開発を考える① 辻 維周

 来年三月の新空港開港を半年後に控え、あちらこちらで宿泊施設や道路の建設が行われている。確かに島が多くの観光客で活気づくのはいいことだと思うし、それによって雇用が創出され島民が経済的に豊かになることは、将来を見据える上に於いても重要なことである。


 しかし一方ではその開発によって赤土が大量に流出し、海洋汚染を引き起こしつつあることも知っておく必要がある。特に今まで手つかずであった北部の開発が盛んになり、それに伴って大雨が降ると建設現場からの赤土で海が真っ赤になる光景を見るたびに、珊瑚の行く末が気になるのである。造礁珊瑚(陸地を形成することができる珊瑚)は褐虫藻という藻を共生し、昼間はそれが光合成することによって珊瑚に酸素を供給している。

 

 また夜は珊瑚自体が肉食生物としてポリプを伸ばして盛んにプランクトンを捕食する。その珊瑚の上に赤土が降り積もると光合成が阻害され、珊瑚は酸素不足に陥ってゆく。さらに農薬が混入しているとダブルで珊瑚を痛めつけ、褐虫藻は珊瑚から逃げ出して行ってしまう。その結果珊瑚は白くなり(白化)、死滅への道をたどってゆく。珊瑚が死滅してゆくと、珊瑚を住処としていた海洋生物たちも行き場が無くなり、漁場の減少にもつながって行ってしまうのである。


 他方、道路に目を転じてみると、野底林道や屋良部林道、浦底クイツ、嵩田林道などの法面が大雨によって崩壊し、道路が通行止めになるとともに、そこから大量に流出した赤土が海洋汚染を引き起こした事は記憶に新しい。浦底クイツは昔から存在しているバイパス的な存在の道であるから仕方がないと思うが、それ以外の林道を建設した理由が今一つはっきりしない。

 

 さらにこのような道に観光客のレンタカーが入り込んでくると、そこに生息している貴重な野生生物のロードキルも発生するため(現実に野底林道や屋良部林道ではセマルハコガメが潰されていたこともある)、海洋生物のみならず陸生生物の生命までも脅かしてゆくために、百害あって一利なしということにもなりかねないのである。一方既存の道路は一度大雨が降ると至るところで路面が冠水し、知らずに突っ込んで立ち往生する車両も多くみられる。


 以上の理由により、プラス要因よりも乱開発によるマイナス要因のほうが多くなってしまうことが明白であるため、新しい宅地開発や道路建設は必要最小限にとどめ、既存施設の整備を行うことのほうが先決のように思える。