住民も「定見」持てず 島々の安全保障

 尖閣諸島周辺には中国の漁業監視船が頻繁に出没するようになり、中国当局者が「日本の実効支配打破を目指す」ことを公言するなど、攻撃的な姿勢が強まっている。急速な経済発展と国力の躍進が背景にあるのは明らかで、政治・経済ともに低迷する日本は「弱み」につけ込まれた形のようだ。周辺海域で漁をする漁業者だけでなく、一般市民も尖閣諸島問題に関心を持ち、声を上げ続けることが求められている。


 中国共産党系の新聞では、尖閣諸島周辺で軍事演習地区を設置するよう求める中国軍関係者の発言が掲載されるなど、尖閣諸島に対する中国の領有権主張は、軍事力の行使を示唆するレベルに達し始めた。


 八重山防衛協会の三木巌会長は「外交的な問題に、市民が簡単に意見を言うことはできない」としながらも「国防も防災も同じ。市民が自分たちの領域は自分たちで守るという意識を持つことも必要だ」と話す。


 ただ、島々の安全保障のあり方に対しては、市民レベルの議論は盛り上がってこなかった。一方で尖閣諸島の領有権や自衛隊の役割を記述した中学校公民教科書の採択に対しては、激しい反対運動が勃発。与那国町の自衛隊誘致をめぐっては、島の意見は二分されたままだ。


 住民が安全保障に対する定見を持てないまま「隙」を突かれる事態になれば、石垣市登野城=尖閣諸島=を他国に強奪される未来は、そう遠くないかも知れない。