TPP絶対反封 宮良 長和

 広宮孝信さんの『TPPが日本を壊す』という本を読んだ。読んだと言っても素人には難しい箇所もある。だから二度三度繰り返し読んでいるところである。読後の感想はと問われれば、我が国はそれに絶対に加盟してはならないと思う。


 アメリカがTPPに我が国を是非加盟させたい気持ちは解る。アメリカはそれによって我が国に農産物を売りつけることが出来るし、その外我が国の大きな消費社会も魅力だろう。又我が国の大企業が積極的な理由も理解出来る。確かに大企業にとっては輸出がしやすくなり有利な点が多い、しかしその他の中小企業、建設業、特に農業は壊滅的な打撃を被るだろう。スーパーや小売業者は安い外国製品が入るから、その分値下げ出来るかも知れない。


 国防の点からみたら、今、アメリカを怒らせては不利でもある。政府がこれを断固として断れないのは、それもあるかもしれない。なるほど国防も大事ではある。しかしTPPで国家が崩壊してしまっては国防どころではないだろう。


 何故我が国が大変な事態なるかは本に詳しく書かれている。それにしても著者の識見と良心的で謙虚な書きぶりには頭が下がる。それに素人にも大体は解るように書かれている。経歴をみると専門の経済学者でもなさそうである。


 人間は目前の利益即ち何を食べるか、今日どれだけ収入を上げるかが先ず大事であって、国の将来などはその次、地球の将来に至っては更にその次である。しかし今の儘で人類が経済成長を続けてゆけば地球の破滅、ひいては人類の滅亡は目に見えていると云っても過言ではない。TPPを差し置いても、ここらで世界各国が自給自足の農業国家を目指し、物質文明をほどほどに規制しなければならない時期に来ていると思う。


 さし当たり心配なのは日本の農業の崩壊である。我々は米さえあれば、副食は周囲の豊かな自然、海や山からなんとかして手に入れることが出来る。それに我が国の米は味、質共に世界一である。米さえあれば生きてゆける。玄米はそれだけで完全食であるという学者さえいる。その命の根源である米が危機に瀕するのではないか。如何なるものを犠牲にしても日本の農業、即ち米は守るべきものの筆頭である。それがTPPによって農業が打撃を受け、米が需要を満たすことが出来なくなれば、それこそ我が国の存亡に拘わると云わなければならない。


 以上述べた通り私の反対はキビやパイン農家の反対とは異なる。私に取ってはああいう物こそ安い外国産でも構わないし、無ければないで済ませられる。農家は生存に必須欠くべからざる米と甘藷、次に野菜を作るべきである。そして国家の自給自足の前に先ず自らの自給自足を目指すべきである。金が無くても生きてゆける体制を整えなければならない。いずれ書く予定であるが、愛媛の福岡正信さんは農家だけでなく全国民が、自分の食べる食料を自ら作れと、破天荒な発言をしている。あの方の農法なら日曜日に一日だけ畑に行けば十分出来るとのこと。福岡さんのことはいずれ改めて書きたい。私の孫の中にも農業を志す者がいないか今物色中である。


 大企業がTPPに積極的なのは解る。それで利益を得る筆頭は彼等だからである。反面地方の建設業者その他の公共工事には、外国からその方面の業者が参入して値段で競争させられたら負けてしまうだろう。それだけでなく労賃の安い外国人労働者がどっと入り込んで来たら、秩序ある我が国の社会が引っかき回されるのも目に見えている。悠久の昔から連綿として続いてきた我が国の洗練された風俗文化も、押し寄せる外国人によって崩壊しかねない。この様に考えて来るとこの石垣でTPP参加で得をする人々は限られているのではないか。


 我々はここでさし当たり目前の利益は差し置いて、先ず国家と地球の将来に思いを馳 せてみなければなるまい。これからの世界は各国とも自給自足の農業社会を目指すべきである。それが即、平和な世界への第一歩でもある。車を初めとする文明の利器は無ければ無いで済ませられる。車、携帯、テレビのない社会では生きてゆく甲斐がないと考える若者もいるだろうが、そんな人間は先ず一週間断食してみたらいい。何が人間にとって無くてはならないものか、直ちに解る筈である。原子力発電の問題もこれを念頭に入れて考えなければならない。現在の物質文明をこれまで通り推し進めてゆけば温暖化、寒冷化、砂漠化、気象の異常で、地球の終わりは間違いなく来ると考えなければならない。老人はいいとして将来ある子供達や若者はどうなる。饒舌を労するのはこれくらいにして何よりも下記の本を読まれることをお勧めする。
 『TPPが日本を壊す』 廣宮孝信著 扶桑社新書