駐屯地の用地取得停滞 与那国町 南牧場の測量許可保留 環境や権利問題懸念 自衛隊配備問題

 自衛隊の駐屯地建設予定地である与那国町の南牧場(久部良地区)に、環境や権利関係の問題が発生し、用地買収計画が停滞していることが29日までに分かった。南牧場は面積の9割が町有地。外間守吉町長は「のちのち情報公開請求があっても、きちんと町民に説明できるようにしたい」と防衛省側に問題の整理を要求し、測量許可を保留している。国は今年度予算で自衛隊駐屯地の用地取得費約10億円を計上しているが、現地を測量しなければ土地の正確な価格を算定できず、用地取得が来年度以降にずれ込む恐れが出てきた。


 町によると、南牧場には町が規則で島外への持ち出しを禁止している与那国産コウライシバ(ヨナグニシバ)などが自生している可能性がある。町総務財政課は「どのような植物が、どれくらい分布しているか調査する必要がある」としている。


 南牧場の隣接地にも、県内で与那国島など3ヵ所にしか生息が確認されていないトゲイボタ(モクセイ科)が自生している可能性があるという。


 防衛省側はすでに現地の環境調査を終えているが、町は防衛省側の調査を無条件に受け入れることはしない方針だ。早い時期に町独自の環境調査を実施し、調査結果を町文化財審議会にも諮る考えを示している。


 もう一つの懸念材料は南牧場の権利関係。町によると、南牧場の総面積約20㌶のうち約17㌶に、農業生産法人有限会社南牧場が少なくとも約30年前から借地権を設定。同社は借地権設定当時、組合の形態だった。現地を牛の採草放牧地として利用し、牛舎も整備した。


 町は防衛省側に対し、同社の役員が南牧場の売却に同意していることを証明する文書を提出するよう求めている。役員は5人ほどだが、所在が明確でない人もいるという。防衛省側はいったん文書を提出したが「不備だった」(外間町長)としている。


 外間町長は八重山日報の取材に対し、南牧場の環境と権利関係の問題について「南牧場は、ほとんどが町有地であり町民の財産だ。(売却するにしても)いきさつをはっきりさせなくてはならない。はじめは測量申請を許可する方向だったが、今は保留している。(問題が整理できれば)もちろん許可を出す」と述べた。


 防衛省は現行の中期防衛力整備計画の最終年度である2015年度までに沿岸監視部隊などを配備する方針を示している。町が用地として南牧場を売却する場合は町議会の議決を得る必要があるが、すでに年内の議決は見送られている。