海岸線5メートル後退 吹通川のヒルギにも影響か 野底で侵食進む

2013年3月撮影の同じ場所。モクマオウは倒れ、それまで砂に隠れていた石まで露出し始めている。
2013年3月撮影の同じ場所。モクマオウは倒れ、それまで砂に隠れていた石まで露出し始めている。

 首都大学東京大学院非常勤講師(都市環境科学)の辻維周氏がこのほど野底海岸の浸食状況調査を行い、2007年の調査時よりも約最大5m海岸線が後退していることが分かった。同海岸の後退は海岸に接する形で生えていたモクマオウがすべて倒れ、その背後のアダン付近まで浸食が進んでいる。また浸食されたと思われる砂が、吹通川河口付近に堆積しており、その一部は、ヒルギの気根まで覆い隠している状態だと言う。

2007年10月撮影の野底海岸。まだ前面のモクマオウは立っている
2007年10月撮影の野底海岸。まだ前面のモクマオウは立っている

 野底海岸はほぼ北向きに開いており、冬の北風や石垣島南海上に台風があるとき、波の影響を受けやすい地形となっている。しかし辻氏は「10年前まではこれほどひどい浸食は見られなかった」と海岸侵食のスピードに驚いた様子。


 辻氏は「海水準上昇に加えて、台風の強力化や潮流の変化などの複合要因によって浸食が進んだものと考えられる。このままでいくと、吹通川河口のヒルギの一部が枯死してしまう恐れもあるので、早急に対策を練る必要があるのではないか」と述べている。


 辻氏によると、海上保安庁の検潮データでは、3月26日現在でも天文潮位(計算によって算出される潮位)よりも、実測潮位(実際に検潮所で計測する潮位)のほうが、10~20センチ高い状態が続いると言い、この潮位の高さが海岸浸食の要因の一つではないかと推測している。