福島の原発事故以降…

 福島の原発事故以降、八重山にも大勢の人たちが放射能被害から避難している。長崎の平和祈念式典で宣言された「放射能に脅かされることのない社会」は人類共通の願いだ◆しかし将来のエネルギー政策の議論は、また別の話である。5年、10年といった長い期間をかけて考えなくてはならない。原発事故からわずか1年余。原発廃止を求める世論や官邸前のデモに押されて、国が「脱原発」の方向性を決めてしまうのであれば、いかにも早計だ◆現在の世代が「脱原発」を実現したとして、将来、子や孫の世代が、ロウソクの下で暮らすようなことにならないか。米国や中国のような大国が原発を推進する中で、資源小国である日本だけ一方的に撤退することが、果たして国益にかなうのか。議論すべきことはまだ多い◆原子力は人類が積み上げてきた科学技術であり、使い方によって善にも悪にもなる。「脱原発」を人道主義や平和主義と同一視する風潮は、考え違いもはなはだしい◆尖閣諸島、竹島、北方領土の問題で「冷静な対応」を求める声がかまびすしいが、冷静さが求められるのは原発問題だ。沖縄には原発はない。他人事のように「脱原発」に付和雷同していないか、反省の必要があろう。