育鵬社版 尖閣衝突のコラム掲載 原発の記述も変更

育鵬社の公民教科書に掲載された尖閣諸島周辺の中国漁船衝突事件のコラム
育鵬社の公民教科書に掲載された尖閣諸島周辺の中国漁船衝突事件のコラム

 

 石垣市と与那国町で4月から使用されている育鵬社の中学校公民教科書が、尖閣諸島周辺の中国漁船衝突事件や、東日本大震災の発生を踏まえた内容に一部変更されている。2011年の八重山教科書問題で大きな注目を集めたこともあり、批判も含めて教科書への意見を取り入れようと配慮しているようだ。


 育鵬社版では当初、2004年に発生した中国の原子力潜水艦による日本の領海侵犯を紹介するコラムを掲載。しかし生徒に配布された教科書では、より最近の2010年に発生した中国漁船衝突事件のコラムに変更された。


 衝突事件の現場から近い石垣島で、漁業関係者から「怖くて(尖閣周辺に)行けない」などと不安の声が上がっていることなどを紹介している。


 原発に関する記述は、東日本大震災の発生を踏まえ「原発事故は大きな被害をもたらし、あらためて原子力発電のあり方をふくめエネルギー政策全体を見直す議論が起きています」と変更された。


 当初は「安全性や放射性廃棄物の処理・処分に配慮しながら、増大するエネルギー需要をまかなうものとして期待されています」となっており、教科書を選定する八重山採択地区協議会の調査員(現場教員)などから「原発の危険性に何も触れられていない」と批判された。


 昨年の教科書採択時の議論は、出版各社が10年4月、文科省に提出した検定申請時の教科書をもとに行われた。実際に教科書が生徒の手に渡るまでに一部変更があるのは珍しくなく、各社とも特に東日本大震災について加筆している。


 同社の真部栄一教育教科書事業部長は「公民は比較的、時事的な内容なので、できるだけ直近の事例を入れたい」と話した。


 竹富町が採択した東京書籍版では、尖閣諸島について「日本の領土ですが、中国がその領有権を主張しています」と記述されており、地元の保守派から「日本の領有権の記述があいまい」と批判された経緯がある。


 生徒に配布された教科書でも、この記述に変更はなかった。同社はこの件に関する八重山日報社の取材に14日現在、回答していない。


 東京書籍版は、八重山採択地区協議会の調査員が推薦しており「(普天間基地の)返還計画が大幅に遅れていることが記載されている」ことなどが推薦理由となっている。