どう向き合う「脅威」 問い直される憲法

北朝鮮のミサイル発射に備え、石垣市に展開する自衛隊員(4月)=新港地区
北朝鮮のミサイル発射に備え、石垣市に展開する自衛隊員(4月)=新港地区

 1947年5月3日に日本国憲法が施行されてからきょうで65年。今年は沖縄にとって復帰40年の節目にも当たる。復帰後の八重山は平和主義、民主主義、基本的人権を保障する憲法のもと、経済的発展を享受。一方で、尖閣諸島問題や北朝鮮の長距離弾道ミサイル問題などで八重山を取り巻く国際的環境は厳しさを増し、憲法の理念と現実の乖離(かいり)も目立つようになった。「脅威」にどう向き合うのか、国境の島々でも憲法の在り方が問い直されている。


 2010年に尖閣諸島周辺海域で起きた中国漁船衝突事件で、日中の対立が改めてクローズアップされた。尖閣諸島は石垣市の行政区域だが、中国当局は「日本の実効支配打破」を表明。漁業監視船などが尖閣諸島海域での動きを活発化させている。


 中国は尖閣諸島周辺海域の海洋権益確保や、太平洋への進出を視野に入れる。八重山は今後も、両国の摩擦の最前線に立たされる可能性が高い。


 4月には北朝鮮が石垣島の上空を通過するコースで長距離弾道ミサイルの発射実験を強行。防衛省は万一に備え、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)や数百人規模の自衛隊員を八重山に展開させたが、実験は失敗し、日本に被害はなかった。


 北朝鮮が今後もミサイル発射実験を行う場合、友好国の中国やロシア、在日米軍が存在する日本本土や沖縄本島の方向は政治的配慮で避け、4月と同様に八重山の上空を通過するコースを選ぶという見方もある。


 憲法は前文で「日本国民は恒久の平和を念願し…平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言。しかし現実には、周辺国の軍事的行動が八重山の住民生活にも影を落とし始めており、前述の文言は「空文化」が進む。


 こうした中、政府は与那国町への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備を決定し、今年度予算で約10億円を計上した。


 地元住民は自衛隊配備の賛否をめぐり二分されており、反対派は「周辺国との友好を阻害する」などとして住民投票を要求。賛成派は、安全保障に関する判断は国の専権事項だと主張する。


 今後は石垣市への自衛隊配備をにらんだ動きも活発化する可能性がある。政府や関係自治体には、憲法が示す民主主義の理念を第一に、住民への説明責任を果たす姿勢が求められる。     (仲新城誠)