本当の意味での「観光立市」を目指すために① 本紙論説委員 辻維周

 来年三月七日に念願の新石垣空港が開港し、安全で快適なゲートウエイになることは喜ばしいことである。


 市民の多くは二千メートルの滑走路を持つ新空港が完成すれば、中型機(例えばボーイング767)の乗り入れも可能になり、スカイマークの参入もあるので航空運賃も下がり、入島観光客数も劇的に伸びると期待している。しかし仮にJTAやANAが平均座席数250席程度の767を羽田・関空~石垣を飛ばしたとしても、折り返しの運航となる石垣~那覇間の機材運用にはそれほどのキャパシティを必要としていないため、現実問題としては不可能もしくは減便となるであろう。またスカイマークが参入して運賃が下がったとしても、宮古~那覇線のスカイマークの平均搭乗率三割が物語るように、救世主とはなり得ず、当然ながら観光客数の激増は望めない。本当に観光客を誘致したいのなら、むしろそのような悪い意味での「他力本願」ではなく、行政や観光業者自身が魅力ある観光地づくりをすることが先決であろう。


 現在の石垣島は、観光客は多いが本当の意味での観光地ではなく、離島観光のための基地的な存在になっている事は否めない事実である。例えば、石垣に降り立った観光客が必ず訪れる川平湾にしても、湾内への赤土流入や、赤土堆積の為に小島裏の水路が遮断されたりしている事から水質悪化が進み、さらに大雨の後には水深三メートル付近まで塩分濃度が一パーセント(通常は三、四パーセント)を切る状態になっていることから、湾内の珊瑚被度は限りなくゼロに近づき、真珠貝への被害も出始めている。また水深十七メートルの海底には珊瑚の死骸や、赤土が混ざったヘドロ状の土砂が二メートル以上堆積しており、水質悪化に拍車をかけている。最近の観光客は目が肥えてきており表面だけ美しくても納得はしないと言う事を理解すべきである。現実にグラスボートに乗った観光客からは「これでミシュラン三ツ星なのか。」という声も聞こえてくる。


 また石垣島はベストダイビングエリア第三位に連続して選ばれているが、これは日本でただ一か所マンタが見られる場所だからであり、仮にマンタが来なくなったときにはベストテンからも転落する可能性が高いので、手放しで喜んでいてはならないのである。


 では魅力ある観光地をつくるためにはどのようにすればよいのであろうか。次回はそれについて述べて行く。(首都大学東京大学院講師)