尖閣に海洋保護区を 自然や漁場の保全必要 中国実効支配なら軍進出 山田教授インタビュー

インタビューに答える山田氏
インタビューに答える山田氏

 尖閣諸島問題で八重山が日中対立の最前線に立たされる中、石垣市は、尖閣諸島の活用などを盛り込んだ「海洋基本計画」の策定作業を進めている。八重山日報社は14日までに、策定委員会の山田吉彦委員長(東海大海洋学部教授)に、尖閣諸島問題について聞いた。

 

 ―尖閣諸島問題の現状は。
 「中国が(尖閣の奪取に向け)長期戦略に入っている。海洋監視船、漁業監視船のタイプを見ても、冬を越えられる大型の船にシフトしている。東シナ海を実効支配しているのは中国だというイメージを、対外的にも発信しようとしている」


 ―尖閣諸島の国有化に対する中国の反発をどう見るか。
 「中国は長期戦略の中で、明らかに国有化の可能性を考えていた。しかし、石原慎太郎都知事の購入発言以降、日本政府が国有化を急いだことで、事態が思惑より早く進み、中国は焦った」
 「官製デモによる日本企業の焼き討ちは、世界中から批判を浴びた。国連で『日本に尖閣を盗まれた』と発言したことで、日本国内の一般の人たちも『中国という国はおかしい』と思い始めている。これは中国にとって一つの失策だ」
 「中国はもっと、巧妙に(尖閣の奪取を)進める計画だったと思う。次期政権でやるはずだったことを、現政権でやらざるを得なかったのだろう」


 ―八重山の住民には、尖閣諸島問題に対する危機感が薄い。
 「尖閣周辺の領海の外に、中国船はすでに入っており、東シナ海は取られている。地元の人が思っているより事態は深刻だ。中国はじわりじわりと長期戦で迫り、気づいたら上陸されていたということになるかも知れない」
 「尖閣を実効支配されると、中国が周辺の制海権を持つことになり、潜水艦や艦艇が入ってくる。軍が入ってきて実効支配するのではない。実効支配したあとに軍が入ってくる。南シナ海も同じやり方だった」
 「そうなると日本は東シナ海を失い、豊かな漁場と資源、安全保障を失う。尖閣は拠点となる島だ。しっかり見据えないといけない」


 ―政府による国有化の判断は正しかったのか。
 「あえて国有化する必要はなく、都の動きを見てからでも良かった。国家が購入するのと、地方自治体が購入するのとでは、中国の受け止め方が違う。その認識が足りなかった」
 「都は石垣市の意見を組み入れた形で無理がない計画を作り、尖閣の実効支配を強めることができた。国は国有化したあと、どう尖閣諸島を守っていくのか、具体的な方策を持っていない」


 ―尖閣諸島の所有者となった国は、今後どうするべきなのか。
 「しっかりとした調査を行うべきだ。自然がどう残されているのか、ヤギに壊された生態系をどう戻すか。充分に人が住める環境なので、人が管理する体制を作るべきだ」


 ―石垣市の海洋基本計画で、尖閣諸島をどう位置づけるのか。
 「尖閣の自然の保全、漁場の保全、将来的な資源開発を視野に入れた海洋保護区の設定を考え、国と地元で管理体制を敷いていくことが望ましい」


 ―尖閣諸島の世界自然遺産登録を目指すべきだという意見もある。
 「メリットが分からない。国立公園に組み入れることで開発できなくなっても困る。世界遺産登録の前にやるべき調査もできていない。まずは調査が必要だ」
 ―尖閣諸島での施設整備についてどう考えるか。
 「船が一時的に停泊できる船だまりがあればいい。将来的に、状況が落ち着いた段階で、港湾整備をすることが必要だ。必ずしも大きな港でなくてもいい」