がん・難病患者の渡航費助成 年内スタートへ調整 石垣市

難病患者に支給される特定疾患医療受給者証
難病患者に支給される特定疾患医療受給者証

 八重山に治療可能な医療機関がないため、沖縄本島や本土の医療機関に通院することを余儀なくされている難病患者や、がん患者の経済的負担を軽減しようと、石垣市は年内にも、患者の渡航費の一部助成をスタートさせる。関係機関・団体と助成に向けた調整を進めており、近く助成の基準を定めた助成金交付要綱が固まる。市は「離島で安心して住める体制が整わないと、離島に住む人がいなくなり、国全体の問題にもなる。離島に住む患者にハンディがあってはいけない」(前底正之健康福祉センター所長)と強調している。

 

 助成金交付要綱案によると、助成の対象は国が「特定疾患」「小児慢性特定疾患」に指定した難病の患者と、がん患者。いずれも島外での通院治療が必要な患者に限る。


 市によると2011年度末現在、特定疾患の患者84人、小児慢性特定疾患の患者69人が島外の医療機関に通院している。がん患者については把握されていない。
 市は患者に、渡航費として往復5千円を助成する。要綱案では助成回数を年度内に2回までに限ったが、市議会でこの件を取り上げた平良秀之氏が回数を限定しないよう求めたこともあり、検討を継続している。


 市は17日には、八重山地区医師会に助成事業の概要を説明し、理解を求めた。患者団体や八重山病院とも調整している。
 助成の財源は一括交付金を見込んでおり、市は市議会6月定例会で可決された補正予算案に100万円を計上した。国の交付決定が下りれば、要綱の決定後、助成をスタートできる見通し。


 国が一括交付金の活用を認めなかった場合について中山義隆市長は、市議会一般質問で「万が一通らなければ、市としてしっかり財源を確保して、患者の負担を軽減する」と答弁し、市単独事業でも助成を行う方針を示した。この場合には9月議会に提案する補正予算案に改めて助成金が盛り込まれる見通しで、可決後に助成がスタートする。


 市によると、関係者からは、難病などの患者に無制限に助成制度を認めた場合「患者が地元の医療機関を受診しなくなる」という懸念の声が出たという。このため、助成申請者は、島外での治療が必要であることを証明しなくてはならない。
 特定疾患、小児慢性特定疾患の患者は県から医療受給者証の交付を受けており、対象者は容易に把握できる。島外での治療が必要な患者は、島外の医療機関名が受給者証に明記される。


 がん患者についてはこうした制度がないが、助成申請書に担当医が添え書きし、島外での通院治療が必要であることを証明してもらう方向で検討が進んでいる。