豊富な漁場を次世代に 施設整備で安心操業を あす尖閣開拓の日

 豊富な漁業資源があり、将来の八重山の漁業に必要と指摘されている尖閣諸島(石垣市登野城)。地元漁業者でも限られた人たちが操業を続けている。最近は中国公船による領海侵入が続くなど、不穏な空気に包まれている。石垣市にあるが、近くて遠い尖閣諸島での漁業の様子などを第11善幸丸船長の名嘉全正さん(54)=新川=に聞いた。


 ―尖閣周辺の漁場ではどのような魚が水揚げされるのか。
 「高級魚のアカマチを含むマチ類のほか、アカジン、マクブのほか夜光貝も多く生息する」


 ―どれくらい魚が豊富なのか。
 「1本釣り漁法では、ひとつの仕掛けに10本くらい針を付ける。赤マチを狙う水深は320メートルくらい。尖閣では230メートル前後で狙える。他の漁場では、ひとつの仕掛けで赤マチが2~3匹釣れれば良いが、尖閣では5~6匹狙える。サイズも大きい。3~4日操業できれば大漁が見込める」


 ―どのような時期に操業するのか
 「夏でも操業できるが、基本的には冬の漁場。潮の干満の影響で、夏は昼に潮の流れが速く、夜は緩む。潮の流れが速いときは川のようで、仕掛けがポイントに届かない。冬はその逆となるので、昼にしか釣れない値段の良いアカマチを狙うため、冬場の漁が多い」


 ―マグロ漁は行わないのか。
 「近海魚の魚場の多くは島から5マイル以内にあるのが尖閣の特徴。マグロ類の魚場は石垣から尖閣に行く途中にある。尖閣諸島が見えるほど近くではないが、そこで台湾漁船と遭遇する」


 ―台湾船の被害を良く聞くが、本当に多いのか。
 「地元の船より圧倒的に数が多い。地元の漁業者は延縄(はえなわ)が他の漁船と交差しないように考慮して漁をする。互いに邪魔にならないように配慮し合う。台湾船の流す延縄は地元船の仕掛けと交差して絡まり、漁にならない」


 ―解決法はないのか。
 「言葉も無線も通じないので今のところ解決策がない。魚場の共同使用という方向で話しが進められるのであれば、日台で操業海域を厳密に決定する必要性がある」


 ―周辺での操業に望むものは。
 「安心して操業できる環境の整備。漁船の避難施設や目印としての灯台、通信設備などが挙げられる。県漁連の無線は通じるが、八重山漁協の漁業無線は届かない。出来れば携帯電話の使える通信環境が望まれるところ」
 「比較的小さな漁船でも3~4日の操業が安心してできるように給油設備があれば良いと思うが、現状では望めないだろう。第11善幸丸のような5トン前後の漁船で1000リットルくらいの燃料を積めるが、尖閣往復に約500リットルの燃料を使う。3トン級の漁船が多い八重山では、波の荒い尖閣で操業するには短期間の漁となってしまう」


 ―八重山の漁業者にとって尖閣諸島はどのような位置付けか。
 「現在、尖閣周辺を漁場とする漁業者は限られていて多くはないが、八重山の漁業の将来に必要な海域。子や孫なこれからの後継者にとってなくてはならない場所だ。これからの魅力ある漁業を考えた時、豊かな尖閣の海は無くてはならない場所になるだろう。次の世代のために絶対に守らなければならない海だ」