最大波高は30㍍ 「先島は地震の常襲地帯」 明和大津波で後藤博士が講演 「名蔵湾へ波抜けは伝承」

 「再考・明和大津波の遡上高」を演題にした講演会(八重山明和大津波研究会主催)が23日夜、石垣市健康福祉センターであった。千葉工業大学惑星探査センターの後藤和久さん(理学博士)が、研究成果を基に「通説」を検証、最大85㍍とされる明和津波の波高を否定し「実際は30㍍」などと発表した。

 石垣島を襲った明和の大津波(1771年)について後藤さんは、古文書や伝承、従来の論文を比較検討した。最新のGPS(位置測量システム)も駆使し、波高は、通説の最大85㍍ではなく、最大でも30㍍ほどと主張。古文書の記録も踏まえ、宮良湾から名蔵湾に波が抜けたとの伝承も否定した。


 さらに、琉球列島各地に散在する津波石の年代測定から、崎原公園内=大浜=の津波石は、2000年前に打ち上げられた岩だとして、「明和説」を否定した。


 波高85㍍説については、当時の測量技術から、誤差が大きくなったとし、波高30㍍は当時の避難場所や被災者の埋葬地からも裏付けが可能とした。明和の大津波の古文書記録は、世界的にも貴重で、価値が高いとの評価も。


 その上で、地震の発生源について、石垣島の東、琉球海溝周辺とし、研究者の3説を取り上げ検証。どの説も、地震の規模を示すマグニチュードは8クラスを想定しているとし、現状では発生源は特定できないものの、特定できなくても地震対策に影響はないと強調した。


 データを基に、先島諸島は全国的に見ても、地震の常襲地帯とし、150年から400年周期で、地震と津波が発生していると明かした。

 

 後藤さんは、「明和」クラスの地震と津波が、どれくらいの頻度で発生しているかは今後の研究課題とした上、東日本大震災の教訓を生かすために、津波の最大遡上高など、現実なデータを防災計画に生かすべきだと主張した。