国債1億円で人材育成 桃原さん寄付「留学を」 個人で県内最高額

国債1億円の目録を中山市長に手渡す桃原さん(右)=20日午後、市役所
国債1億円の目録を中山市長に手渡す桃原さん(右)=20日午後、市役所

 八重山から世界に誇れる人材を育てようと、石垣市石垣出身の産経新聞顧問、桃原用昇さん(69)=東京都在=が額面1億円の国債を市に贈呈し「桃原用昇 奨学基金」(仮称)を設立した。個人が設立した基金としては県内最高額。20日、市役所で贈呈式が開かれ、桃原さんは「世界に羽ばたく人材を1人でも多く 育ててほしい」と期待した。
 

 国債は満期30年で、年間200万円の利子を奨学金に充てる。対象は主に海外へ留学する大学生。満期までに6000万円の利子が活用できることになる。
 
 奨学金を受ける学生は民間の委員を含む選考委員会で決定する。桃原さんの希望で、書類選考だけでなく面接も行い、成績だけにとらわれず、学生の意欲を重視した選考を行う。
 
 奨学金は学生に無利子で貸し付け、将来は返還してもらう。市は3月議会に奨学金を運営するための条例案を提案する。
 
 桃原さんは石垣小、石垣中、八重山高校卒。上京後角川書店に勤務し、同社専務も勤めた。郷土のために貢献したいと思い続け、市内の学校に図書を贈る活動 などをしてきたが、学力向上を重視する中山義隆市長や玉津博克教育長の誕生を機に、私財で奨学基金を設立することを決めたという。

 国債の購入費用として、手数料も含め1億437万円余を支出した。
 贈呈式で桃原さんは「来年から新空港もできる。これからはアジアの時代なので、どんどん留学してほしい」と期待。中山市長は「桃原さんの思いが届くように、貴重な財源として活用したい」と感謝した。

奨学基金設立趣意書 

 

 私は石垣市で生まれ育ち、東京の出版社で40年間勤務してきました。活字の仕事に従事できましたことは、本当に幸せでした。石垣を遠く離れていても、いつも郷里に想いを馳せていました。


 これまでも10年ほど前から母校の八重山高等学校に図書を贈り続け、石垣中学校はじめ多くの八重山の小中学校時に図書を贈ってきました。


 東京で長年働いて得た私財の大半を郷里の人材育成や教育の振興に役立てたいと強く思ってきました。家内、兄の長男で桃原建材社長桃原雅一、福岡在住で弁護士の二男健二。会計事務所を経営している三男用光等に相談したところ、奨学金の趣旨に賛同し、後押しをしてくれました。


 折しも石垣市に若きリーダーで教育にも熱意のある中山市長が誕生し、市政が大きく変わろうとしています。石垣市が飛躍する事が期待されています。さらに県庁で行政経験豊富な漢那副市長を迎えられた事や、教育への情熱と各個たる信念をお持ちで県内上位の学力をめざす玉津教育長の御三方がいらっしゃるこの時こそ奨学基金を取立する好機だと思いました。


 石垣は日本本土から遠く離れた最南端の島です。私は離島にとっては、人こそ財産であり、人材の育成こそが最優先されるべきものと考えます。本土から遠いという事で不利な条件があることも否めません。経済的な理由等で進学を断念するようなことがあってはなりません。子供たちが安心して学べる環境作りの一助となり、親の負担を少しでも軽減することができたら幸甚です。


 石垣は日本最南端であるが、東アジアの中心に位置するまさにアジアのゲイトウェイになれる地理的な環境にあります。こうした石垣の地理的条件から見て、進学は県内、県外のみでなく、世界を視野に入れることが重要です。これからはむしろアジアの人・物・金のネットワーク作りが最重要課題になると思われます。


 日本全体を大きく俯瞰してもまったくおなじことが言えます。幸い2013年には新石垣空港が開港します。国内の大学だけでなくアジアを始め世界各国への留学支援を目的にすることを奨学基金の趣旨といたします。将来石垣から世界へ飛翔する傑出した多くの若者が誕生する事を念願しています。


 今回の奨学基金設立に際しまして全国から資料収集、助言を多くの友人、知人から頂きました。特に公益財団法人那覇市育英会常務理事糸数健二郎氏には大変貴重なアドバイスを戴きました。この場をお借りして関係された皆さまに厚く御礼申し上げます。                         桃原用昇