唐人墓に関する対応について㊤ 八重山歴史研究会

 日本国憲法第21条は、日本におけるいわゆる表現の自由、言論の自由、出版の自由が認められた根拠条文となっています。そして、日本国憲法第23条には、学問の自由が謳われています。それを前提として、私たち、八重山歴史研究会の活動と、田島信洋氏によって連投されている本件に対する考え方を述べたいと思います。


 私たち研究会は、個々の会員が興味ある研究テーマを持ち寄り、それを全員で共有して、活動しています。会員は会費を払い、学習会を重ね、研究会誌の発刊や、現地踏査などを実施しており、所属しているメンバーの興味・専門も様々です。会員資格は、いわゆる研究者に限定されません。門戸を広げているのは、皆で学びながら、多角的に八重山の歴史を考えようという、会の方針によるものです。このようなメンバー構成・活動内容について、田島氏に「歴史の専門家」と過大評価されたことを嬉しく思う反面、現実は異なるということを、あえて申し上げておきます。また、行政からの補助金等は一切なく、あくまでも自主的な学習の場です。


 以前、田島氏から、「助けてください」というメッセージと、唐人墓に関するシンポジウムの開催を含め、関連する研究をして欲しい旨、ご連絡をいただきました。私たちは、現在進行中の研究活動があること、また、会員個々にテーマをもって学会活動等も行っているため、唐人墓中心の研究にシフトできる状況にないことを踏まえ、田島氏宛の回答を作成しました。しかしながら、その回答では納得いただけなかったようで、「八重山歴史研究会は、会員の多忙を主な理由に、積極的な関与を断る回答文書を私に寄せた」と、研究会活動への批判とも取れる表現を、新聞紙上に寄せています。


 改めて申し上げますが、私たちは学問の自由の下に、自らの研鑽のために研究会に所属しており、その活動は、誰に制限されるものでもありません。それを回答したことに対し、会員でもない田島氏が、再三にわたり「地元の人が唐人墓の研究をしないのはおかしい」という論調で迫ってくるものですから、取りつく島もないというのが現状です。


 本件に関する問題点はいくつもあります。ここで2つの例を挙げますので、読者の皆さまには、今回のことを客観的に考えていただきたいと思います。


 まず、田島氏の批判のひとつに、地元研究者が、田島氏の本の内容に対して無関心であるということが挙げられています。それがまるで、西里喜行先生の陰謀のようなコメントまでも、お書きでした。しかし、そんなことは決してありません。例えば、同じ歴史的分野という範疇で、田島氏に、「八重山にとってたいへん重要なことですから、人頭税制度や考古遺跡について、一般的ではなく、専門的コメントをしてください。研究も進めてください。シンポジウムも開催してください」と一方的にお手紙をお送りしたら、どう反応なさるでしょうか。

 

 これまで様々な団体・個人への要望に辛辣な言葉を綴ってきた経緯からしますと、当然、田島氏なら、継続している研究の手を止めて、立派な論文を仕上げ、見事なシンポジウムを開催してくださるのでしょう。しかし、残念ながら、唐人墓の問題について同様の要求をされた私たちには、それに応える力量がありませんでした。そして、進行中の研究活動を、優先する道を選びました。そのため、歴史研究会の決定事項として、「唐人墓に関する諸説については、コメントする立場になく、積極的に関わることができない」という主旨をお伝えしました。ところが、その回答は、先述のように批判的なコメントとなって、新聞に投稿されてしまったのです。


 真摯に受け止めた上で、会員で話し合いを持って回答をお送りしたにも関わらず、今度は、その内容をもって批判される状況。加えて、東京・八重山文化研究会の場で、新聞投稿と同主旨の文書がバラ撒かれた事実を知ったことから、研究会では今年、「もう、この件について一切回答しない」ということを全会一致で決めました。しかし、今度は、「回答しない権利」さえも認めてもらえず、他団体・行政と一括りで批判され続けています。(つづく)