アベノミクスの強み生かせ 吉崎 富士夫

 なにかこう日本の大手企業の春闘の高額回答ばかりが話題に上るが、話題にすべき論点が違うような気がしてならない。旧民主党政権で停滞していた日本経済の3年間を完全に払しょくし、とにかく実体経済がアベノミクスで動き出した事実は認めざるを得ない。民主党も、もうそろそろ「負け惜しみ」をするのはやめて政党として白旗を上げるべきだ。


 そして、急激な為替相場の変化はいろいろな弊害を生むのは事実であり、超円高なら強い円を背景に海外と輸入取引が出来るし、超円安なら輸出攻勢に拍車をかけられる。それぞれ一長一短があるのは当たり前の話だ。
 ただし、国内景気に焦点を当てれば、為替相場でどのように円高・円安になろうと所詮1円は1円。手堅い内需拡大のための振興策意外に有効な手段がないことくらいは冷静に考えれば誰にでもわかる。

 

 つまり、消費経済の基盤は、日本国民一人ひとりの可処分所得が増え続けることにあるのは自明の理だ。来年以降の消費税の増税政策は、間違いなく国民の総消費額に増税されるのだから、景気への悪材料であることはほぼ間違いない。おそらく、それまでの短期的な国内景気(これから1年半程度)の好況感で終わってしまう可能性は大である。


 一部マスコミは、その本質を指摘しないで、アベノミクスは期待感が先行しているなどと的を外した批判をしている。これなども経済は期待感が先行するから景気は良くなるという基本中の基本の経済原理がわからないのだから、3年半前に民主党政権を誕生させてしまうようなことになる。これでは話にならない。


 本来、現時点で指摘すべきは、社会保障と税の一体改革などと言いながら、単なる増税先行でしかないのだから、「来年の消費増税を転機に一気に冷え込む国内景気への警鐘」と、それこそ本格的な景気回復に向けて、「実質的な消費増税凍結への道」を提示する事が大切だ。


 そして、独立国家として盤石な外交・安全保障政策を断行する事が、結果的にアベノミクスの強みを生かすことにもなる。経済と国防とは密接な関係がある。
 以上の事から、新石垣空港開設を基に、為替相場に左右されない手堅い国内景気を活性化させる内需拡大策はきわめて重要であり、12日(火曜)紙面にもあったが、島の資源を活用する起業を積極的に支援する「地域ファンド」等の設置は、まさに地域密着型の雇用創出の機会ともなり、地域振興のきわめて有効な手段と言え、積極的に活用すべきだ。


 さらに21世紀におけるアジア地域との関係で言えば、異論もあろうが、主権国家における島嶼防衛の要としての空港の位置づけもある。
 先の中国の全人代において、習近平国家主席は、新たに海洋局の権限強化やステルス型戦闘機の開発等、海洋覇権の姿勢を明確にしており、日本の制空権を脅かす中国人民解放軍の脅威も相まって、とても日本に対して友好的な外交政策をとるとは思えず、八重山諸島を不測の事態から守る施策も当然必要である。


 まさに内需拡大と島嶼防衛という内と外の両方をしっかりと固めていく姿勢が何よりも求められているのは間違いない。ぜひ沖縄県の仲井真県知事にも、日本政府の姿勢に理解を示し、その観点での大局的な判断をいただきたいものだ。
       (千葉県市川市)