天然記念物に津波石 災害の歴史伝承 東海岸にちらばる

国の天然記念物に指定される「安良大かね」。火山岩の一種の流紋岩で鉄分が多いため赤く見える。記録では、明和の大津波で50㍍以上移動したとされる=安良海岸。
国の天然記念物に指定される「安良大かね」。火山岩の一種の流紋岩で鉄分が多いため赤く見える。記録では、明和の大津波で50㍍以上移動したとされる=安良海岸。

 津波石が国の天然記念物に指定へ―。文化庁の文化審議会文化財分科会は16日、田中真紀子文科相に、石垣島東海岸の津波石群を国の天然記念物に指定するよう答申した。来年2月にも指定(官報告示)される。石垣島に関連する国の天然記念物指定は13件目。鉱物の指定は石垣市では初めて。

 指定されるのは石垣島の東海岸一帯にちらばる津波石、津波大石(うふいし)・安良大かね・高こるせ石・あまたりや潮荒(すうあれ)―の4個。大きさは推定重量1千㌧の津波大石=大浜=から、直径7・5㍍、高さ2・4㍍=の安良大かね(重量不明)まで、さまざま。


 津波大石は、2000年前の先島大津波によって打ち上げられたと測定。ほかの3個は明和の大津波(1771年)によって移動したと古文書に記されている。


 文化財分科会は、4個の津波石は、科学的検証と歴史的な裏付けによって、過去の大津波の規模を具体的に示し、学術上重要なだけではなく、自然災害の記憶を継承、防災意識の啓もうにも役立つと期待している。


 市教委は、指定後すみやかに津波石周辺の環境を整備するとともに、標柱と看板を設置、記念物の保護を図る。他の津波石も追加指定されるよう、国に働きかける方針。


 玉津博克教育長は「東日本大震災の記憶が新しい中、石垣の津波石が天然記念物に指定される。津波石の指定で、自然災害の怖さを文化財として記憶にとどめ、防災の大切さを全国に発信したい」と述べた。


 今回の答申で、宮古島市沖の八重干瀬(ヤビジ)も天然記念物と国の名勝に2重指定される。今年、県内からの天然記念物指定は、名護市嘉陽層の褶曲(しゅうきょく)と喜屋武海岸・荒崎海岸(名勝にも指定)=糸満市=を含め4件となる。


 [天然記念物]文化財保護法に基づき、貴重な動植物と地質鉱物、天然保護区域を文部科学大臣が指定。特に、世界的にも希少な対象は特別天然記念物に指定する。16日現在(今回答申含む)で1005件(うち特別天然記念物は75件)が指定されている。沖縄県関係では、特別天然記念物5件、天然記念物43件(今回答申含む)が指定されている。