中国「戦わず勝つ」狙い 東シナ海の戦略分析

講話する海自佐世保総監の吉田氏(20日午後)
講話する海自佐世保総監の吉田氏(20日午後)

 海上自衛隊の吉田正紀佐世保総監は20日、石垣市内のホテルで講話し、中国が尖閣諸島周辺をはじめ東シナ海で攻勢を強めていることについて「軍事力行使の準備をしつつ、戦わずして勝つようなところも一緒に狙ってきている。日本としてはこれまでとは違う対応をしなくてはならない」などと分析した。


 中国の海洋進出について「海洋国土」という独自の用語を使用していることを指摘。「大陸棚が続いているところまでは国土の延長戦という概念を持ち出し、既成事実化しようとする動きがある」と警戒した。

 

 東シナ海の支配に向け、中国が①世論戦(国際世論へのアピール)②心理戦(心理的圧迫)③法律戦(法律をたてに主張)―という3つの戦略を進めていると説明。「軍事力とは土俵が違うところで戦っている。日本としては、戦争で自衛隊が出て行けばいいのではなく、戦争に至る前の段階で、関係機関や自治体、国民と認識を共有しながら対応する必要がある」と国民の理解を求めた。

 

 中国海軍の実力については「量的には、日本の海上自衛隊をはるかにしのぐ」と述べた。

 

 南シナ海で中国は①領有権の主張②主張の実行に向けた活動③施設建設などによる実効支配―という活動経過を踏んできた。東シナ海や尖閣周辺での活動についても「中国政府内でのハイレベルな情報伝達や調整が行われているのではないか」と推測した。

 

 今後の自衛隊の役割として「今は平時・有事の二分論ではない。グレーゾーンでの活動を重視し、戦争にエスカレートしないような行動が求められている」と強調した。