民間感覚「高過ぎる」 那覇西高校PTA 手登根安則会長(48)

 県立高校の教員が「ゼロ校時」と呼ばれる早朝講座で保護者から手当を受け取っていたことは、以前から問題だと指摘していた。本土では、こうした事例がないことを知っていたからだ。教員が早朝講座や課外授業で手当を受け取っているのは、沖縄と九州の一部しかない。


 教員には、時間外勤務の手当として給与に4%を上乗せした『教職調整額』がある。従来、早朝講座は時間外勤務だというので、教員は保護者から手当を受け取ってきたが、どこまでが教職調整額でカバーされる時間帯なのかはっきりしない。保護者も、どこまで報酬を支払っていいのか見えてこない。


 那覇西高の教員は45分の早朝講座で3千円を受け取っているが、民間の(時給の)給与水準からすると、あまりにも高い。今年2月、「金額で歩み寄りはできないか」と学校に持ちかけ、評議員会で話し合ったのが今回の問題の発端だった。


 教員は「ぼくたちは特別職だ。カウンセラ―は1時間で5千円取る。ぼくたちは安いほうだ」と言った。私は、あいた口がふさがらず「PTAのお母さんは昼間働いて、ご飯を作ってこの会議に参加し、帰宅してから片付けをしている。そんなお母さんたちこそ特別職だ」と反論した。


 「手当をもらえないならゼロ校時には協力しない」という教員もいた。「ゼロ校時がなくなると、子どもの深夜はいかいが増える。勉強について行けない子が出て、国公立大に行く子が激減する」とも言われた。まるで脅迫だ。


 那覇西高は、県内で最初に早朝講座をスタートさせた高校だ。それから各高校に広がった。20年前は全県で200人程度だった国公立大の進学者が、現在では千人に増えた。学校側は「ゼロ校時の効果だ」と言うが、この20年で変わったのは、進学塾が増えたことだ。国公立大の合格者の9割は進学塾に通っている。ゼロ校時だけが理由というのはナンセンスだ。


 私は教員に支払われた報酬について「基準を出してほしい」とPTA事務担当者に要求したが「ない」と言われた。何と、手当の受け渡しは口頭での伝承だったのだ。


 学校側は、PTAからのお願いでゼロ校時が始まったような話をしているが、学校とPTAがゼロ校時について交わした覚え書きもない。ゼロ校時がPTA主催だというのは、教員が手当をもらうための方便ではないか。最初から手当ありきの悪しき慣習だったのだと思う。

ゼロ校時は1校時に 結果責任の仕組みを

 ゼロ校時は子どもの学力を上げるためというお題目で始まったが、それから20数年、沖縄の学力はどうなったのか。全国で最下位だ。学校は「子どもがついてこれないから、本来なら授業時間で教えることを、ゼロ校時で教えている」と言う。しかし本来は授業で教えることをゼロ校時で教えているなら、課外授業として親に手当を請求するのは、理屈に合わない。悪く言えば、指導力不足を親に負担させている。ゼロ校時は通常の授業の延長だと言っているうちは、学力は伸びない。


 全県で年間1億円余が教員に支払われながら、なぜ沖縄の学力は全国最下位なのか。よしんばゼロ校時がPTAからの依頼だったとしても、結果を出していると言えるだろうか。


 沖縄の教員は、手当を受け取る慣習の中で、自らの資質を高める努力をおろそかにしてこなかったか。本土のように、信念を持って子どもに体当たりする先生がいれば、手当を出さなくても学力は伸び、合格者が増え、先生は誇りを得る。沖縄にはそれがない。「金ありき」はいかがなものか。


 個人的な意見だが、今回の問題の責任は県教委と学校にあって、現場の教員にはあまりないと思う。教員は最初からお金をもらうことが慣習になっているシステムに組み込まれてきたのだ。おかしいと思っても、自分だけもらわないことはできなかっただろう。


 県教委の職員はほとんどが教員出身で、自分も学校現場で手当をもらい、事実関係は認識していた。なのに、コンプライアンス(法令順守)に配慮しなかった。県教委と学校の責任は重い。


 しかし私は、ゼロ校時は継続するべきだと思う。学力や生活習慣の向上に一定の効果がある。ただ、その中の生活習慣については、親がお金を払ってやるべき事ではない。親の家庭教育の範疇(はんちゅう)に入ることだ。親にも危機意識がなく、安易に学校任せにしていた。


 親が手当を払うにしても、どの時間帯までが教職調整額でカバーされているのか、根拠をはっきり示し、金額は県内一律にしてほしい。PTAの財力、手当額の大小で、公教育の場で格差を作り出すことは、望ましくない。


 有志の会は、ゼロ校時の手当は上限でも千円、下限はゼロ(無報酬)が妥当だと考えている。PTAは役所ではないから、民間の基準で支払えばいい。教員がどうしても、もっとほしいというのであれば、公費負担にするべきだ。そのときは一緒に要請してもいい。


 沖縄は、朝が早く昼間が長いという特色がある。私は県教委に、ゼロ校時は1校時にするべきだと提案している。授業開始を繰り上げれば、ゼロ校時は時間外勤務ではなくなる。その分、授業が早く終わるので、課外授業や部活も早く始められる。


 子どもから必要とされる教員は、県に兼職兼業願いを出して、堂々と有料の講座を開けばいい。


 ゼロ校時の代わりに、校内でPTA主催の進学塾を開いてはどうか。外部から民間の塾講師を招く。学力のレベルを高めるために、徹底的に指導してもらう。


 教員に対しては「結果を出せなかったから辞めろ」とは言えないが、外部講師であれば、結果を出せないなら責任を追及し、契約を打ち切ればいい。保護者が出す報酬の効果が、手に取るように分かるはずだ。


 子どもを全国最下位の学力から救い出すためなら、PTAはお金を惜しまない。
 教育の現状を変えるために、多くの人たちに有志の会(℡090―8305―4896)に参加してほしい。   (談)