モラルを問う② ~捨て犬・捨て猫・放し飼い~ 本紙論説委員 辻 維周

 台風9号が接近していた時のこと、名蔵湾沿いで首輪の付いた一頭の中型犬を保護し、知り合いを通じて飼い主を探したが見つからない。仕方なしに風雨が収まった後にパンとミルクを与えて同じ場所に放してきたが、知り合いから聞いたところによると、この島では台風が近づいた時にはわざと犬を放す飼い主も多いとのこと。また夜間巡回中に米原付近でリードをつけずに犬を散歩させていた若者に注意したところ、「五十メートル以内ならリードをつける必要はねえんだよ!」とわけのわからない身勝手な言い分を喚き散らされたが、世のなかには犬嫌いもしくは犬に恐怖を感じる人もいるので、散歩時のリードは必須である。さらに週末や夜間には保健所のパトロールも無いため、放し飼いをしている人も多いとの話も聞いた。今まで述べたケースはローカルルールとの言い分もあろうが、別の視点から言うと非常に無責任な飼い方であり、そのような人は生き物を飼う資格が無いともいえる。


 それは内地からの移住者にも言えることであり、せっかく連れてきた犬や猫を内地に帰るときには島に置き去りにしてしまうケースが多い。その結果、野犬や野良ネコが増加してヤギや子牛を襲ったり、貴重な野生生物を食べてしまったりすることにより、農業や自然環境に重大な影響を与えている。また子猫が路上にうずくまっているところに車が突っ込んで轢き殺すロードキルも急増しているので、保健所や市役所は夜間土日祝日の対応ならびに野犬のみならず、野良ネコ対策も講じる必要が出てきたと思われる。


 また水環境ではブルーギルやグッピー、ティラピア、特定外来生物に当たるカダヤシなども、飼いきれなくなった人が名蔵ダム近くの於茂登親水広場の流水に捨て、環境に適応し自然繁殖してしまったために在来種を駆逐してしまっていることは嘆かわしいことである。さらにこの名蔵ダム付近では、ミシシッピアカミミガメの成体も目撃している事から、石垣の環境は水陸ともに人為的に相当乱されてしまっていると考えるしかない。


 金魚を含むどのようなペットでも、一度飼い主になると最後まで面倒をみる義務が生じ、途中でその義務を放棄することはできないことを肝に銘じておく必要がある。身勝手な飼い方をする人がいなくなり、安楽死と言う名の殺戮が行われる動物愛護センターが暇になる時が来ることを願わずにはいられない。
              (首都大学東京 観光科学領域 大学院講師)