与那国自衛隊問題 「迷惑料」の波紋⑤ 反対派が町長を激励

2011年11月、防衛省が開いた自衛隊配備の住民説明会に合わせ、会場の外で反対を訴える住民(島仲公民館)
2011年11月、防衛省が開いた自衛隊配備の住民説明会に合わせ、会場の外で反対を訴える住民(島仲公民館)

 「町長に感謝したい」「ぶれなく交渉を続けてほしい」―。3月29日の町議会一般質問で、日ごろ外間守吉町長と鋭く対立している野党の2町議が、町長を「激励」する場面があった。町長の迷惑料発言で、自衛隊配備が頓挫するのでは―という期待感が背後にある。「国境の島に軍隊が配備されれば、他国との交流の妨げになる」。こう主張する反対派住民は現在でも、誘致派住民と島を二分した運動を繰り広げている。外間町長が迷惑料という言葉を使った背景には、自衛隊配備をめぐり、島が分裂を余儀なくされたという苦い思いがある。
 ▽反対派と奇妙な一致
 「1千億円だろうが1兆円だろうが先祖伝来の土地は誰にも渡さないでほしい」。町議会一般質問で野党の崎元俊男町議が訴えると、傍聴席の反対派住民から拍手が起こった。
 もう1人の野党、田里千代基町議は、10億円を要求している町長が「一歩も譲らない」と発言したことを確認。「ぶれなく交渉を続けてほしい」と背中を押した。
 外間町長と野党に奇妙な「一致」が成立した瞬間だった。
 「町長に感謝」という言葉は崎元町議から飛び出した。
 「自衛隊誘致の見返りがわずかに賃貸料年間500万円、売買なら1億円ということに、ショックを受けた町民は多いと思う。この程度が現実だということを証明してくれた」
 防衛省は2011年11月に配備計画の住民説明会を開いたが、国境の島が防衛上の空白地帯になっている現状の問題点について、掘り下げた説明をしなかった。配備に理解を示す地元関係者の中にも「住民を説得しようという国の努力が不十分だ」と不満を漏らす声がある。(つづく)