島の自然どうなる 辻 維周

親水広場で調査する富田氏
親水広場で調査する富田氏

 先日、恐竜博士として有名な肉食爬虫類研究所代表富田京一氏と、昼夜1回ずつ、石垣の環境を調査して回った。富田氏は爬虫類・両生類を専門とし、自宅兼研究所には80匹ほどの蛇、トカゲ、亀、蛙類を飼育している。


 富田氏がまず驚いたのは、野底海岸の海岸浸食と、そこで浸食された土砂が吹通川河口のマングローブの根元に堆積し、普通ではあり得ない、砂に埋もれているマングローブが出現している事であった。氏は「よくここまで酷い状態で生き残っている」と語り、海岸浸食は食い止めようがないため、せめてこのマングローブだけは救いたいとも話していた。


 さらにカンムリワシやキシノウエトカゲ、キノボリトカゲ、ヤエヤマイシガメなどはよく目にするが、通行量が多すぎて速度も高いため、車に轢かれる事例も多く、絶滅してしまうのも時間の問題ではないかとの懸念を示した。


 一方、夜の於茂登親水広場の調査では、泥にもぐっているヤエヤマイシガメの周囲には、無数のオオヒキガエルの幼生(オタマジャクシ)がひしめき合い、水中にはブルーギルやカダヤシ、グッピー、ティラピアなどの外来種が所狭しと泳ぎ回っており、時折在来種であるゲンゴロウが姿を見せる。さらに外来種のホテイアオイの中から現れたのは、何と3匹の和金。和金はコイ科の魚ではあるが、決して自然界には生息しない生き物であり、何者かによってこの場所に移動させられたものであろうが、富田氏の見せた絶望的な顔は「沖縄県ふれあい自然推進員」ボランティアでもある私は、この上もなく恥ずかしく、無力感すら感じてしまった。


 さらに帰り道で3匹のヤエヤマイシガメが車に轢かれており、その轢かれ方の酷さは富田氏を驚愕させるに十分すぎるようであった。
 富田氏は「自然が観光資源だと言う割には、あまりに無頓着すぎませんか?今、何とかしないと石垣の自然は破壊されてしまい、観光としての魅力がなくなってしまいます。島民の意識を啓発する事は当然のこと、レンタカーを使う観光客にも早急に啓発活動をしてください。私も出来る限り応援しますから」と言う言葉を残して、帰って行った。


 島民は今まで当たり前のように見かけていた生物たちが急激に減少してきている事に気づいているはずである。その壊れかけた自然を元に戻せるか否かは、我々市民の手に委ねられている。