カンムリワシに注意! 辻 維周

島の誇り「カンムリワシ」
島の誇り「カンムリワシ」

 ご存じのように石垣島と西表島には、国の特別天然記念物であるカンムリワシが合わせて200羽程度生息しているとされているが、特に西表島の場合には、人間の立ち入ることができないほどの深い山が多いため、正確な生息数は不明である。


 我々が行っているロードキルパトロールは、車にひかれている動物を食べに降りてくるカンムリワシが、再び車にひかれてしまうと言う二次被害を防止する事を目的とするほか、八重山の固有種がどのあたりに、どの程度生息しているのかという生息密度調査も目的としている。


 先日、本紙に発表したデータとは別に、種類別のデータを見てみると、原生林が残る於茂登山周辺と、バンナ岳周辺、屋良部半島はカンムリワシのほかに、天然記念物であるセマルハコガメやキシノウエトカゲの生息密度が高いということが分かり、来年学会でも発表予定である。


 我々はカンムリワシやセマルハコガメなどの希少生物が車にひかれることを防止するため、生息密度が高い場所に、市の協力を得て啓発看板を設置している。その文言は「カンムリワシを轢かないで」「カメを轢かないで」「ここは野生動物の宝庫です」の3種類であるが、看板周辺のロードキル件数は設置前に比べて8割近く減少した。またカンムリワシのロードキル(保護・死亡合計)件数も昨年の16件にくらべて今年は6件(環境省石垣自然保護官事務所調べ)に減少し、看板と動物の死体除去による一定の抑止効果が認められる。


 ところで、ある地域には「カンムリワシに注意!」という看板が立っているが、この表記には少々問題がある。つまり内地でカンムリワシを知らない人は相当数にのぼり、たとえ名前は知っていてもその生態までは知らない人がほとんどであろう。そのような人々がこの「カンムリワシに注意!」という看板を見た場合、「カンムリワシは人を見ると襲ってくる」と考えてもおかしくはないし、現実にそう思ってしまったという話を聞いたこともある。


 カンムリワシやセマルハコガメ、キシノウエトカゲなどは八重山の宝であり文化財でもある。そのような貴重な生物が八重山に生息しているということを、観光客に周知徹底することは非常に重要なことではあるが、看板の文言一つで受け取る側の印象が大きく変わると言うことも、我々は認識することが必要である。


 今年もあと2日で終わるが、来年こそ新石垣空港とともに、島の誇りである「カンムリワシ」を始めとする天然記念物たちが日本全国に周知され、保護が徹底されるよう祈らずにはいられない。