尖閣諸島周辺海域で…

 尖閣諸島周辺海域で中国公船の領海侵入が常態化している現状について「石原慎太郎前都知事が日中関係を悪化させたせいだ」と批判する声がある。石原氏の尖閣購入発言がなければ尖閣の国有化もなく、現在の事態も起こらなかったというのだ◆別に石原氏を擁護するわけではないが、その批判は明らかに誤っている。中国公船が初めて領海侵入したのは2011年8月24日であり、国有化の1年も前なのだ。中国の尖閣に対する野心と国有化には何の関係もない◆この「8月24日」は、かの八重山教科書問題で、尖閣が日本の領土であることを詳述した育鵬社の公民教科書が選定された翌日でもある。中国に八重山ウォッチャーがいるのかどうかは定かでないが、実は関係者の間では「八重山が育鵬社版を選定したことに中国が怒り、住民を威嚇した」という見方がある。あながち邪推とは言い切れない◆中国国内の報道を見ていると、中国政府が「開戦」に強い意気込みを抱いていることがうかがえる。日本を挑発して先に手出しさせれば、米国もおいそれ介入できないという思惑もあるのだろう◆挑発は今後もエスカレートするはずで、事態の鎮静化にもはや安易な期待はできない。国境の島に住む住民にとって、厳しい時代の到来である。