
本場ヨーロッパへ― いしがき少年少女合唱団17人が25日から9泊10日の日程で、オーストリアとハンガリーを訪問、公演する。合唱の本場での公演はメンバーの夢。費用を積み立て、旅行社の協力を得、大聖堂でも歌声を響かせる。元日をハンガリーで迎える団員は「本場で石垣島の文化を伝えたい。寒さも楽しみ」と張り切っている。
合唱団の海外公演は、2000年のハワイ公演(石垣市・カウアイ市友好親善都市締結式典)以来2度目。ハワイ後、長らく海外公演がなく、夢のヨーロッパ公演を実現させようと、メンバーが2年前から費用を積み立てていた。
公演は、オーストリアのヴォティーフ教会=ウィーン、28日=とハンガリーのイシュトヴァーン大聖堂=ブダペスト、30日=を含め計4回。ハンガリーでは老人ホームへの慰問も行う。
披露する曲目は八重山の子守唄「うふゆべま」「こうじゃあ馬ぐゎ」をはじめ、「鷲の鳥節」「赤田首里殿内」、日本のわらべ歌、クラシックの「アヴェマリア」―まで、最大で20曲ほど。年末・年始の公演旅行が決まり、合唱団の週2回のけい古も熱を帯びてきた。
初めての海外に金城花音さん(大浜中1年)は「合唱は皆で声を合わせていくところが好き。いっぱい練習しているので(本番は)大丈夫。寒いのは苦手だけど楽しみでもあります」と瞳を輝かせた。
合唱歴7年目の丸山咲さん(八重高1年)も海外旅行は初めて。「ヨーロッパの街並みを見るのが楽しみ。公演で、日本の中の沖縄、沖縄の中の石垣島で育まれた独自の文化を伝えたい」と意欲を膨らませている。
93年の合唱団発足から指導を続けている、元高校音楽教諭・砂川富貴子さん(60)は「八重山のわらべ唄から世界の名曲まで選曲した。子どもたちには、体験したことのない寒さが待ち受けているが、体調管理を万全にして公演旅行に向かう。音楽が言葉や国境を超えることを子どもたちが実感してくれたら」と期待を込めた。