法に則って粛々と 宮良 長和

 法に則って粛々と、という言業を聞く度にむかむかする。最近新聞を見ると政治家がよく言っている。そのように云えば、緊急の問題が起こった場合、ぐずぐずだらだらしていても責任は逃れられるらしい。法冶国家では何をするにも、法に照らし合わせなければ身動きが取れないようである。普段法律などに縁のない者は、こんなことまで、と首をかしげざるを得ない。


 尖閣に外国人が不法に強引に上陸しても、非武装中立の憲法があるから、勝手に手が出せないという。素人は、そんなことは総理大巨と防衛大臣が相談して、どんどん決めたらいいのではないかと思うが、そうもゆかないらしい。法に則って粛々と進めなければならないそうである。法に則って粛々としているうちに島を乗っ取られたらどうする。法に則って粛々としていては、緊急の対応は取れそうにない。現に先日は外国人が尖開に上陸している。非武装中立の平和憲法が、これ程の動かしがたい力を持っているとは知らなかった。


 そうとなれば私もこれからでも遅くない。何か行動を起こす前には、これは法的に則っているかどうかを真っ先に考えることにしよう。まだ強盗に入られたことはないが、これからも無いとは限らない。門前で大声で喚き散らしたらどうしようか。玄関の戸を叩けば、開けるべきか、裏から逃げるべきか。無理に開けて入って来たら、そして刃物を持って切りつけてきたら…老いぼれたりといえども、むざむざと殺されるわけにはゆかない。その辺にある傘を無闇やたらに振り回しているうちに運悪く(私の運ではない、強盗の運である)当たり所が悪くて死んだら、殺人罪になるだろうか、正当防衛だろうか。


 『誰が日本の国土を守るか』の著者、浜口和久さんによると、防衛問題は国内問題でもある、とおっしゃる。何のことかと思ったら、驚くべきことに、国内には外国軍を待ち望み、早く占領されることを期待している人々がいるという。これらの勢力に対する対応も考えて置かなければならないらしい。外国からの脅威だけではないという。


 政治家の中にも居るようである。それもあって侵略者に対して即時の対応が取れないのだろう。只単に外国からの侵略に対して備えればいい、というものではないようである。法を盾に言を左右している人々の中には、上記の待っている人々も含まれているかも知れない、と疑ってかかる必要がある。これこそ内憂外患である。


 石平さんのように共産主義の中国が嫌いで、中国を脱出して来て日本人になった人もいるし、台湾の金美麗さんもいる。李登輝先生もいらっしゃったらいいのに。そして交換条件として、こちらからも、中国、北朝鮮、韓国、ロシアが好きな人々は誰でも、自由にかの国へ行って住めるようにしたら万事好都合であると思うが、そうはゆかないのだろうか。同じ国内に、全く考えが違う人々同士が住まなければならないのは悲劇という外ない。


 石原知事が平和の毒と云っている。それにしても日本人も落ちたものである。戦後六十年の平和が、日本人を心身共に堕落させ骨抜きにした。それに法に則って粛々、が輪をかけて、益々日本人を優柔不断にしてしまった。昔、聖人君子による独裁政治が理想である、とプラトンは云った。衆愚政治という言葉もある。