「安心操業」もはや不可能 中国船の出没常態化 尖閣

 尖閣諸島(石垣市登野城)周辺で中国政府の船が領海侵入を繰り返す状況が常態化したことで、地元の漁業者にも不安が広がっている。中国船には、尖閣周辺の日本漁船を拿捕することで日本の実効支配打破をアピールしたい思惑もあるとされる。尖閣周辺で安心して操業できる環境は失われつつあり、漁業者の男性(54)は「これからは中国国旗を掲げて行かないと、尖閣周辺では地元漁船の安全は保障されないかも」と嘆く。

 

 ▽領海から避難
 この男性によると、先月、魚釣島周辺で操業中に、海上保安庁の巡視船から「中国船が8マイル(12・8㌔)まで接近しているので、急いで領海外に出てほしい」と無線連絡があり、現場の領海から「避難」したという。


 8マイルは日本の領海内。中国漁船の接続水域での航行や領海侵入が日常化し、周辺で安心して操業できない状況になっていることをうかがわせている。
 ある報道関係者は「海保の人員や船舶機材が不足し、中国船の侵入阻止を図りながら漁船を守ることが難しくなっているということだろう」と推測。


 男性は、尖閣問題に対する危機感が薄い地元の現状に「領海を守ってくれる海保に感謝の気持ちはあるが、海保だけでは守り切れない。なのに、地元は平和ボケもいいところだ」と憤りを隠さない。


 中国船が日本漁船を積極的に拿捕する方針であることも「関係機関からの情報で聞いて知っている」と話した。


 ▽尖閣で花火
 中国では習近平新指導部が発足し、尖閣をめぐる対日政策の行方に関心が集まっているが、安全保障に詳しい拓殖大客員教授の惠隆之介さんは、対日強硬姿勢はむしろエスカレートすると見る。


 「中国の二桁成長が止まり、共産党幹部の腐敗に対する国民の不満が党中央に向かおうとしている。尖閣でひと騒ぎすることで、国民のフラストレーションをそらそうとするだろう」。


 今後は日本の総選挙の行方を見定め、腰が定まらない政権が誕生すれば①海保の疲労を待って民兵が尖閣上陸②民兵の保護を名目に軍艦や武装公船を派遣③海保を一掃し、尖閣を実効支配―というシナリオを描いていると見る。


 習氏は沖縄と交流が深い福建省のトップも務め、沖縄訪問の経験もある。沖縄の現状に詳しく「反米、反日感情が強いため、反中運動は起きない」と踏んでいるという。


 惠さんは「反日暴動を指示したのも習近平氏だが、デモの写真を分析すると『琉球を奪還せよ』というプラカードもあった。中国が沖縄を抱き込めば尖閣もついてくる、というしたたかな読みがある」と指摘する。


 「習氏は軍部の支持を強固にするため、尖閣で花火を打ち上げる。海外の記者も同じ見方だ」と警鐘を鳴らす。