2012年

5月

26日

問題のすり替え? 感情論より法律論で 早朝講座問題

 県立高校で、教員が県教育委員会の許可を得ず早朝講座などでPTAから報酬を受け取るのは不適切とされる問題が表面化しているなか、八重山高校PTAは20日、2012年度総会で、早朝講座の報酬を含んだ進路指導予算を承認した。同校で実施されている早朝講座は文部省の通知で示された不適切な事例には該当しないというのが、学校側の見解だ。


 この問題は、3月9日に自民党の義家弘介氏が参院決算委員会で取り上げたことで表面化。文部科学省が沖縄県教育委員会などに実態調査を指示した結果、県内の75パーセントの高校で早朝講座の報酬受領が行われていたことが明るみになった。


 公立学校の教員は職務の性質上、「時間外」の認定が難しい。そのため、月給に4%上乗せする手当てが支払われている。時間外手当の代わりだ。


 この問題で最も注目しなければならないのは、同様の行為が公務員の「兼職・兼業」に当たる可能性があるということ。文科省は9日、こうした行為を「不適切」として全国の教育委員会に通知している。


 八重山では、問題が「早朝講座の是非」にすり替わっている感が否めない。PTAが子どもたちに多くの学習の場を提供する行為に賛成する気持ちは当然のことで、通学する学校の教員が担当するのであれば、積極的に早朝講座を願い出ることに問題は感じない。


 しかし、教員が職務と紛らわしい早朝講座により無許可で謝礼を受け取ることは「不適切」と文科省は表現している。要するに違法であるということ。八重高のケースについても十分な検証がないまま「目くじらを立てるな。問題を大きくするな」という意見がPTAにもある。


 「この問題は自民党国会議員が教科書問題の仕返しのために、県教育委員会を標的にしたもの。政治的な行為で、それをまともに受けてはいけない」などと、記者に詰め寄る市民もいたが、感情論で判断するべきでないとの意見も少なからずある。

 

 注意しなければならないのは違法か適法かということだ。親の気持ちや教員の都合を問題に持ち込んでは、争点がぼけてしまう。公務員がサイドビジネスで収入を得ることが法に触れることは、誰でも知っていることで、教員もその公務員である。


 八重高の場合、早朝講座の年間総額が640万円にもなる。大金を不適切に受領していた可能性があるにもかかわらず、率直な反省の言葉を聞いたことはない。他の行政機関ならば大問題となっていても不思議ではない。


 八重高PTAでは、「講座の在り方検討委員会」を発足させて指針を作成。県教育委員会の方針にのっとった方法で今後も早朝講座を継続するよう求めている。県教育委員会の指導により現在、教員は謝礼を受け取っていないというが、「兼職兼業願い」が受理されれば、謝礼を受け取っていない期間にさかのぼり、謝礼金を受け取る方針だという。


 一連の問題について「市民感覚からかけ離れている」と話した女性の言葉が記者には印象的だ。                                      (大城智芳)

2012年

5月

24日

報酬総額640万円 11年度、早朝講座などで 基準決まるまで無報酬

 県立八重山高校(新垣治男校長)で2011年度に、早朝講座などを担当した教員に保護者から支払われた報酬総額は約640万円であることが23日、同校への取材で分かった。同校PTAは今年度も、教員への報酬を盛り込んだ進路指導費予算を総会で承認している。ただ、県教育委員会が報酬のあり方に関する検討を進めており、同校とPTAも近く検討委員会を発足させることから、同校は当面、無報酬で早朝講座などを続行。報酬のあり方について明確な基準が示されるのを待って、報酬の受け取りを再開する方針。

 

 早朝講座などを担当した教員が保護者から報酬を受け取る慣習は1988年から続いてきたが、教員が職務外で報酬を受け取るには本来、兼職兼業願いを県教委に提出し、許可を得る必要がある。そのため県教委は各県立高校に対し、当面、報酬の受け取りを中止するよう通知している。


 同校によると、PTAの11年度決算では、進路指導費のうち「講座費」は総額659万円余で、このうち約640万円が早朝講座や放課後講座などを担当する教員への報酬。12年度の講座費には、講座を受講する生徒の増員を見込み、680万円が計上されている。


 文科省は今月9日の通知で、早朝講座などが①教育課程の一部として実施しているとみなせる②生徒が必ず参加しなければならないような運用が行われている③教職員の勤務時間と連続するなど、勤務時間中の職務との区別が明確でない―場合などについて、兼職兼業願いが提出されていても、報酬の受け取りは不適切と指摘した。


 これについて新垣校長は、同校の早朝講座について①全生徒の参加ではない②教員が手作りしたプリントなどを使用し、教科書を使用していない③早朝講座は午前7時半から8時20分までで、1校時は9時10分から始まるため、教職員の勤務時間と連続していない―と指摘。兼職兼業願いを出せば、報酬の受領が認められるという見解を示した。


 現在、無報酬で続行している早朝講座などについても、20日のPTA総会で進路指導予算が承認されていることから、県教委や検討委員会の方針を見極めた上で、後日改めて報酬を受領する方針。


 ただ「報酬額の妥当性などについては、県教委や検討委員会の結論を見て判断したい」としている。


 同校によると、早朝講座などの報酬をめぐる問題が表面化したあと、PTAからは「早朝講座は続けてほしい」「頑張ってください」などと激励する声が寄せられている。「批判は1件もない」という。

2012年

5月

22日

早朝講座の指針作成へ 「報酬」盛り込んだ予算承認

講座有り方検討委の設置を決めた八重高のPTA総会=20日午後、同校体育館
講座有り方検討委の設置を決めた八重高のPTA総会=20日午後、同校体育館

八重山高校PTA(武富弘次会長)の2012年度総会が20日、同校体育館で開かれた。早朝講座などを担当した教員が県教委の承認を得ず保護者から報酬を受け取っていた問題について「講座在り方検討委員会」を発足させて指針を作成することを決めた。


 検討委はPTA、元PTA、教員代表を含むメンバーで組織。運営指針はPTA理事会に諮り、評議員会で審議して決定する。その結果は「全会員に報告する」としている。6月中の発足を目指す。


 PTAの決議では、早朝講座や模擬試験の取り組みについて「(教員の)奮闘で生徒の学力が引き上げられている」と早朝講座などに取り組んできた教員の貢献を評価。県教委の方針にのっとった方法で今後も継続するよう要望した。


 早朝講座の報酬などを盛り込んだ進路指導予算が承認された。
 文科省は、早朝講座などで教員が報酬を得ることは「不適切」とする通知を出しているが、新垣治男校長は、同校で実施されている早朝講座などについては、通知で示された不適切な事例に該当しないという見解を示している。

2012年

5月

10日

早朝授業の報酬は不適切 文科省通知、調査も求める

 文部科学省は9日、早朝授業などで教員が報酬を得るのは不適切との見解を全国の教育委員会に通知した。沖縄県の県立高校が、早朝に授業をした教員にPTA会費で謝礼を払っていたことを受けて対応した。他の高校で同様の事例がないか調べることも求めた。


 不適切としたのは、教科書を使った通常授業と同じような形式の場合や、1時間目の前など勤務時間と区別があいまいなケース。PTAの依頼による土日の特別講習などは容認するが、教育公務員特例法に基づく兼職の届け出が必要とした。


 通知は、校舎整備などに保護者らの負担を求めることも不適切とし、寄付を受ける場合は適正な会計管理と情報公開に努めるよう要請した。

2012年

5月

01日

有志質問に「ゼロ回答」 県教委 ゼロ校時問題で

 県立高校の教員が「ゼロ校時」と呼ばれる早朝講座などの手当を県教育委員会の承認を得ずに保護者から受け取っていた問題で、保護者有志の会の公開質問状に対し、県教委は27日、「回答は困難」とする文書を有志の会メンバーの手登根安則さん(48)にファックスで送った。


 文書では「公開質問状の内容は全国の情報を収集し、かつ十分に検討していかなければならない旨(むね)の質問も多いことから、現状では回答は困難である」としている。


 有志の会は18日に提出した公開質問状で、学校側が手当についての詳細を明らかにしてこなかった理由や、手当の返還請求が提起された場合の対応、ゼロ校時の廃止の是非など12項目を質問していた。


 手登根さんは「不誠実な回答で、残念に思う。県教委が答えられないなら、文科省に直接問い合わせるしかない」と話した。


 文書の差出人は県教委県立学校教育課の長濱雅仁副参事の個人名となっており、職名は記されていない。手登根さんは「県教委に対する質問状なのに、個人名で回答を出すのもおかしい」と反発している。

2012年

4月

25日

民間感覚「高過ぎる」 那覇西高校PTA 手登根安則会長(48)

 県立高校の教員が「ゼロ校時」と呼ばれる早朝講座で保護者から手当を受け取っていたことは、以前から問題だと指摘していた。本土では、こうした事例がないことを知っていたからだ。教員が早朝講座や課外授業で手当を受け取っているのは、沖縄と九州の一部しかない。


 教員には、時間外勤務の手当として給与に4%を上乗せした『教職調整額』がある。従来、早朝講座は時間外勤務だというので、教員は保護者から手当を受け取ってきたが、どこまでが教職調整額でカバーされる時間帯なのかはっきりしない。保護者も、どこまで報酬を支払っていいのか見えてこない。


 那覇西高の教員は45分の早朝講座で3千円を受け取っているが、民間の(時給の)給与水準からすると、あまりにも高い。今年2月、「金額で歩み寄りはできないか」と学校に持ちかけ、評議員会で話し合ったのが今回の問題の発端だった。


 教員は「ぼくたちは特別職だ。カウンセラ―は1時間で5千円取る。ぼくたちは安いほうだ」と言った。私は、あいた口がふさがらず「PTAのお母さんは昼間働いて、ご飯を作ってこの会議に参加し、帰宅してから片付けをしている。そんなお母さんたちこそ特別職だ」と反論した。


 「手当をもらえないならゼロ校時には協力しない」という教員もいた。「ゼロ校時がなくなると、子どもの深夜はいかいが増える。勉強について行けない子が出て、国公立大に行く子が激減する」とも言われた。まるで脅迫だ。


 那覇西高は、県内で最初に早朝講座をスタートさせた高校だ。それから各高校に広がった。20年前は全県で200人程度だった国公立大の進学者が、現在では千人に増えた。学校側は「ゼロ校時の効果だ」と言うが、この20年で変わったのは、進学塾が増えたことだ。国公立大の合格者の9割は進学塾に通っている。ゼロ校時だけが理由というのはナンセンスだ。


 私は教員に支払われた報酬について「基準を出してほしい」とPTA事務担当者に要求したが「ない」と言われた。何と、手当の受け渡しは口頭での伝承だったのだ。


 学校側は、PTAからのお願いでゼロ校時が始まったような話をしているが、学校とPTAがゼロ校時について交わした覚え書きもない。ゼロ校時がPTA主催だというのは、教員が手当をもらうための方便ではないか。最初から手当ありきの悪しき慣習だったのだと思う。

ゼロ校時は1校時に 結果責任の仕組みを

 ゼロ校時は子どもの学力を上げるためというお題目で始まったが、それから20数年、沖縄の学力はどうなったのか。全国で最下位だ。学校は「子どもがついてこれないから、本来なら授業時間で教えることを、ゼロ校時で教えている」と言う。しかし本来は授業で教えることをゼロ校時で教えているなら、課外授業として親に手当を請求するのは、理屈に合わない。悪く言えば、指導力不足を親に負担させている。ゼロ校時は通常の授業の延長だと言っているうちは、学力は伸びない。


 全県で年間1億円余が教員に支払われながら、なぜ沖縄の学力は全国最下位なのか。よしんばゼロ校時がPTAからの依頼だったとしても、結果を出していると言えるだろうか。


 沖縄の教員は、手当を受け取る慣習の中で、自らの資質を高める努力をおろそかにしてこなかったか。本土のように、信念を持って子どもに体当たりする先生がいれば、手当を出さなくても学力は伸び、合格者が増え、先生は誇りを得る。沖縄にはそれがない。「金ありき」はいかがなものか。


 個人的な意見だが、今回の問題の責任は県教委と学校にあって、現場の教員にはあまりないと思う。教員は最初からお金をもらうことが慣習になっているシステムに組み込まれてきたのだ。おかしいと思っても、自分だけもらわないことはできなかっただろう。


 県教委の職員はほとんどが教員出身で、自分も学校現場で手当をもらい、事実関係は認識していた。なのに、コンプライアンス(法令順守)に配慮しなかった。県教委と学校の責任は重い。


 しかし私は、ゼロ校時は継続するべきだと思う。学力や生活習慣の向上に一定の効果がある。ただ、その中の生活習慣については、親がお金を払ってやるべき事ではない。親の家庭教育の範疇(はんちゅう)に入ることだ。親にも危機意識がなく、安易に学校任せにしていた。


 親が手当を払うにしても、どの時間帯までが教職調整額でカバーされているのか、根拠をはっきり示し、金額は県内一律にしてほしい。PTAの財力、手当額の大小で、公教育の場で格差を作り出すことは、望ましくない。


 有志の会は、ゼロ校時の手当は上限でも千円、下限はゼロ(無報酬)が妥当だと考えている。PTAは役所ではないから、民間の基準で支払えばいい。教員がどうしても、もっとほしいというのであれば、公費負担にするべきだ。そのときは一緒に要請してもいい。


 沖縄は、朝が早く昼間が長いという特色がある。私は県教委に、ゼロ校時は1校時にするべきだと提案している。授業開始を繰り上げれば、ゼロ校時は時間外勤務ではなくなる。その分、授業が早く終わるので、課外授業や部活も早く始められる。


 子どもから必要とされる教員は、県に兼職兼業願いを出して、堂々と有料の講座を開けばいい。


 ゼロ校時の代わりに、校内でPTA主催の進学塾を開いてはどうか。外部から民間の塾講師を招く。学力のレベルを高めるために、徹底的に指導してもらう。


 教員に対しては「結果を出せなかったから辞めろ」とは言えないが、外部講師であれば、結果を出せないなら責任を追及し、契約を打ち切ればいい。保護者が出す報酬の効果が、手に取るように分かるはずだ。


 子どもを全国最下位の学力から救い出すためなら、PTAはお金を惜しまない。
 教育の現状を変えるために、多くの人たちに有志の会(℡090―8305―4896)に参加してほしい。   (談)

2012年

4月

19日

「慣習で教員に現金」 有志の会が公開質問状

 県立高校の「ゼロ校時」と呼ばれる早朝講座で、県教育委員会の承認を得ず保護者から教員に報酬が支払われている問題で、沖縄本島に在住する「県立高校保護者有志の会」のメンバー7人が18日、県教委に12項目の公開質問状を提出した。保護者から徴収した現金が「支給の基準、根拠も明確化されず、慣習で教職員へ手渡されてきた」として、今月末までに回答するよう求めた。


 公開質問状では「県は、ゼロ校時の廃止を検討しているのか」「教職員への手当支給を今後も禁止するのか」「教職員側から『手当が支給されないなら、ゼロ校時に協力しない』と声が上がっているが、県はどう対処するのか」などとただしている。
 八重山でも1校でゼロ校時が実施されている。


 同会によると、教職員の時間外勤務については、給与の4%を上乗せする「教職調整額」のほか、1・5%を上乗せする特別手当が支給されている。


 ゼロ校時は時間外勤務の扱いだが、同会メンバーで、那覇西高校PTA会長の手登根安則さんは「教員の給与には時間外手当が組み込まれているのに、保護者が報酬を支払っているとすると大きな問題になる」と指摘。


 全県立高校で過去10年間に保護者から教員に支払われた報酬は「概算で10億円を超える」との見方を示し「返還請求が出たら、県教委はどう対応するのか」と疑問視した。


 手登根さんによると、本島の県立高校では、進路指導費から教員に支払われている報酬総額が年間で4千万円に上る例もあるという。那覇西高では1700万円が支払われている。

2012年

4月

17日

早朝講座 無承認で報酬 県立高校 八重山も受領中止 県教委、違法性認める

各県立高校に対し、早朝講座などの報酬を受領しないよう求める県教委の通知文書
各県立高校に対し、早朝講座などの報酬を受領しないよう求める県教委の通知文書

 

 八重山地区の県立高校1校を含む県内の県立高校45校が「ゼロ校時」と呼ばれる早朝講座を行い、教員が保護者から報酬を受領していたことが、県教育委員会の調査で16日までに分かった。いずれも報酬の受領に必要な県教委の承認を得ておらず、県教委も違法性を認めている。八重山地区の高校は県教委の指示で、今月から当面、報酬の受領を中止した。

 

 関係者によると、早朝講座は30年ほど前から、本島の進学校を皮切りに保護者の要請を受けてスタート。八重山地区の1校では1988年から学力向上対策の一環として始まった。


 始業時間前に実施されるため、教員の指導は勤務外の行為という扱いになる。
 県教委によると、県立高校60校のうち早朝講座を実施しているのは48校。PTA主催の形になっているため、45校では保護者から教員に報酬が支払われている。


 教員が職務外で報酬を受け取ることは可能だが、教育公務員特例法によって、その場合は県教委に兼職兼業願いを申請し、承認を得る必要がある。しかし45校は、いずれも承認を得ていなかった。


 もともと、教員は時間外手当の認定が難しいため、給与に4%の特別手当が上乗せされているという事情もある。


 八重山地区の高校の場合、教員への報酬は「資料代」の名目。月―金曜日に午前7時半から50分の授業で、1回当たり3千円、うち150円が税金として差し引かれる。土曜日は午前中に3時間程の特別授業がある。出席した生徒の父母が個別に支払い、教員は1カ月分ごとにまとめて受領する。


 同校は報酬の年間総額を明らかにしていないが、本島では進路指導費として総額1700万円が支払われている例がある。


 県教委は13日、全県立高校に対し①教員は県教委の承認を得ず、進路指導費などの団体徴収金から報酬を受領しない②団体徴収金は、全保護者の立場に立って適正・効率的な経費の執行を行う③団体徴収金の目的や使途について、保護者に十分な説明を行う―ことを求めた。


 八重山地区の高校では、県が明確な基準を示すまで、当面の措置として報酬の受領を中止した。早朝講座は教員が無報酬で継続するという。


 校長は「県教委は兼職兼業願いを提出するよう指導してこなかった。(今回の問題が)法律的に正しい形にする機会になったのでは」と話した。


 八重山地区では別の1校も、こうした事例が存在している可能性があり「調査中」としている。


 県教委県立学校教育課の担当者は「兼職兼業願いが出ていないのは違法状態」と指摘。「兼職兼業願いが出た場合でも、それを認めるかどうかはトータルに判断する。検討委員会を設置しており、早急に(教員が職務外で報酬を受け取る場合の)基準づくりをしたい」と話している。