「違法解消の責任は町」 町は東書版配布 両者の主張検証

衆院予算委員会で答弁する下村文科相(8日)=衆院ホームページより
衆院予算委員会で答弁する下村文科相(8日)=衆院ホームページより

 八重山教科書問題は、新学期が始まった8日、竹富町が東京書籍版の公民教科書を各中学校に配布し、育鵬社版を使用する石垣市、竹富町とは異なる教科書を使用することになった。教科書無償措置法に基づいて3市町(八重山採択地区)は同一の教科書を採択しなくてはならないが、現状のままだと同法の違法状態が2年連続で続く。文科省と竹富町の主張を改めて検証した。


 「文科省が答申に基づいて採択することを求める根拠はどこにあるのか」
 8日の衆院予算委員会で、赤嶺政賢氏(共産)は下村博文文科相に詰め寄った。答申とは、2011年8月、3市町の代表で組織する八重山採択地区協議会が、育鵬社版を選定したことを指す。竹富町は、その答申に従う必要はないと主張しているのだ。


 教科書無償措置法では、採択地区を構成する各市町村に対し「採択地区協議会の答申に従え」とは書いていないためだ。県教委も前教育長の時代には、竹富町を指導しない理由として、同様な論法を使っていた。


 しかし教科書無償措置法では、教科書採択は、各市町村の「協議の結果」に基づいて行うよう求めている。どの教科書を選ぶか協議するために、各市町村が設けた機関が協議会であり、育鵬社版を選んだ答申が「協議の結果」であることは疑う余地がない。県教委も国の指導を受けたあと、従来の論法は持ち出さなくなっている。


 下村文科相も「竹富町には、法にのっとり、協議の結果に基づいて教科書の採択を行ってもらえるよう指導してきた」と答弁した。


 しかし赤嶺氏は「協議会の答申はあくまで答申。各教育委員会を拘束するものではない」と反論した。


 「答申に拘束力はない」という言葉も、東京書籍版を独自に採択した竹富町を擁護する根拠として常に引用される。しかし「答申に拘束力はない」とは、協議会がAという教科書を選定する答申を出した場合でも、各市町村が合意すれば、Bという教科書を採択することは可能だ、という意味だ。


 そうした合意が存在しない以上、答申こそが「協議の結果」であり、石垣市、与那国町だけでなく、竹富町も当然、拘束されることになる。これが、国が竹富町に育鵬社版を採択するよう指導している法的根拠だ。


 赤嶺氏の批判はさらに続き「協議会のルールやメンバーが大幅に変更され、まともな議論もなく、調査員の報告書で最もマイナス点が多かった育鵬社版が無記名投票で選ばれた」と述べた。


 これも、竹富町を擁護する人たちが協議会の答申に従わない理由として何度も持ち出してくるせりふだ。しかし、協議会の規約やメンバーの変更はすべて総会で承認されており、違法性はない。当時の会長だった石垣市の玉津博克教育長が独断で決定したわけでもなかった。


 「調査員の報告書」うんぬんに関しては、教科書を選定するのは調査員でなく、協議会の委員であることを指摘すれば議論は事足りるだろう。


 下村文科相は「3日付で竹富町に対し、違法状態の解消に向けた方策を明らかにするよう文書で指導した」と述べ、違法状態を解消する責任は町にあるという見解を鮮明にした。県教委にも町を指導するよう要求している。


 ただ県教委は「町に動きがない以上は県も動けない」としており、町や県内マスコミの反発をにらみながら、かなり弱々しい指導に終始した。


 教科書の調達を法的根拠のない「寄贈」に頼り続ける事態の異常性が、町民に十分に認識されているとも言い難い現状だ。     (仲新城誠)