購入、活用のステップ 都調査団一問一答 尖閣

尖閣諸島の洋上からの現地調査を終え、船から石垣港に降りる調査団(2日午後10時過ぎ)
尖閣諸島の洋上からの現地調査を終え、船から石垣港に降りる調査団(2日午後10時過ぎ)

 尖閣諸島(石垣市登野城)購入に向けた現地調査を行った東京都の調査団は2日夜、石垣港で記者会見した。一問一答の模様を紹介する。

 

―調査を終えた印象は。
 大井泰弘・都知事本局理事(尖閣諸島特命担当)「尖閣諸島の購入とその後の活用策を検討するために調査を実施した。政府の上陸許可は下りなかったが、可能な限り島に近づいて調査を行った。気象や大気の状況、潮流や水深、水質など海の状況、地形や生物の観測、観察、避難港に適する場所の観測など、非常に貴重な情報を得ることができた。東京に戻り、調査班ごとに報告書を作成する」


 坂巻政一郎・都知事本局尖閣諸島調整担当部長「天候にも恵まれ、波の高さも1㍍程度と、なぎと言っていい絶好の条件の中で、計画通り充実した基礎的な調査ができた。ラバーボートは島に数㍍まで肉薄し、島の概観を観察した。小型船は外周を広範囲に渡って水深、水質などの調査を行った。成果は都庁に持ち帰り、島の購入、活用の次のステップにつなげたい」


 山田吉彦・東京都専門委員「予想以上に新しいものが見れた。海から見て、東シナ海の尖閣諸島という海からの視点で考えると、残された自然の状況などを見ても、非常に重要な島だと再認識した。周辺海域の調査すら30年もなかったのだから、今回の調査は非常に意義深い。むしろ、もっと早くやるべき調査だった。石原慎太郎都知事の判断で調査できたことは、この国全体にとっても大きな一歩だった」


 小城春雄北海道大名誉教授「魚釣島ではヤギの食害が意外と深刻で、できればヤギを早急に駆除することが必要だ」


 吉村乗勝・石垣市企画部長「尖閣諸島は石垣市の行政区域だが、現地をこれまで確認してこなかった。海上からではあるが、その場に立たせていただいたことは、大きな一歩だ」


―今回の調査で一番驚いたことは。
 山田委員「魚釣島では水場が予想以上に多かった。安定して水を確保できるということは、今後、この島を利用していく上で、充分に居住空間を作り得ると感じた」


 小城名誉教授「ヤギの食害が深刻だ」


 吉村部長「資料や写真で見ているより、非常にスケールの大きい島だ。ヤギの群れを10頭ばかり確認した。相当数のヤギがいると感じた」


 山田委員「ウミガメを3ヵ所で見た。島の周りの生態系は豊かだ。海を見ても、深いブルーで引き込まれそうな美しさだ。北小島の野鳥の多さ、自然の残された生態系は非常に重要だ。潮流が非常に早いので、漁業という視点からは、避難拠点や通信基地は絶対必要だと感じた」


―石原都知事が言う船だまりは設置可能なのか。
 山田委員「可能だと思う。島の南側と北側は明らかに風が違っている。複数の避難港も想定に入ってくる」


―調査に当たって石原都知事の指示は。
 大井理事「知事からは、零細漁民のための船だまりの適地を見て来てほしい、有人の気象観測施設ができるかどうか、無線中継基地も有人でできるか、地形的にしっかりと見て来いということだった」


 坂巻部長「避難港について言うと、今までは魚釣島の北西部の旧集落があった部分しか目に触れたことはなかったが、今回は北東部、南側、北小島、南小島をつぶさに見て地形、水深を測ってきた。データを分析した上で、適地になるかどうか判断したい」


―上陸調査の必要性をどう思うか。
 坂巻部長「平地の部分がどの程度奥行きがあるか、なかなか今回の調査では見れなかった。ヤギなどによる崩落の状況もあるので、中に入っていかないとなかなか見れない」


 山田委員「ヤギの食害は、概算で見ただけでも相当出ている。目視では島中、まんべんなくヤギがいた。20頭は見られる。水があることは確認されたので、今度は水の性質も非常に重要。どういう形で島を管理するべきなのかは、上陸して土壌の性質などを調べた段階で、初めて答えが出てくる」


 小城名誉教授「昔、魚釣島には数万頭のアホウドリがいた。ちゃんとヤギを駆除して、島の環境を整備すれば、再びアホウドリが巣穴が回復する可能性も出てくる。そのためにも現地調査は必要だ」


 吉村部長「環境問題にしても深刻だ。行政区を預かる者として、しっかり対応しないといけない。国、県、市がそれぞれ何ができるか検証しないといけない。上陸すれば、それなりのものも見えてくる」


―ヤギの食害や水場の状況は。
 山田委員「明らかに木の下草がほとんど食べられてしまっている。ヤギが通る道のところでは岩盤が露出し、崩壊している。
 小さい滝のようなものが岩肌からしみ出ている場所、川のように岩盤から流れている箇所があった。魚釣島で6カ所、北小島で1カ所確認した」


―人が住める状況なのか。
 山田委員「実際に、かつて248人住んでいた。水場があることが分かると、ある程度の居住空間が作れるであろうことは想定される。生態系全体のバランスを考えながらの土地開発も視野に入れることは、今後の検討の中で出てくる。これだけ自然が残されていることを考えると、非常に魅力的な島だ」