97年余の歴史に幕 八重山分館が廃止 職員、利用者に涙

分館の閉館時間にあいさつを読み上げる友利館長(左)と、涙ぐむ職員=31日午後5時ごろ、県立図書館八重山分館
分館の閉館時間にあいさつを読み上げる友利館長(左)と、涙ぐむ職員=31日午後5時ごろ、県立図書館八重山分館

 今年度末で廃止が決まっていた県立図書館八重山分館(友利和佳子分館長)が3月31日閉館し、97年余の歴史に幕を下ろした。午後5時の閉館時間に合わせ、職員が涙ながらに最後のあいさつをすると、利用者の中にも目頭を押さえる姿が見られた。分館の存続を求める会(大田静男代表世話人)のメンバーたちも訪れ「残念だ」と住民に親しまれた分館との別れを惜しんだ。

 

 

 分館廃止後、8万6千冊余の蔵書や郷土資料は地元に残される方向だが、具体的な行き先や保管方法は決まっていない。


 当面は現在の建物で「休眠状態」に入ることになり、友利館長は「建物や資料が活用されない事態になることが心残り」と話した。


 閉館時には職員4人が並び、友利館長が声を詰まらせながら、長年の利用に感謝した。住民の会メンバーが職員1人ひとりに花束を手渡した。


 利用者の中島貴子さん(40)=登野城は、転勤で石垣市に来て以来、約5年、子どもと分館に通い続けていた。「家庭的な感じで落ち着ける場所だったし、職員も子どもの名前を覚えてくれたのに、寂しい」と目をうるませた。


 分館によると、宮古分館の廃止時にはセレモニーが実施されているが、八重山では廃止に反対する声が根強いことから、セレモニーは行わず、粛々と閉館することを決めた。


 分館には残務整理のため、4月以降も職員1人が配置される。臨時職員を除く他の職員は本館や学校現場に配置換えされる。

 

県立図書館八重山分館

 県立図書館八重山分館は1914年6月、大正天皇の即位御大典(おんたいてん)記念事業として、八重山教育部会が民家を借り「八重山通俗図書館」を設立したのが始まり。戦争による休止などの紆余曲折を経て、72年の復帰時に現在の名称となった。


 石垣市だけでなく、公立図書館のない竹富町、与那国町の読書支援サービスの拠点となり、10年度の入館者数は1万15人、貸し出し冊数は9933冊。離島住民の利便性を図るため、竹富町、与那国町での移動図書館実施にも取り組んだ。


 県教委は建物の老朽化や維持管理費用の増大などを理由に2007年、廃止方針を表明。住民の会などの反対を押し切る形で今年2月、廃止を正式に決めた。分館の跡地利用については3市町と協議し、離島での移動図書館は本館が引き継いで実施する方針を示している。