中山市政折り返し 預り保育 事業者から懸念も

 「預かり保育を全幼稚園に拡大する」―。中山義隆市長が子育て支援策の目玉として掲げた政策に対し、民間の保育サービスを圧迫するとして、学童保育の関係者などから再考を促す声が出ている。預かり保育は、農村地域では全園での実施が決定。来年度以降は市街地への拡大が焦点になり、民間事業者との調整をいかに図るかが大きな課題だ。

 

 

 ▽民間事業者の懸念
 大浜地区で31年間、学童保育に取り組んできた幼児スクール竹の子クラブ代表の小底弘子さん(62)は「学童保育や民間の保育園のサービスがすでにあり、大きな実績を積んできた。それをうまく使ってほしい」と訴える。


 竹の子クラブは、八重山で初の学童保育として1980年に設立。学童保育は通常、小学校低学年の児童を放課後預かるサービスを言うが、翌年から幼稚園児も預かるようにしたところ、施設の部屋が満杯になるほどの申し込みがあったという。
 竹の子クラブを第1号に、民間事業者である学童保育や保育園は、幼稚園の終了後園児たちの受け皿になってきた。


 市教委が2008年度に策定した幼児教育振興アクションプランでは、預かり保育の順次拡大が打ち出された。前市政では3園での実施が決まったが、中山市長が就任すると、預かり保育は急拡大。今年度までの2年間で、さらに8園での実施が決まった。


 預かり保育の実施園が市街地に近づくにつれて、学童保育などへの影響も出始めた。


 10年4月、宮良地区のみやなが幼で預かり保育が始まると、竹の子クラブに入園予定だった保護者のうち10人近くが預かり保育を希望し、同クラブへの申し込みをキャンセルした。


 小底さんは、預かり保育拡大について、市と意見交換する機会がないことも不満だ。「なぜ話し合いがもてないのか。そうすれば、いろいろなアイデアや解決策も出る」。


 しかし、預かり保育拡大に頭から反対しているわけではない。「親のことを考えると拡大には賛成したい。だが、民間にも長年の経験とノウハウがある。民間にも補助金を出して、すべての親が預かり保育と同じ保育料でサービスを利用できるようにするべきだ」と主張する。


 ▽保育料の格差
 預かり保育の保育料は月額5千円だが、昼食代も含むと1万円余。民間事業者の保育料は月額1万数千円から2万円で、預かり保育とは格差がある。


 学童保育には05年度から県、市が補助金を支出しているが、対象は小学生しか認められていない。幼稚園児の保育料が預かり保育より割高な要因には、制度的な背景もある。


 預かり保育の拡大を求めている市議の石垣涼子さん(40)は「(保育料の格差が)家計に与える影響は大きい。子育てへの行政的な支援は預かり保育の推進しかない。市は預かり保育拡大の年次計画を立てるべき」と要望。


 民業圧迫との批判に対しては①預かり保育には定員がある②民間にはプラスアルファのサービスもある―ことを挙げ、役割分担は可能だと指摘。民間事業者を含めた検討委員会で議論するよう提案した。


 5施設で組織する市学童保育連絡協議会(小底会長)も早ければ来月、中山市長に対し、既存の民間事業者の意見を聞いて、双方が納得できる方策を見出すよう求める考え。


 中山市長は「最終的に全園で預かり保育を実施するという目標は変わらないが、方法については議論する必要がある。(民間事業者と)しっかり調整したい」と述べた。


 ただ、預かり保育を民間事業者で「代用」させる案については「幼稚園教育と学童保育は違う。幼稚園と同等の教育ができるか検証したい」と慎重。学力向上の観点からも、まず幼稚園教育を重視する方針だ。   (仲新城誠)