新石垣空港開港を祝う 辻 維周

 いよいよ八重山郡民37年の悲願であった「南ぬ島 石垣空港」が開港の運びになったことは、この上ない喜びであり、これを機に八重山が一層元気になっていく事を祈りたい。
 また今まで航空機の離発着時の騒音に悩まされつつも、郡民発展のために我慢をなさってきた、平得、真栄里、大浜地区住民の方々には深い敬意と感謝の気持ちを表したい。特にジェット便が主流になると同時に、観光客が激増した2000年以降には離発着回数も増え、その騒音のために学校の授業も度々中断したと言う話も聞いた。


 ジェットエンジン特有のキーンという音は、さぞ住民の方々の神経を苛立たせた事であろう。また常にあったオーバーランの恐怖からも解放されることになるので、7日以降は平穏な日常生活を取り戻していただけることと思う。
 また乗客の立場から見ても、条件付き運航や欠航率の高さ、ゴーアラウンド(着陸復航)、タッチダウン後の急ブレーキも2000㍍滑走路や、ILS装備により、ほぼなくなるため、より安心して利用する事が出来るようになるはずである。


 しかし一方では観光客に対して、新空港は島民の30数年来の悲願であったといくら説明したとしても、その想いを伝える事はほぼ不可能と言ってもよい。以前から何度も述べてきているように、多くの観光客にとって新空港開港は単に既存空港が移動しただけだとしか捉えられていないからである。特に先日インタビューした人の中には、新空港開港と言う大イベントに全く興味がなく、少しでも多くの島に上陸することだけが目的なので、空港などどうでもいいとまで言い切る人もいた。
 以上の事例から鑑みても開港はあくまでも出発点に過ぎず、あの立派な設備を持った空港を生かすも殺すも、我々八重山郡民次第であると言うことを忘れてはならない。

 

 観光客は空港を見に来るわけではなく、八重山を満喫するために来ると言うことを根本に置き、より魅力ある上質な滞在型観光地にするためには何をどうしたらよいのか、官民一体となって考える時がやって来たのである。
 開発と環境保全は相反するものではなく、共存できるものである。それがうまくかみ合った時、初めて魅力ある島が出来上がり、それとともに上質な観光客も増えていくはずである。
 (首都大学東京 大学院 非常勤講師)