カンムリワシの早急な保護を! 辻 維周

啓発看板
啓発看板

 環境省石垣自然保護官事務所によると、石垣では今年に入ってから国の特別天然記念物であるカンムリワシの命が6羽、西表では4羽失われ、うち9羽はロードキルによるものであろうと言う。


 しかし国の特別天然記念物に指定されているにしては、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコほど有名ではなく、観光客100人中80人以上が名前すら知らないという驚くべき事実が我々の聞き取り調査で判明した。


 さらにカンムリワシは昼間しか活動しないわけではなく、夜間も路上で轢き殺された動物を餌として摂取するために活動しているが、その事実もほとんど知られていない。また八重山を紹介しているガイドブックを見ても、多少触れられてはいるものの、積極的なPRはされていないため、いまだに観光客に認知されていない。


 筆者は路上に小動物が轢かれていた場合、それがカンムリワシを路上に降ろす元となってしまうため、積極的にトングを使って道路外へ死体を排除するようにしている。カラスやキジ、クジャク、ハブなどは害をもたらすために轢き殺してもいいという人もいるようであるが、全く別次元の問題であり、轢いて放置した場合にはカンムリワシのロードキルに直結してしまうと言うことを理解していただかなくてはならない。


 内地に対してカンムリワシが八重山にいると言うことを少しでも知ってもらおうと、JTAにお願いして新石垣空港のキャラクターである「ぱいーぐる」を機体に描いて飛んでいただいているが、それだけでは到底足りず、行政が積極的にPRをして行かねば、近い将来絶滅してしまうことは間違いがない。


 絶滅するのは生命力が無いので仕方がないと言う人もいるが、生態系ピラミッドの中にある生物同士の弱肉強食論理で絶滅してしまうのならば、それはそれで仕方ないだろう。しかし生態系ピラミッド外にいる人間が、それを絶滅させてしまうと言う事は論外である。


 また、運よく生きたままで保護され、動物病院に搬送された後、回復して放鳥されるケースもあるが、放鳥するときに子供たちを呼び、その雄姿を見せることも行われており、それはそれで命の大切さや、間近で島の宝を学ばせるためにはよいことである。


 ただしそのとき、子供たちにカンムリワシを触らせてしまうこともあるようだが、その行為はこれから野生に返されるカンムリワシをおびえさせてしまうだけではなく、野生生物が持っているウイルスに子供が感染してしまうことも十分考えられるので、厳に慎んでいただきたい。カンムリワシを始めとする天然記念物は「文化財」だという意識が、あまりに欠落している。


 新空港が開港するとレンタカーも激増し、カンムリワシの生命もさらに脅かされてしまうことは間違いないので、観光客に対する、より一層のPRを徹底しなくてはならないだろう。また環境省が写真のような看板を立てているので、その付近では特に細心の注意を払って運転を。


 なお、カンムリワシを誤ってはねたり、傷病個体を発見したりした場合には、環境省石垣自然保護官事務所0980―82―4768または石垣市教育委員会文化課0980―83―7269、西表野生生物保護センター0980―85―5581まで大至急連絡をお願いしたい。


 故意に死傷させる、追いかける、傷病個体や死体を持ち帰る、隠匿するなどした場合には、文化財保護法違反に問われる可能性もある。(首都大学東京 大学院 非常勤講師)