2016年

5月

22日

被害者と遺族の恐怖や…

 被害者と遺族の恐怖や苦痛は想像を絶する。慰めの言葉も見つからない。米軍属によるうるま市女性の死体遺棄事件で、沖縄の隅々まで怒りと悲しみが広がっている◆日米両政府に求められているのは事件の徹底究明と実効性ある再発防止策、遺族に対する可能な限りの償いだ。どこまで県民の思いを受け止められるか問われる◆「基地があるから事件が起こる」と言われても、被害者のことを思うと一言の抗弁もできない。「全基地撤去」という訴えも分かる。しかし、県民が感情だけに流され、政治が引きずられてしまうと、最悪の事態がさらに増幅されてしまう。殺人事件と安全保障は別の問題であることも理解しなくてはならない。普天間飛行場の移設反対のような特定の政治問題と事件を、直ちに結びつけるべきではない◆石垣市の中山義隆市長は、事件に強く抗議した上で「基地があろうがなかろうが、こんな犯罪を起こしてはいけない。犯罪があろうがなかろうが、基地の整理縮小に頑張らなくてはならない。それが政治だ」と述べた。政治は政治として冷静さを保ち、沖縄の基地負担軽減に向けた取り組みを着実に進めるべきだ◆事件は、自国の安全保障を他国に依存しているゆえに起きた悲劇でもある。国の根本的な在り方に対する問題も提起している。