ジョブシャドウイング 辻 維周

JTA石垣空港所でジョブシャドウイングを行う石小の生徒たち
JTA石垣空港所でジョブシャドウイングを行う石小の生徒たち

 沖縄県では「みんなでグッジョブ運動」の一環として、「ジョブシャドウイング」という、キャリア教育を行っている。ジョブシャドウイングとは児童生徒が影のように従業員に寄り添って、働く大人の取り組む姿勢を観察するもので、もちろん子供は労働に参加することはない。しかし働く大人の背中から「働く姿勢」を感じ取ることで、生活には欠かせない「労働」というものを考えさせようとする教育である。


 先日、別件で石垣空港のJTA事務所を訪れたときにも、石垣小学校6年生の6名が、ジョブシャドウイングとして空港職員の後ろ姿を見ており、彼らはらんらんと目を輝かせ、興味深そうに職員の仕事ぶりを観察し、職員もいつもとは違う日常を楽しんでいた。


 そもそも労働とは生活の糧を得ることではあるが、職場の空気がどんよりと濁っていたのでは、働く側としても嫌気がさしてしまうに違いない。また叱られる(「怒られる」ではない)ことに慣れていない若者たちは、ピリピリした雰囲気もしくは、どんよりとした雰囲気の職場で叱られた場合、すぐに「辞めてしまおう」という気分が湧き起こっても不思議ではない。


 これが全国的に見ても、若者たちの離職率の高さ(在職1年以内に離職する者は、沖縄県で3割=グッジョブおきなわ推進事業局しらべ)に結びついていると言っても過言ではないだろう。


 このジョブシャドウイングは働く側の気分をも転換させる、非常に素晴らしい企画である。子供たちはその職場の雰囲気を敏感に感じ取り、即座に反応するため、惰性で働いている労働者がいたとしたら、いい刺激になるに違いない。


 実際に子供たちにインタビューしてみると、「業務部のみなさんに優しくしてもらい、普段見られない部分を見させてもらってよかった」、「将来客室乗務員になりたいので、実際にCAさんが優しく色々なことを話してくれてよかった」、「航務の方に優しく教えてもらったし、機内に入れてよかった」などと、非常に好評であったようだ。


 このようなキャリア教育は、職場の面白さを実感させるため、若者の早期離職率を減らす一定の効果は期待できるが、逆に「実際に就職してみると、あの時とは全く違う」と感じることにより、嫌気が差した結果、離職してしまう可能性もあるので、受け入れる側はあくまで「普段の顔を見せる」事に徹する必要がある。いずれにしても「ジョブシャドウイング」は、新しいタイプの教育として全国に広がってゆくことを期待したい。