1990年、クエートに…

 1990年、クエートに突如侵攻したイラク。口実の一つは「クエートは歴史的にイラクの一部だ」というものだった。現代の軍事大国・中国が尖閣諸島について言っていることと、そっくり同じである。日本政府、そして八重山の人たちは、41年前の日中国交正常化の際、このことの深刻さをよく理解しておくべきだった◆時が過ぎ、日本経済が絶好調だったころにも、一部の識者は、いずれ中国の経済力や軍事力が日本を凌駕すると予想していた。そうなれば、中国は必ず尖閣を取りに来る、とも。しかし、その言葉を真剣に受け取る日本人はほとんどいなかった◆当時からきちんと備えを固め、尖閣の実効支配を強化していれば、現在の中国に一方的に攻め込まれる状況はなかっただろう。日本人、さらには八重山の人たちの領土意識の薄さが、現在の事態を招いたとも言える◆中国は国定教科書の記述を変え、子どもたちに「釣魚島(尖閣の中国名)は中国領」と徹底して教え込んでいる。ひるがえって八重山の教育現場では、尖閣については「黙して語らず」ではないか◆危機を突破するカギは、まず住民が危機意識を持つことだろう。尖閣問題に限らず「お上」にお任せする時代は過ぎた。頼れるに足る国や自治体をつくるのは、住民自身だ。