沖縄特有の課題に活用 市、9事業は取り下げ 分捕り合戦、問われる「能力」 一括交付金

 国が県、市町村に配分する一括交付金(沖縄振興特別推進交付金)で、石垣市は10日までに65事業が認められ、さらに10事業が要望中になっている。自治体にとっては、財源不足のため芽が出なかった事業に着手できるチャンスだが、使途は沖縄特有の課題を解決するための事業に限定。9事業は国に認められず、取り下げざるを得なかった。国と渡り合うため、市町村の「説明能力」が問われる制度でもある。

 

 取り下げた事業のうち「離島医療充実事業」は、市民の健康を守るため、最新の胃カメラを購入したり、がん、難病患者が治療のため本島に渡航するための費用を助成する内容だった。市は渡航費用について、独自財源で手当てすることを決めたが、胃カメラ購入は見送りに。市議の1人は「認められたほかの事業に比べても、重要性は高いと思うが…」と首をひねった。予算を認めるかどうかの国の基準は、市民感情からは分かりにくい面もある。


 給食の配送車を購入する事業や、全教員にパソコンを配布する事業も認められなかった。市の財政担当者は「単にモノを買うだけの事業は、認められないようだ」と話す。幼稚園の預かり保育実施園を増やす事業、国際化推進に向けて英会話教室を開催する事業、NPОとの協働のまちづくりを推進する事業も「沖縄特有の課題とは関係性が薄い」として認められず、最終的に取り下げられた。


 6月に発表された第一次内諾事業には入らなかったが、国との再調整で、7月、9月の第二次、第三次の内諾事業として認められた事業もある。事業の目的や内容を沖縄特有の事業に合わせるために変更するなど、事業を「練り直し」たことで国の理解を得た。野良猫の避妊去勢事業や、防犯灯をLED化する事業などが主な例。第一次内諾事業は38事業だったが、第二次で12事業、第三次で15事業が認められている。


 中山義隆市長は今年1月、一括交付金制度を「市町村の分捕り合戦」と表現したが、一括交付金の獲得をめぐる調整は、国にいかに事業を認めさせるかという市町村の能力が問われる局面でもありそうだ。市の一括交付金の配分枠は13億円で、現時点で認められた事業費総額は10億9800万円。要望中の事業は総額1億9700万円で、初年度の「分捕り合戦」はラストスパートに入った。市財政課は「配分枠は使い切りたい」と意気込む。