島の台風 辻 維周

 9月27日に八重山を襲った台風17号ジェラワットは、甚大な被害を島に残して去っていった。この17号は島の南側を通ったため、北からの猛烈な風に見舞われたうえに、大潮と重なり名藏湾沿いの県道79号線が高潮の影響を受け、至るところで冠水していた。


 台風通過後に島を回ってみると、樹木や自販機はもちろんのこと、なんと生きた鶏が入ったままのケージまで道路上に吹き飛ばされていた。しかし台風に慣れている島は一人の死者も出すことなく、日常生活に戻って行った。


 さて、台風が来るたびに台風情報の出し方について非常に不愉快に思うことがある。今回は17号に続き、本州の南海上で18号イーウィニャが発生していた。強さと規模ははるかに17号の方が大きく、先島諸島を直撃する公算が大きいにもかかわらず、全国向けの天気予報では本州に近い(ただしその付近では海水温もそれほど高くなかったため、発達の可能性もさほどなく、さらに偏西風が本州の南まで降りているため、上陸の可能性はほとんどなかった)18号の情報を中心に報じており、17号の情報は付け足し程度であった。


 そのため17号が接近していることを知らない観光客が続々来島し、石垣空港や観光案内所で初めて台風接近を知り、呆然としている姿を数多く見かけた。せめて出発空港で台風接近の情報を客に与えていれば、日程変更やキャンセルなども出来ただろうが、そのようなインフォメーションが全くと言ってなかったという客の苦情を聞くにつけても、航空会社の無責任ぶりには呆れ果てるばかりである。


 さらに罪が重いのは内地優先のマスコミである。一時は900ヘクトパスカルにまで下がった「非常に強い台風」が先島諸島を襲うことは確実であるにもかかわらず、一向に報じることはなく、それが内地にまで影響をもたらすとわかった途端、手のひらを返したように17号の情報を伝え出すという身勝手さには、沖縄切り捨てという意識を感じ、強い怒りさえ覚える。


 おそらく今後もこのような沖縄切り捨て、離島切り捨ては続くと思われるので、沖縄県を訪れようとしている観光客は、自分自身でこちらの天気情報、台風情報を入手するしかないのかもしれないが、行政サイドもこのような内地優先の姿勢に対して抗議していってもらいたいものである。(本紙論説委員)