尖閣「守り抜けるのか」 地元に広がる不安 強制送還には賛否

 香港の反日団体メンバーが尖閣諸島の魚釣島に不法上陸した事件で、政府が強制送還の方針を固めたことを受け16日、地元からは「処罰するべきだ。強制送還だけでは、また来る」(八重山防衛協会の三木巌会長)などと疑問の声が上がった。中国の海洋活動は活発化の一途をたどっており、尖閣諸島を守り抜けるのか、地元には不安が広がり始めている。

 

 上陸した反日団体は中国政府の意をくんでいるとされており、三木会長は「相手は国土をかすめ取ろうとしているのに、何も処罰しないのか」と疑問視。


 今後、政府が取るべき対応としては「尖閣諸島に人が住むことが大事。施設を作って実効支配を強化するべきだ。尖閣を守り抜かなくてはならない」との考えを示す。


 自営業の平田直芳さん(54)=石垣=も「終戦記念日の8月15日に合わせた上陸は日本を侮辱した行動。強制送還は有り得ない。日本の外交が軟弱だから(尖閣諸島を守り抜くのは)厳しい」と懸念した。


 尖閣諸島を守るには、市民の領土意識を高揚させることも大事だが、尖閣諸島については「教育現場でも教えられてこなかった」と指摘するのは、元教員で、教科用図書八重山採択地区協議会委員の石垣繁さん(74)。


 中学校の公民教科書選定では、従来の教科書が尖閣諸島について「日本の領土だが、中国も領有権を主張している」と、日本の領有権を明示しない記述になっていることに気づき「心を刺される思いだった」と明かす。この記述にどうしても同意できず、尖閣問題の記述がより充実した育鵬社の教科書に投票した。


 石垣さんは「尖閣諸島を八重山郡と明記した中国の感謝状が市の文化財に指定されている。政府は、こういう資料を使って(領有権の正当性を)中国に説明したことがあるのか」と、中国側を説得する努力の必要性も訴えた。


 漁業者の名嘉秀三さん(49)=新栄町=は、反日団体メンバーの強制送還に対して「人道的に考えた場合、やむを得ない」と理解を示す。ただ「2度とこんなことがあってはならない。尖閣諸島に監視施設や避難港を作るべきだ」と改めて政府の対応を求めた。