「世界遺産」地元熱意がカギ 国際アピールの効果も 尖閣

 尖閣諸島(石垣市登野城)を世界自然遺産に登録しようという動きが地元で始まっている。市は策定中の「海洋基本計画」案に、世界自然遺産登録に向けた調査研究に着手する方針を盛り込んだ。世界遺産に登録されれば、尖閣の貴重な自然環境を保全しながら、観光振興も図れる。

 

 また、尖閣が日本の領土であることを国際的にアピールでき、実効支配の強化にもつながるという期待がある。ただ、実現に向けたハードルは高く、地元住民がどこまで熱意を共有できるかが課題になりそうだ。

 

 環境省は現在、「奄美・琉球諸島」を世界自然遺産の候補地とする取り組みを進めている。尖閣には「世界的にも貴重で豊かな生態系」(海洋基本計画案)が存在しており、14日の「尖閣諸島開拓の日」式典で講演した日本野鳥の会関係者も、尖閣を「奄美・琉球諸島」に含めるよう提言した。


 中山義隆市長は八重山日報の新春インタビューで、世界自然遺産登録について「いい話だと思う。尖閣には貴重な動植物がある。日本が申請し、ユネスコが認めてくれれば、日本の領土だということも明確になる」と積極的な姿勢を示す。

 

 海洋基本計画策定委員会には、世界遺産登録に慎重とされる委員もいるが、同案で取り組みが明記された背景には、市長の姿勢も反映されていると見られる。

 

 日本側の識者は、中国が尖閣を実効支配した場合、沖縄周辺海域の制圧に向け、島々に軍事基地を建設する可能性が高いと推測する。「自然環境の危機」を指摘し、日本政府や地元の自然保護に熱心な姿勢を国際的にアピールすれば、環境問題に無関心な中国との違いを際立たせられる効果もありそうだ。

 

 ただ、世界自然遺産に登録するには、前提として国立公園指定など、自然環境を保護する法的な枠組みが存在する必要がある。国内では、地元が世界自然遺産登録に向けた運動を開始してから実現まで10年以上かかった例もあり、国を動かすには地元の継続的な熱意が不可欠になる。