LCC参入② 辻 維周

 前回LCCに関して数字を交えて解説したところ、非常にわかりやすく役に立ったとのご意見を多数いただいたので、もう少し大手航空会社(FSC)と格安航空会社(LCC)との違いを解説してみたいと思う。


 前回は予約の仕方と運賃とを解説したが、今回は機内サービスや設備について書いてみよう。今回石垣に入ってくるピーチアビエーションが使っている機材は、エアバスA320というもので、日本のLCC各社(エアアジアジャパン、ジェットスタージャパン、ピーチ・アビエーション)や、スターフライヤー、ANAの一部路線で採用している。通常は3列×3列のシート配置で、定員はスターフライヤーの144人が一番少なく、ANAは166人(国内線仕様)、LCC各社は180人となっている。定員が少なければ少ないほど座席の間隔(シートピッチ)は広くなるので、スターフライヤーが一番広い事になる。ちなみにスターフライヤーは91センチ、LCC各社は平均71センチ、ANAの国内線仕様は世界標準の78センチ前後となっている。ちなみにJTAのボーイング737―400(普通席)は80センチ前後であり、これと比較していただけると、71センチは相当狭く感じるかもしれない。

 

 要はFSCと同じ機材ではあっても、運賃を下げるためにはできるだけ多くの乗客を詰め込む必要があり、このシートピッチが採用されている。ただしLCC機材の全席がそこまで狭いわけではなく、非常口座席などは90センチ程度確保されている。しかし、そこに座るためには840円の追加料金が必要になる(航空会社によって多少の増減がある)と同時に、非常口という特性上、利用制限がかかる場合が多い。さらに関空や那覇空港ではLCC専用ターミナルでチェックインや荷物受け取りが行われるため(除ジェットスター)、その分、時間を余計に見ておく必要もある。


 またFSCでは当たり前の飲み物無料サービスはLCCには存在せず、コーヒーやコーラ類は¥200程度で販売されているのが普通である。機内の湿度は限りなく0パーセントに近いため、関西~福岡線のような近距離路線では必要性をあまり感じない飲み物も、本土~沖縄・石垣線のように2時間を超えるフライトの場合には、体が要求することが多いので、飲み物サービスは結構重要な要素かもしれない。
 さらに機材到着後、地上での折り返し時間はFSCが通常35分以上とっているのに対し、LCCは運航効率を上げるために25分程度としており、一度遅れが出始めると、折り返し運航のため、その遅れはどんどん増幅してゆき、最終便になると1時間以上の遅延になってしまうこともざらである。つまり少しでもゆったりと、そして遅延のリスクも最小限にとどめたいならば多少高くてもFSCを、窮屈さやサービス、遅延などには目をつぶる代わりに、できるだけ安く行きたいと言うならばLCCを選ぶのが良いだろう。


 これからの航空業界に必要な事は、FSCとLCCとの住み分けである。FSCには高いだけの理由が、LCCには安いだけの理由があるのだから、利用者はそれを十分理解したうえで、航空会社を選ぶ時代になって来たのである。