歴史的事実の情報発信を 尖閣問題で高良氏講演 全国市長会、石垣で総会

高良倉吉氏
高良倉吉氏

 49歳以下で初当選した全国の市長で組織する全国青年市長会(会長・井原巧愛媛県四国中央市長)の第26回総会が3日、石垣市民会館中ホールで開かれた。県内での総会開催は初めて。琉球大の高良倉吉教授が「沖縄の歴史、沖縄の課題」と題して基調講演。尖閣諸島問題を取り上げ「歴史的な事実をもっと情報発信するべきだ。エキサイティングになってはならない」と冷静な対応を促した。

高良氏の講演を聞く全国の若手市長たち=3日午後、市民会館中ホール
高良氏の講演を聞く全国の若手市長たち=3日午後、市民会館中ホール

 高良氏は歴史学者の立場から、尖閣諸島について「琉球王国時代、那覇の港を出て中国に行く船は、尖閣諸島の近海を通って福建の港に行く。当時の船乗りの記録では、尖閣は大海原を越えていく目印だった。現代の歴史を研究している人間からすると、誰かの所有物ということはない」と述べた。


 日本が明治時代から、尖閣諸島を活用した産業振興の可能性に着目し、明治18年には県庁が詳細な調査を行っていたことも紹介した。その上で「日本政府、沖縄のわれわれも、歴史的な事実をもっと情報発信する努力をするべきだ。情報発信は東京ではなくて石垣にやってほしい」と要望。「クールな事実認識をほったらかして領有権問題は存在しないと言い続けたり、中国のものだと言っても不毛だ」と強調した。


 歴史上、領土問題は戦争以外に解決の道はなかったと危惧。「エキサイティングになってはならない。東アジアが騒がしくなると沖縄が不幸になる。尖閣を通じて東アジアが緊張するのではなく、むしろ新しい関係を構築していくための第2ラウンドにするべきだ」と呼び掛けた。


 総会には全国の若手市長約20人が来島した。井原会長があいさつしたあと、開催地を代表して中山義隆市長が歓迎した。基調講演後の議事では、岩手県陸前高田市の「復幸支援センター」への職員派遣などについて話し合った。役員改選では、新会長に埼玉県北本市の石津賢治市長を選任した。次回の総会開催地は熊本県上天草市。4日は石垣島視察を行う予定。