科書を入手し、配布するかという方法については来月の臨時会で決定することになり、見送られる形になった。

 

 

 文科省は、町教委の採択した東京書籍版について自費での購入を促した。この方針を受け、町教委は2度にわたり、協議会の答申が優先される理由などを問う質問状を送付したが、「納得できる内容ではなかった」(竹盛委員長)としている。


 この日、教科書を配布する新学期の4月が迫っていることで、今後の対応策について協議が行われた。公費を使用せず教科書を配布する方法については協議が難航した。


 石垣安信委員からは「東京書籍版の公民教科書を教育委員で購入して寄贈してはどうか」という意見が出されたが、慶田盛安三教育長が「教育委員としての立場で寄贈することはよくない。無償措置法が崩れる形になり、そのまま問題が残っていく。急いで結論を出すことはない」と反対した。対応策は決まらず、配布方法は来月の臨時会で決定することになった。


 定例会後に開かれた記者会見で、竹盛委員長は「事務局には東京書籍を配布するための準備をするように伝えた。なんらかの方法で(東京書籍版を)確実に(生徒に)届ける。その方法を2月に決めたい」とした。教科書の寄贈については「その場しのぎとなり、全国で起こりうる可能性がある。慎重にしていかないといけない」と述べた。


 慶田盛教育長は「我々が採択した東京書籍版は無償だと文科省へ訴えていくが、対応策が浮かばないのが現状。このような状況を長引かすわけにはいかず、来月には決めないといけない」と話した。