いしゃなぎら字会 集落の繁栄願う 伝統の牛祭祀営む 野とぅばらーまも朗々と

やや冷たい風の中、伸びのある唄声を御嶽に響かせる岡山稔さん(右端)と長男の創さん=牛の御嶽、字石垣・西長間原
やや冷たい風の中、伸びのある唄声を御嶽に響かせる岡山稔さん(右端)と長男の創さん=牛の御嶽、字石垣・西長間原

 集落の繁栄を祈願する、いしゃなぎら(石垣)字会の「牛祭祀」が7日、カク山の牛の御嶽=石垣・西長間原=であり、子どもから高齢者までが参加。さまざまな芸能を奉納するとともに、古式の祭祀で伝統の大切さを再確認した。

 

 古式にのっとり牛の御嶽で、集落の神司が左右に雌雄の獅子頭を飾り、牛クバン(肉)を供えて、村の発展と住民の無病息災を祈願。池城孝字会副会長は「農耕に大きな影響を与えた牛に感謝を捧げる祭祀が復活した。牛祭祀には村の発展を願った先達の思いが込められている。後世に祀りを受け継いでいきたい」とあいさつした。


 儀式後、祝賀会に移り、大きな犬歯が特徴の雌雄の獅子舞、婦人会の「鷲ぬ鳥節」、子どもたちの三線と踊り、青年会の伝統舞踊と勇壮な三人棒が披露された。岡山稔さん(72)=安室流保存会長=と創さん(37)の親子は「野とぅばらーま」を斉唱。2人は木漏れ日が差す風の中、くば笠と蓑(みの)を身にまとい、稔さん創作の詞を朗々と唄い上げ、古里石垣を賛美した。神司ら詰め掛けた住民も頭を垂れ、静かに耳を傾けていた。


 牛ヌユングトゥ(漫談)を語った森永用朗さん(伝統文化保存会副会長)は「字会の取り組みで、組踊と結願、牛祭祀を復活させた。子どもたちに伝統芸能を伝えるだけでなく、住民の結束にも繋がっている。これからも伝統の継承に務めたい」と満足げだった。


 牛祭祀(ウシィヌニガイ)は、字石垣の伝統文化掘り起し事業で2008年の丑年を機に67年ぶりに復活させた。祭祀は牛の御嶽で、獅子頭と牛肉を供え使役牛に感謝し、村の繁栄を願う伝統行事だった。古老によると、戦前の1942年(昭和17年)まで毎年、営まれていたという。戦時体制への移行から牛祭祀は自然消滅した。67年ぶりの復活から2年ごと、字会の会長が変わる初年度での実施を決めた。