「現状維持は不利」の指摘も 尖閣国有化に懸念の声

今月2日、東京都の洋上調査時の魚釣島(石垣市提供)
今月2日、東京都の洋上調査時の魚釣島(石垣市提供)

 尖閣諸島(石垣市登野城)が国有化される方向になったことについて、地元から懸念の声が上がっている。国は中国に対する配慮から、市が求めている漁船の避難港整備や、上陸調査などを今後も認めない方針を示しているためだ。政府が繰り返す「平穏、安定的な維持管理」を名目にした現状維持は「市にとって非常に不利」と指摘する識者もいる。


 中国は、尖閣諸島で施設整備が行われた場合は「日中関係は深刻な影響を受ける」と警告している。ただ、施設整備の有無にかかわらず、最終的には日本を排除し、尖閣諸島の実効支配を目指す意図を持つと見られる。


 放送大学客員教授の徳松信男氏は「尖閣諸島に何も造らせないのは、中国の要求に屈したためだ。(中国の要求は)日本の実効支配打破に向けた一つのステップ。市にとって非常に不利だ」と話す。徳松氏は「都が買ったほうが良かった。市は今後も、国に対して施設整備を要求し続けないといけない」とも訴えた。


 市議会は、国が尖閣諸島を購入するよう求める決議を可決している。決議提案者の仲間均氏は「国が購入し、市に払い下げするべきだ。(その上で)市が静かに、避難港や無線基地などを整備すればいい」と問題提起する。


 国が整備を認めない場合について「毅然とした態度で、国に整備を認めるよう要請する。市長を先頭に市議が尖閣諸島に上陸し、国に進言する」と断言。中国が対日報復措置を示唆するなど、反発を強めていることについては「尖閣諸島は石垣市の行政区域だ。中国は関係ない」と指摘した。


 漁業の名嘉全正さん(53)は「魚釣島から3マイル(漁船で約15分)の場所では高級魚のアカマチが釣れる」と、尖閣周辺が豊かな漁場であることを強調。「避難港を造ってほしい。本当は国が買うべきだが、何もしないことは分かっているので、石原慎太郎都知事に期待していた」と話した。


 尖閣諸島の国有化に対しては、都が購入すれば中国などとの摩擦激化は避けられないとして、賛同する意見もある。