乳牛の野犬被害続発 行政も有効打なく 新川

野犬に襲われた子牛(16日)=伊盛さん提供
野犬に襲われた子牛(16日)=伊盛さん提供

 石垣市の牧場で乳牛が野犬に襲われる被害が毎年続いており、今年は初めて成牛が噛み殺されたため、農家は「野犬が凶暴化している」と危機感を募らせている。市や県は周辺にわなを設置しているが、野犬を捕獲できておらず、現時点で有効な対策は打ち出せない現状。農家は野犬の銃殺も含めた対策を検討するよう求めているが、行政側は慎重な姿勢を示している。

 

 被害に遭っているのは、70頭ほどの乳牛を飼育する農業生産法人伊盛牧場(新川)。野犬による被害は15年ほど前から見られるようになり、最近では年間で7~8件、約300万円相当の被害があるという。伊盛米俊代表取締役は「こんなことが続くと経営的には破産」と頭を抱える。


 従来は子牛だけが襲われていたが、今年に入って体重約500㌔の成牛をはじめ成牛3頭が襲われて死亡。16日にも子牛が噛み殺されるなど、計6頭が被害に遭った。


 野犬は4頭ほどのグループで行動していると見られ、集団で牛を襲っているという。伊盛さんは「野犬が凶暴化し、大きい牛も襲われるようになった。牧場周辺にはジョギングする人や子どももいる。人間が襲われるのが心配」と訴える。


 牧場への被害を防ぐため、深夜も含め1日3回牛舎周辺を見回りしたり、野犬の繁殖を防止するため子犬を捕獲するなどの「自衛策」を進めているが、有効打にはなっていない。


 行政の対策も進まない。八重山保健所は「被害が継続していることは認識しており、ケースバイケースで対応している」、石垣市環境課は「わなを仕掛けているが、なかなか捕獲できないのが現状」と話すが、伊盛さんは「猟友会に委託するほかないのでは」と苛立ちを隠さず、最終的には野犬の銃殺しかないと指摘する。


 県自然保護課は「野犬が(銃殺の対象となる)有害鳥獣に該当する場合も有り得る」としているが「県内では猟友会に委託して野犬を銃殺したケースはない。慎重に判断しないといけないだろう」と話している。