「やりすぎ」の批判も 先島諸島に陸自展開

 防衛省は北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射に備え、万一の場合の迎撃態勢を整備する一方、沖縄県の石垣島(石垣市)など先島諸島に計約400人の陸上自衛隊員を派遣する。見慣れない迷彩服に違和感を抱く市民も。部隊の常駐に向けた〝地ならし〟の狙いがあり、身内からも「やりすぎ」との批判が出ている。


 市街地と橋で結ばれた埋め立て地の石垣港新港地区。真っ青な海に囲まれた広大な敷地に4日、陸自のCH47ヘリコプターが砂煙を上げて着陸した。立ち入りが制限されるゲートからは約100張りの隊員宿泊用テントも見える。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備される前の3日から、計約320人の陸自隊員が順次現地入りした。


 北朝鮮の予告では、石垣島付近の上空が飛行ルートとされ、陸自はPAC3自体の警備だけでなく、落下した場合の救援活動を展開する拠点と位置付ける。ヘリ4機や化学防護車も用意する。


 さらに周辺の宮古島(宮古島市)と与那国島(与那国町)にもそれぞれ、ヘリ1機と約40人の隊員を配備。この3市町と竹富町、多良間村の各役場には連絡要員の自衛官も派遣する方針だ。


 陸自部隊のいない先島諸島での部隊配備に、ある幹部は「南西諸島の防衛強化を進め、存在感を示すチャンスだ」と本音を口にする。


 政府が2010年末に決定した防衛計画の大綱では、対中国を意識した南西諸島の防衛態勢強化を明記。防衛省は与那国島への沿岸監視部隊を新設するほか、石垣島や宮古島に普通科部隊を配備する方針を打ち出している。


 一方、前例のない陸自部隊の展開に、石垣市の幹部は「市民は迷彩服や自衛隊車両に違和感を持っている。ただ、北朝鮮の発射という現実があり、単に反対とは言えない」と当惑した様子。


 北朝鮮の動きに合わせた陸自の対応に、制服組幹部はこう指摘する。「今回の配備はミサイル対応ではなく、南西強化の政策推進だろう。与那国島に被害が出る確率がどれだけあるのか。やりすぎととられかねない」