「美崎町で新築」に賛否 防災観点から議論も 市役所

現空港跡地利用基本計画で示されたゾーニング。市役所は含まれていない
現空港跡地利用基本計画で示されたゾーニング。市役所は含まれていない

 

 来年3月の新石垣空港開港に向け、市が3月に策定した現空港跡地利用基本計画では、前市政時代に検討されていた現空港跡地への市役所移転が盛り込まれていない。市役所が現空港跡地に移転した場合、中心市街地の空洞化が懸念されることから、市民を含めた委員会などで「別途検討する必要がある」と指摘している。建築後40年以上が経過し、老朽化が進む市役所は建て替えの時期が迫る。中山義隆市長は現在の美崎町で建て替えるのが望ましいという見解を示しているが、東日本大震災の発生を踏まえ、防災上の観点から現空港跡地への移転を主張する声も改めて高まっている。今後、市民を巻き込んだ議論が求められそうだ。

 

 市役所を現空港跡地に移転する構想は前市政時代に検討されていたが、現空港跡地利用計画では「市役所は中心市街地に立地し、核となる施設」「移転により発生する広大な空き地は都市の空洞化を引き起こす可能性をはらんでいる」などと指摘。市役所の新築場所については、市民を含めた委員会での議論を促すにとどめ、現空港跡地構想には入れていない。


 中山義隆市長も今年2月、「現空港跡地に移すと、まちが完全に東側にシフトし、桟橋通りから西側はさびれることになる。まちのバランスとしてどうか」と指摘。基本的には現在と同じ美崎町で建て替える方針を示した。


 ただ、市役所通りの標高は約2㍍しかなく、大津波が到来した場合の防災対策が不安視される。


 東日本大震災に関する書籍を市に寄贈するなど、防災対策に関心が深い市出身の産経新聞顧問、桃原用昇さん=東京都大田区在=は「明和の大津波の時に(現空港周辺にある)フルスト原遺跡には津波が来なかった。市役所、消防、警察、病院などの公共施設は現空港跡地に集約するべきだ」と主張。標高の低い美崎町で市役所を建設することは「明和の大津波の歴史を愚弄することだ。絶対に反対」と話す。


 中山市長は、美崎町で市役所を建て替える場合の防災対策について、市役所の高層化、土地の液状化対策などを進める考えを示している。しかし桃原さんは「20~30㍍の津波が来たらどうなるのか。高層化の議論はナンセンス。自然の脅威には謙虚にならないといけない」と危惧する。


 現空港跡地利用基本計画では、跡地を「歴史・文化」「産業振興」「市民サービス」「居住」の4ゾーンに分けた上で、県立八重山病院、消防庁舎、伝統工芸館、市立八重山博物館の移転方針が示されている。


 居住ゾーンを設けたことについては、「防災上の観点からも津波の浸水予測範囲外となっているため、居住地区としての整備が望ましい」としている。